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黄色い線の上に立って。

作者: 良島 莉子


 たまに思うんだよな。


 バイト帰りの高田馬場で西武新宿線の電車を待っていて、目の前に並ぶ人がいなくなったとき、埼京線の線路を挟んだ先の山手線側のホームの何本かの柱が人の頭の高さで複雑に組まれている1つに、頭上注意の文字が見えたりしたときに、どうしようもない虚無感を覚えて、ふと黄色い線を越えたくなる。

 強いていえば、昔、国語や道徳の授業で読んだ文学の主人公みたいに、ただ何か変えたいと思うのと同じで、僕はただ線を越えたいと願っているのだ。

 断じて死にたいわけじゃない。


 僕の虚構の妄想は、そういう「たまに思う」ことから繰り広げられていく。想像するよりも身勝手に、しかしそれは自分の気持ちを素直に表した、いわば夢であるのかもしれない。

 それを感じるほとんどの場合、僕は何かを成し遂げた後だというのに間接的に「それは間違いだ」と指摘され、僕が悪いのかと疑問を抱き、何が正しいのかわけもわからず電車に乗ったときが多かった。


 僕の学校は試験休みに入った。僕らの試験ではなくて、一個下の教育機関の学生の試験が行われるための休みであった。

 そのため僕は、夜更かしをしたり、まるで夏休みのような気分でだらけた生活をしている。

 それでも、バイトだけはずっと続けている。僕はこのバイトが好きだ。学校の近くにある夜間営業の飲食店のアルバイトだ。バイト先では多くのことを学んだ。心が通じ合える多くの仲間がいる。だから僕は何ヶ月も続けてる。

 木曜日か金曜日のどちらかひとつめの授業を休んでしまえば欠時オーバーで留年してしまうという危機に直面しているのだが、もう少しで休みに入るし、せっかくいい条件のバイト先だし、やめたくなかった。

 そうして僕は学友の一人一人に朝起こしてもらうべく頼んで、なんとか1週目の危機は乗り越えた。


 試験休みが明ければ、補講期間と僕らの定期試験が待っている。でるべき補講は、でなくても平気な内容だしこちらは欠時もセーフだ。

 試験の明けた次の週が欠時オーバーとの最後の戦いの週である。その前日にバイトを入れないのは勿論のこと、学友にも協力を頼むことにしている。


 数日前、担任の教師は私に言った。

「ダブルリーチになって何が嬉しいんだ? なんでそこまで自分を駆り立てる?」

 答えがあったとしたら僕はそれを皮肉っぽく言うだろう。


 たまに思うんだよな。


 僕が働く理由は何だろう。

 何故僕は留年対策よりもバイトを選んだのだろう。


 答えがあったとすれば、胸を張って言えるだろう。皮肉も込めて言えるだろう。

 この線を少しでも越えたら、僕はこの疑問と、やるせない虚無感から解き放たれるのだろう。


 たまに思うんだよな。


 僕は黄色い線の上に立っていて、僕に忠告する人たちは内側にいるんじゃないかって。

 こんな風に並んで、でも彼らには頭上注意の文字が見えないんじゃないかって。


 たまに思うんだよな。

 


 ちょうど1年前くらいに書きました。駄作というよりはもう完璧ゴミっす。


(自分で書いといてアレですが、この文章のヲチが伝わるのってちょっと危ないかもしれません、、。)

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