学校2
私と玲美はなんとか間に合った。これから話しをするときは、教室にはいってからにしよう。
「出席とるぞー」
ああ、出席か嫌だな。自分の名前が呼ばれたら名字が変わったことを伝えよう。
黒板に書いた方がいいかな。あんまり目立ちたくないんだけど。
先生は次々名前を呼ぶ。次が私の番だ。
「小波ー」
「あー私親離婚したんで名字変わりまーす。」
私は黒板に新しい名字を書いた。
「本雅になるんでー。」
とたんに教室がざわついた。ひそひそと話し声が聞こえてくる。
私はこういうことが嫌いだ。なるべく表だったことをせず、めんどくさい奴には関わらない。同級生とも広く浅くの関係でいたいのだ。(玲美は別として)
休み時間は質問攻めを覚悟しておいたほうがよさそうだ。
休み時間、案の定みんなが私に寄ってきた。まるで、離婚という不幸の蜜によってきた虫のようだ。私の表現はおかしいだろうか?
「え?離婚ってなんかあったの?」
「よくわかんない。私の知らないところで、勝手に離婚が決まってたっぽい。」
他人には母の不倫を知られたくない。玲美は私が秘密にしたいことを悟ったのか不倫についてなにも語らなかった。
「えーマジ?勝手に決まってたんだーちょっとひどいねー」
「でしょでしょーマジうざいわー」
ここは適当に話しを合わせて切り抜けよう。
「でも結花かわいそうだねー親離婚とか」
.......カワイソウ?ナニソレ?
「それなー同情しちゃうわ。」
お前らになにがわかんの?勝手に同情してんじゃねえよ。確かに親が離婚してショックな気持ちもあったけど、私は周りからみたらかわいそうなの?
そう言いたかったけど、私はトラブルになるのが嫌なので言えなかった。
ただでさえ今は家のことでストレスがたまっているのに、これ以上面倒事をふやしたくない。
「ホントに勘弁してほしいよー」
そして私は席を立ち、逃げるように玲美に「トイレ行こう」と言った。
「あーもみんななんなの?!かわいそうとか同情しちゃうとか、私がそんなにかわいそうか!だったらほっとけよ!」
私は玲美に怒りをぶちまけた。
「みんなスキャンダルは好きだからねー。私もだけど。」
「もう離婚の話はお腹いっぱい。あ、そういえば今日カッキー来てないよね?」
カッキーとは、吹奏楽部の顧問の柿田のことだ。私と玲美は吹奏楽部である。
「あ、そういえばそうだね。休みかな。」
「カッキー来てないってことは、今日部活ないんじゃないか説が浮上するよ?」
「じゃあさ、部活無かったら今日遊ばない?」
「いいね!じゃあ、16:30いつものカフェでどう?」
「え?いちきた(一時帰宅の略)するの?」
「だって、学校に金もってきてないじゃん」
「あははーそっかーw」
そんな話をしていると、休み時間の終了を知らせるチャイムがなり、私達は教室に戻った。
それからはみんなが話しかけてくることは特になく比較的平和な1日を過ごした。
そして、やはり私達の期待どうり部活は休みになった。
「やっぱり休みになったね。」
「だねー。えっと16:30いつものカフェであってるよね?」
「うん。でも玲美とどっか行くのって久しぶりだよね。」
「確かに!最近なにかと忙しかったから。」
「思う存分語りあうぞー!」
「それじゃあ、またあとでねー」
私は玲美と別れ、帰路についた。
はい。今回は比較的平和な回でした。結花は普段は中のいい友達と一緒にいて、他のクラスメイトとは広く浅くの関係でいたいといっていましたが、これは恐らくノーマルタイプの人間でしょう。こういう人種は、クラスでいじめがあっても傍観者でいるのでしょうね。
それはさておき次回は、少し話が動きます。けれど、タイトルのイケナイ初恋に到達するのはまだまだ先になりそうです。
まあ、暇潰しくらいの感覚で見て頂けると嬉しいです。
それではまた次回お会いしましょう!