犯罪抑止バンド
犯罪の再犯率が低下しないため、その対策として「犯罪抑止バンド」が開発された。
主に再犯率の高い犯罪、薬物犯罪、万引き、空き巣などの窃盗、痴漢や盗撮などの性犯罪を犯した犯罪者に適用された。
このバンドは、悪事を働こうとすると、脳波が犯罪モードに変化し、
それを感知して、電流を流すという仕組みである。
これにより、事前に犯罪を抑止できるようになった。
覚せい剤を売人から買おうとすると、薬を受け取ろうと手を伸ばした瞬間、
バチバチバチィ!!
バンドから放電し、その電流で売人も感電した。
コンビニで万引きしようとすると、
「ギィエーッ!」
電流が流れ、万引き犯も思わず声を上げる。
盗撮犯は、
ビリビリーッ!
手にしたスマートフォンへ電流が流れこみ、壊れた。
かくして犯罪は未然に防がれていた。
犯罪抑止バンドの開発チームメンバーの田中は、犯罪抑止バンドの着用者の様子を観察していた。
今後の改良のためであった。
「初めは警告として弱い電流にしていたが、一律にそうするのはよくないかもしれないな。」
最近、着用者の中に特殊なケースが現れたのである。
最小の電流では、びくともしない。
かえって電流の刺激を喜んでいる。
電流がほとんど抑止にならない。
普通より強めの電流にしてもまだ懲りない。
あまりに強い電流にしたら、命にかかわる。
田中はどうしたものかと頭を抱えた。
本来はプライバシーに配慮して、周りに知られずに犯罪を抑止する仕組みであったが、この特殊な着用者たちには、大音量の警告機能付きに変更することにした。
「万引きは、犯罪です。やめましょう。」
スーパーに警告が響き渡る。
「盗撮は犯罪です。やめましょう。」
駅に警告が響き渡る。
「空き巣は犯罪です。やめましょう。」
住宅街にも大音量の警告が響き渡った。
この音声警告機能により、周りの視線に耐えられなくなった着用者は、犯罪を犯すことがなくなった。
羞恥心は、電流より効果があったようだ。
開発チームはこの機能を正式採用した。
マゾッ気のある一部からは、残念がる声も聞こえたが、やむをえまい。




