爆弾処理
今、俺の前には、爆弾が横たわっている。最後に、赤か緑、どちらかの線を切らなければならない。
もう、タイムリミットはすぐそこだった。俺の命が危ない。早く、早くしないと……。
俺は、警察の、爆発物処理班に属している。テロリストなどの爆弾を片付けるのが仕事だ。
今まで処理してきた爆弾は数百にも上る。失敗したことなどない。自慢じゃないが、仲間内からはトップエリートと呼ばれているのだ。
その俺をして、今回のこの爆弾は、どうにも手に負えそうになかった。最後の選択。赤の線か、緑の線か。……ダメだ、どっちを切ればいいのか全くわからない。どうする、もう時間がない……考えろ!
そもそも、どうしてこんなことになったのか……。安請け合いなど、しなければよかったものを。それなら、こんなところに呼び出されることもなかった。今更ながら、後悔する。もう、後の祭りだというのに。
まずい、本当にもう時間がなくなってきている。もう、こうなったらやけくそだ。適当に、どっちかを切ってしまうしかない!
「ねえっあなた! どっちが本命のつもりだったのっ!?」
二股をかけていた二人の女が、痺れを切らして俺に詰め寄る。
赤い服の女と、緑の服の女。
――ああ、ダメだ。やっぱりわからないよ。一体、どっちを切ったらいいんだ……。