表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/35

17章 綻びの唄

電話はすぐに途切れ、耳の中で電子音が反芻して響き渡る。

スマホを懐の中に仕舞い、ロリスが残した意味深長な言葉を複数の観点から咀嚼して見せるも、どうも発展が無さそうだと感じた時、プツッと何かが千切れたかのように彼女は虚有縹緲きょうひょうびょうの中に漂う無情うたての存在へと為り得てしまったようであった。

倉庫の中、彼女は無頼、喟然きぜんとして歩みを始める。血が糊のように付着し、おもかげ而已のみ滞る事無く畏怖を醸し、何一切に紊乱びんらんしゆる事無ければ只、ちょうして焦燥に颯々する事も無い。無論、其れが何故なにゆえに語らん、決して頭をもたげるような魯鈍ろどんな真似はしない。


「―――行くぞ、とっとと決着を付ける。退路は確保しとけよ」


そう言うや、レイラはすぐに段ボール箱の山を調整し始めた。

退路は既に確保されており、排気口までへの入口はしっかりと整えられている。レイラは準備を終えるや、歩みを止めないユウゲンマガンの背を追った。

天井では淡々と蛍光灯が光り続けるが、其の蛍光灯の光でさえも灯す事が出来ない黮黯の闇に焦がされんとしゆる2人の運命は、果たして如何たるものだろうか…。


◆◆◆


奥へ進めば、其処は真っ暗な巨大施設に出た。

光一つ付いておらず、中には誰もいない。不思議なほど静かな世界に、2人は足を踏み出したのである。

広々とした世界は煙臭く、埃が舞っている。何があるかもしれない、と言う迄も無く不安は込み上げ、朧げとしていながらも遠くには巨大な機械が見える。

レイラは拳銃を構えながらも、先へと徐々に進んでいくユウゲンマガンについて行った。やたらと不気味なのが否めない。何処か、彼女たちはなにがし進めばいいのかディストレスになりそうであったのだ。


―――しかし、時は満ちた。突如として広大な空間に電気が灯ったのだ。

そして彼女たちはその眼で鮮明に映えた存在を見据えた。多くのチューブに繋がれた、謎の巨大な機械兵器…其れはプロメテイア・エレクトロニクス社やゼラディウス工廠でも技術力が及ばないと思われる、未知たる新兵器そのものだったのである。

何かが、否、第六感か。この兵器を見た時、彼女は何処となく悍ましい風貌に恐怖を抱いた。しかし彼女のミッション内容はこの兵器―――『究極召喚獣ディエス・レイ』の破壊だ。

そして、電気が付いたと同時に現れたのは、白衣を纏った1人の人物であった。胸にはあちこちで見た教団フィオムの紋章を象った金バッジを付けている。


「ようこそ、地下実験基地へ。

―――私の名前はルイズ。…聞いたことあるかしら?」


黄色くサッパリとした髪を靡かせ、白衣を静寂に佇ませて。

やって来た侵入者に対して無礼無く挨拶する彼女に、2人は武器を構えた。

レイラはそんな彼女を睨み据え、胸にある勲章に敵であることを確認すると決意を抱いた。


「……無いな。そんなお前よりも、どうやらこっちの兵器のほうがずっと有名みたいだ」


「まぁ、そうね。だけど……どうしてここへ?」


最もな質問に彼女たちは一旦狼狽えの色を見せたが、さぞ当たり前のように振る舞って見せる。

ユウゲンマガンは片手を懐に突っ込んだまま、何も怖くないかのようにルイズを睨んで見せる。

唐突に現れた彼女を見縊みくびる事も無ければ、決して怖がりもしない。普通に接するのが彼女の信念であった。


「―――お前を殺すためだな」


「なら、手厚く出迎えるわ。…死になさい!!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ