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不死身の亜人は眠らない  作者: 虎鼓
0章 プロローグと始まり
1/16

事故~夢に見た世界へ~

《……──────……─────…》 ↓

《─────……───────。》 ↓

《──…間種…体──失…し─した。》 ↓

《龍人──…の取得に…しま─た。》 ↓

《─イム…体の─得に失敗しまし─。》 ↓

《不死種…の取得に─成…しました。》 。



《─が、…亜人─…ので、スキ──の取得は、出来──でした…》 ↓



《続い…──能…の付与を─行い…す。》 ↓

《─醒の能……──に、失敗し──。》 ↓

《古……─の、取得に?レ饐箭?ま──。》 ↓

《【error】─の取…b?梛齒─…した。》 ↓

《…復魔【error】得?n──失【error】。》↓

《【error】樞?搾??竭ヌ竇─【error】》 ↓

《【err【error】──?チ瘰【error】》 ↓

【erro【error】r】【error】ror】r】ror】



【error】後に、ル?禍aに転生【error】す。》 end。




「ッァ!! ッハァー…ハァー…」



辺りを見回すと、昨日の晩御飯の食器がそのまま机に置かれ、部屋も漫画や雑誌で散らかっている。



やらなきゃ、やらなきゃと思いつつもつい、もうちょい行けるだろ…とか、今日は疲れてるからごめん明日やる。なんて、自分に言い訳して先延ばしにしてしまう事が多い。


いつか、その癖は直さなきゃなんて思いながらも【いつか、】なんて使ってる内は絶対直らないんだろな──…



そんなことを、寝起きの頭でぼんやり考えながら

ふと、別の事が頭に浮かんだ。



「…─さっきのあの 夢 って…?」



まだ、薄暗い部屋を照らすテレビの明かりは、さっき見た謎の夢の不気味さに拍車を掛けるばかりだった。



『大型の非常に強い台風16号は依然その勢力を保ったま──…』



昨日の夜からずっと働き続けたテレビの電源を落とし、さっきの夢を思い出してみる。




あれ…どんな夢だったっけ……




えぇーっと───……



町の喧騒も聞こえない静かな部屋に、屋根に打ち付けられた雨粒達の奏でる心地よいメロディーが響き渡る。


その音楽が、瞼の重さを何倍にも変えていく。



もはや、瞼を開けている事さえ困難な状況になった時、先程の夢を思い出そうとしていた思考はゆっくりとその機能を停止して行った。




【──~♪】



聞き慣れた目覚まし用の音楽が部屋に流れ始めると条件反射的に起きてしまった。



それが、たとえ休みの日であっても流れてしまえば起きてしまうほどに身体が覚えてしまっている。



仕事を続けている内に嫌でも身に付いてしまったスキルだ。



その、聞きたく無い音楽で目覚めながら


(あぁー、しまった…寝ちゃったんだ…)


と軽く考えながら今日もまたダラダラと仕事の準備を始めた。




台風の接近のせいか、横殴りの大雨がやる気を更に削いでいく。


いつもの寮から会社までの距離が、今日は遥か遠くに感じる。



会社までの通勤中、風と雨にイライラしているとそのイライラの種がもうひとつ現れた。



「ハァ~ルゥ~ト~くーん!」


…─あぁウゼェー…


美少女に言われるなら舞い上がるほど嬉しいが、男に言われてもなんも嬉しくねぇーよ



露骨に無視を決め込んでるにも関わらず、近くまで来て


「おいおい 露骨に無視はひどくないか?」



空の様子とは、正反対の明るい男が近付いて来た。

てか、近いんだよ。傘も当たってるし…



俺の名前を叫びながら近いて来た男は


『赤羽 翼』もうかれこれ、10年以上の付き合いになる。


誰にでも、優しく明るい性格でおまけにイケメン。

正直、俺とは違い過ぎてもはや、別種の生き物なんだと悟っている。



軽く挨拶を交わし、職場まで一緒に歩いて行く途中にも、翼に笑顔で挨拶をしていく女性達と慣れた感じで挨拶を返す光景も見慣れたものだ。


羨ましくなんかない。決して!


他人に対してあまり興味がなく、仲の良い人以外には一線引いた様な態度しか取れない。


少しの人見知りが、ここまで人生を変えていくなんて思ってもいなかった。



特にスポーツが出来る訳でもないし、成績もそこまで良くない。


友好関係だって、広い訳ではないが数人の友達と会社の人達との付き合いもそこそこやって行けてる。



ザ・平凡を絵に書いたような男に、なりたかった訳じゃない…

小さい頃は夢もあった。


皆が野球選手になる夢を持っていたように、俺も世界を救う英雄になりたいと本気で思っていた。



子供の頃は、どんな時だってどんな場所だって世界が輝き色々な不思議なもので溢れていた。


だけど、歳を取るにつれて世界の輝きは失われていって大好きな煎餅の値上げの背景が見え出した頃には、色んな物が溢れ返った何も無い世界だと、悟った。



人に自慢出来るような特技もないし、趣味だって特にないのだが、強いて言うなら漫画が好きで読み始めると漫画と自分以外の色と音が消えてしまうほど漫画に集中出来ること。



そのせいで話を聞いていなかったり、しばしば怒られることもあったけど、最近では本気で漫画を読んでるときに邪魔するほうが悪いと開き直り始めてる。




地元のそこそこ大きな工場で働き始めてもう7年目、毎日毎日同じようなものを作り続けて毎日同じように帰って寝ての繰り返しに、人生ってこんなもんかと半ば諦めかけていた。


そんな退屈な人生の中で俺の心を踊らせてくれるのが、漫画だった。




友達や先輩のギャンブルの話や彼女の話、他にもこれは俺の人生にはなんの足しにもならないだろうと感じるような武勇伝なんかより100倍は面白い。



漫画を読むと俺も物語の登場人物になれたような気分になれるし、平凡な俺に「能力」「異世界」「まだ見ぬ才能」なんてものが夢を見させてくれる。



隣で、何時もの様にニコニコと話掛けて来る翼と一緒に歩くこの道も


いつもの通い慣れた道

見慣れた工場と駐車場

同じ職場の人間と交わす軽い挨拶



いつものことだった。


いつもと同じようになるはずだった。


人生で味わったことのないような悪寒と現実がほぼ同時に訪れるまでは。




事故の前には世界がスローになるとか、走馬灯が見えるとか言うけど、あれは嘘だ。


普通のスピードで走って来る車に思い出もなにも思い出せずに、ただただ思考が停止して動けないだけだった。


翼の叫び声がなければ、ぶつかるまで認識さえ出来なかったと思う。




微かに聞こえる周りの音と掠れてほとんど見えてない視界、徐々に消えて行く体中の痛みと引き換えに頭の中では色々な事が溢れて来る。



「あの漫画…最終章だったのに」

「あの後の展開は多分こうなるはず」

「連載再開して欲しかったな」



フッ、フフッ、最後の最期でまだ漫画の事しか考えられない自分に呆れ返りながら、本心かそれともなにかの漫画に影響されてか、誰にも届く事の無いような声で



【まだ死ねない……】



呟いたのが先か、意識を手放したのが先か。





《…─────────…………》


また、あの声だ…

ん?また? ───ッあ!



夢の内容を少しづつ思い出していく。

確か、失敗とかスキルとか能力とか……



《……───────》



頭の中の隅の方で、なにか聞こえる気がするが上手く聞き取れない…



そのあとも、機械的になにかを読み上げて行く女性の声に対して語り掛けてみるも、応答はない。



ただ、最後に微かに聞こえたその言葉に俺の心は大きくざわついた。







《…─────────に転生を行います。》








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