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11話 一樹の陰一河の流れも他生の縁

「今後? わたしをどう処罰するかの話し合いかしら?」


 紅木葉(くれないこのは)さんは不服そうに言った。だから私は、満杯の笑顔で答えた。


「はい!」


「……そう。なんかやけに元気ね」


「そりゃあ」


 私は紅木葉を上目遣いに見る。


「強い味方ができるんですから」


 元気にならない方がおかしい。


 すると紅木葉さんは口をあんぐり開けた。


「はあ?」


 そしてこう続ける。


「わたしを味方にするつもり? さっきまで敵だったのに?」


「昨日の敵は今日の友って言うじゃないですか」


「戦ったのは今日だけど……」


「言葉の綾です」


(なんだ、冗談言えるじゃん)


 だいぶ体力と精神、回復してきてる。この状態だと、冷静な判断ができるだろう。


 私たちの関係は対等な協力者でなければならない。だから、パニックと披露状態での対話は避けたかった。


 私は手を叩く。


「閑話休題です。本題に戻りましょう」


「本題?」


「はい」


 私は紅木葉さんを見る。


 もともと、同じ出身の人と仲良くなっておきたいとは思っていた。これは好都合だ。


「わたしの、協力者になってください」


 紅木葉さんは呆れたように言った。


「それ、私にメリットあるの?」


「この状態でそれを言う気ですか? 死にますよ」


 紅木葉さんは再度ため息をついた。


「いや、確かにこの状況ではそれ以外に選択肢はない。でもね、お姉さんあなたのことが心配なの。もし、わたしがスライムから出て暴れたら? もし、わたしがあなたを裏切ったら? どうする気なの?」


 確かに、ごもっともだ。だがもとより、それは心配していない。


「何言ってるんですか? あなたは裏切れませんよ」


「だって」と私は続ける。今までの言動から見ても、彼女は私に興味を待っている。それだけのアドバンテージがあるんだ。問題ないさ。それに、彼女は……。


「あなたは言ったじゃないですか。私に興味があるって」


「それだけ?」


「はい」


「呆れた」


 紅木葉さんは私を見た。だが、それでも問題ない。


「あなたねえ、甘すぎよ」


「――いえ、それでもいいんです。紅木葉さんは捕まっている。だから、好きなだけ話し合いができるじゃないですか」


 理由を探すのは、ここからだ。おたがい何も知らなさすぎる。


 紅木葉さんの顔が曇る。


「鬼め、もとより逃がす気なんてないってことだよね、それ」


「いえ、ちゃんと解放しますよ。話し合いの後で」


 私たちはお互いをにらみ合う。だがすぐに紅木葉さんが折れた。


「……はあ、こりゃ私の負けだわ」


 わたしは相槌を打つ。


「で、何を聞きたいの? お嬢様」


 私は言った。


「目的と、仲間になる条件、そしてあなたの身分を教えてください」


 紅木葉さんは熟考した後、こう言った。


「もし仲間になるなら、料理人にしてほしい。日本でも、店を経営してたから」


「その若さでですか?」


「ええ。評判も良かった。……でも、ある日突然つぶれたの。目の前にできたチェーン店によって。日に日に人は減っていったわ」


 私は重い首を縦に振った。


「でもね、趣向を変えたりメニューを増やしたりして次第に元気を取り戻していったの」


 私は相槌を打つ。


「だからこそ、三年前のあの日が憎たらしい」


 三年前?


「三年前、話す花に突然この世界に連れてこられた。神流崎(かんなざき)遊園地に行ったせいで」


 沈黙がこの場を支配する。紅木葉さんは重い口を開けた。


「だから、欲を言えば早く帰ってお店の安否を確認したい。あの店は私の夢だから」


「……大変だったんですね」


 紅木葉さんは相槌を打った。


「これで、私の話は終わり。目的は前に話してたやつよ」


「宝石ですか?」


「ええ。依頼内容なのよ」


「なるほど」


 紅木葉さんは私を見た。


「話し合いってことは、私だけじゃないはず。次は、あなたの番よ」


 私は頷き、口を開いた。

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