学校
正式に離婚の手続きが終わり、私は母に引き取られることになった。
なぜ父ではなく、母なのか理由は聞かされなかった。
母と私は今までどうり家で暮らし、父は隣の県にある実家に帰るそうだ。
そして、私が嫌だったのは、名字が変わることだ。
学校で、離婚のことであれこれ聞かれるのはあまりいい気分ではないだろう。
私はため息を吐きながら、リビングに向かった。
「早く朝ご飯食べないと遅刻するよ!」
母は少しイライラしているようだった。
私は黙って朝食をとった。
「ちょっと、なんとか言ったらどうなの?」
「あーもーうるさいな!」
母の言動にいちいちイライラしてしまう。
「もういらない!」
私は食べかけのパンを皿に戻し、カバンをつかみ玄関へ向かった。
「ちょっと待ちなさい!」
母の声を無視して家を出た。
行ってきますを言わない朝など何年ぶりだろうか。
そんなことを考えながら。通学路を歩いた。
「おはよー」
どこからか声が聞こえた。
「ああ、玲美じゃんおはよ。」
そこには私の幼なじみの玲美がいた。
「なんか元気ないねーどうしたの?」
そりゃあ元気もなくなりますよ。と思いながら、
「実はさー親離婚したんだよねー。最悪ー」
「え?マジマジ?なんで?」
やっぱり食い付いてきたか。玲美はこの手の話題に目がないのだ。まあ、玲美になら話しても良いだろう。
「それがさー、母さんが不倫してたっぽくて。」
「え?マジ?」
玲美はマジしか言えないのかよw
「うん。マジ」
「で、結花はどっちに引き取られたの?お父さん?お母さん?」
「それがさー母さんなわけ。MAX意味不だわーなんで離婚の原因と一緒に居なきゃいけないのかなー」
玲美にだけは私の本心を言える。
「ねえ、お母さんって不倫してたんだよね?」
「うん。そうだけど。」
「だったらさ、離婚したならその内その不倫相手連れてくるんじゃね?」
あ.......たしかに離婚したなら、もう不倫相手とこそこそ交際を続ける必要はないわけで、家に連れてくる可能性もあるんだ。
「あ、その可能性考えてなかった。」
「まあ、連れてくるっていうのが確かなわけじゃないけど、覚悟したほうが良いかもね。」
「あーマジだりぃわ。」
その時チャイムの音が聞こえてきた。
「あ、ヤバい!遅刻だ!」
私と玲美はそう言ってあわてて教室に向かった。
今回出てきた、玲美はこれから結花の心の支えになるそこそこ重要人物なので覚えておいてくださいね。
それではまた次回お会いしましょう。