10話 長い物には巻かれろ
二日も間をあけてしまいました。すみません! でも、ネットの調子も直ったので、今日から毎日投稿再開します!
わたし、万葉木夕奈は勝利した。
クルルにお願いしてメイルさんをビックスライムから出してもらう。
(結局、意識のことは聞けなかったなあ)
そんなことを考えながら、私は人に戻りながら捕まっている紅木葉に言った。
「私たちの勝ちです」
「……そうね」
「死にたいですか?」
私がそう訊くと、紅木葉は焦ったように言った。
「死にたくないわよ! というか、真顔でそんなこと言わないでよ、怖いじゃない」
「そうですか、なら、私たちの質問に答えてください」
私たちは思い思いの質問をする。
「番号って何のことですか?」
「どうやって俺の攻撃を防いだ?」
「私の魔法強かった?」
ねえ、ねえ、ねえ、と訊いてると、案の定キレた。
「あのね、私は聖徳太子じゃないの。一人ひとり喋りなさいよ!」
するとシュラさんとマニュウさんは顔を合わせ、質問した。
「聖徳太子ってなんだ?」
「私の魔法強かった?」
「もしかして聖徳太子って人の名前か?」
「私の魔法強かった?」
「それがお前と何の関係があるんだよ」
「私の魔法強かった?」
「ああもう! うざい!」
発狂する紅木葉さん。わたしは笑いをこらえて一歩下がる。
(面白いし、このままにしておこう)
そんなことを考えながら、分裂しきったクルルの近くに来た。
「こんにちは。……伝わんないのかな。こ、ん、に、ち、は!」
と言うメイルさん。
「何してるんですか?」と訊くと「スライム語を話していてね」と言った。
私は驚いた。
「スライム語なんてあるんですか?」
「……一応ね。スライム自体もとは魔界の生き物だから、言語学には前例がなくて」
「なるほど」
私はにやりと笑う。
「わたし、会話できますよ」
「まさか」
と鼻で笑うメイルさん。私は「試しにクルルとお散歩してみます」と言いクルルに触った。
「対象名『スライム』をリロード」
私はスライムになる。
「クルル」
「あ、夕奈」
ぴょんぴょん、とこちらに駆け寄るクルル。マジ癒し。
「散歩でもしながらお話しよ」
「はい」
私とクルルは低速で回転しながら散歩する。なんともシュールな場面だ。
「それで、みんないた?」
「はい、まだ集まってて明確には分かりませんが、おそらくみんな生きてます。あの男の人のおかげで」
「それはよかった」
私がそう言うと、クルルは頬を赤らめた。
「……夕奈のおかげでもあります」
「え!? わたし!?」
なんともわざとらしい言い方になってしまった。と後悔。
「そうですよ。夕奈がいたおかげで、みんなを助けられました。ありがとう」
(ありがとう)
久しぶりに聞いた気がする。なんか、心が温かい。
「嬉しい」
「……?」
「ああ! なんでもないよ。それよりもさ」
私は照れ隠しのように話題を変えた。
それからしばらくして、わたしは人に戻った。
「ね」
メイルさんに自慢するように言うわたし。
「ま、負けた」
と言いながらメイルさんは膝から崩れた。
「ごめんなさい、悪ノリが過ぎました」
肩をそっと触る。
どうやら、明確にコピーすると思っていないと私の力は発動しないらしい。最初のは命の危険からか無意識に使っていたのだろう。
「いえ、私の負けです」
メイルさんは立ち上がり拳を上げた。
「いずれはユーナさんを抜いて見せます!」
「おー、頑張ってくださいね」
私は拍手をする。その時、私を呼ぶ声がした。
「ユーナ、ちょっとこっちに来てくれ」
「……? メイルさん、ちょっと行ってきます」
メイルさんは頭を縦に振った。
私はシュラさんのもとへ行く。
「どうしたんですか?」
「いやさ、こいつがどうしてもお前と二人で喋りたいらしくて」
紅木葉さんの顔は憔悴しきっていた。
想像を絶する拷問を受けたのだろう。ああ怖い。
私は快諾した。
「わかりました。その要件、受け入れます」
シュラさんとマニュウさんは後ろへ下がる。それに呼応して、私は前に出る。
「立場、逆転しましたね」
「そうね」
紅木葉さんは冗談が通じない程疲れていそうなので、さっそく本題に入ることにした。
私はビックスライムの下であぐらをかく。
「じゃあ、話しましょうか。私たちの今後について」
ここまで読んでいただきありがとうございます。これからもよろしくお願いします!




