公爵令嬢コンスタンスはレターパックで現金を送らない。
それは王政百周年の記念パーティでの出来事だった。
「コンスタンス。今日ここで、君との婚約を破棄させてもらう!」
公爵令嬢コンスタンスの婚約者であった王太子アベルが突如そう宣言し、パーティーは混乱の渦に叩き落とされた。
「そっ、そんな……!」
ふらつくコンスタンスを抱き止め、彼女の父マシューが激高する。
「王太子よ、なぜだ!」
アベルはふんと鼻を鳴らすと、ある名前を呼ぶ。
「カレン、おいで」
呆然とするコンスタンスの前に現れたのは、場に似つかわしくない黒くシンプルなドレスを着た伯爵令嬢だった。美しい令嬢だが、その瞳には令嬢らしからぬ厳しさを備えている。そこらへんの、ただの令嬢ではなさそうだ。
アベルは言う。
「私はこのカレンと結婚することに決めた。一生を添い遂げるなら、カレンしかいない。なぜなら彼女は──」
アベルはカッと目を見開いた。
「〝自立した女〟だからだ!」
コンスタンスは目が点になった。
「なっ……!自立した女……ですって?」
「そうだ。君は私の婚約者であることにあぐらをかき、毎日しょうもない花嫁修業に明け暮れていた。その点、カレンは違う。日々研鑽を積み、いくつもの資格を取得し、自分の知識でお金を稼ぎ、地に足をつけて〝自立した〟生活をしている。私はカレンのそのひたむきさに惚れてしまったんだ。君みたいな、親に養ってもらっている世間知らずのお気楽女とはわけが違うのだよ!」
「そ、そんなこと言い出したらあなただって同じ穴のムジナ──」
王太子はその言葉を無視した。
「おいカレン。目の覚めないこいつに現実を叩きつけてやれ」
カレンは粛々と応じた。
「かしこまりました」
カレンはコンスタンスに向き合うと、泰然として告げた。
「コンスタンス様ごきげんよう。現在、この世界は男女平等であることはご存知かしら?」
コンスタンスはグッと怒りをこらえ、反論する。
「ええ、もちろんよ」
「つまり、女が家長の収入だけを頼りにして生きる時代は終わっているの。妻も夫を金銭面で支えなければならない時代が来ているのよ。だから私は、たくさんの資格を取得して自立した女になったわ。アベルに似合う女になるために、自己研鑽を積み重ねて来たのよ!」
世間知らずのコンスタンスは首をかしげる。
「そ、そうですか。具体的には?」
「ふふふ。教えてさしあげますわ」
カレンはパワーポイントを起動し、カラフルなイラストと共に熱弁した。
「秘書技能検定、宝石鑑定士、整理収納アドバイザー、食生活アドバイザー、カラーコーディネーター、アロマセラピスト、労務管理士、ヨガインストラクター、薬膳セラピスト!私はこういった資格を取得し、毎日忙しく働いておりますのよ!」
コンスタンスは〝自立した女〟に気圧された。これらの重厚な文字列の資格は、実態はよく分からないが素晴らしい響きを備えていた。確かにこういった資格を持っていると聞かされると、コンスタンスにもカレンがとんでもない〝いい女〟に見えて来るのだった。
しかし。
「わ、私だって……稼ぐことができます!」
コンスタンスも負けてはいられない。彼女は王太子に向き合った。
「アベル様、私がカレン様より稼いで〝自立した女〟になったら……婚約破棄を撤回していただけますか!?」
アベルはふんと鼻を鳴らして嘲笑った。
「まあいいだろう。しかし……君がカレンの稼ぎを越えられる日など来るかな?な、カレン」
カレンも、アベルにもたれかかりながらコンスタンスを嘲笑った。
「無理だと思いますわ。資格持ちの私より稼ぐことなど、無職の令嬢がなぜ出来ましょう?」
コンスタンスは地団駄踏んだ。
「ひ、人を馬鹿にして……!」
父マシューが取り成す。
「まあまあ。財力だけならあの伯爵家より我々の方があるから気にしない方が……」
「お父様!そんなことだから娘が婚約破棄されたのですよッ」
「?そうかなぁ……」
「私は今日から自分の力でお金を稼ぎます!だから、お父様は邪魔しないでっ!」
コンスタンスの目の色が変わる。マシューは心配そうに娘を見ていたが、多少失敗してもうなる財力があるのでほとぼりが冷めるまで好きにさせておこうと思った。
一方、アベルはコンスタンスが思いのほかアグレッシブな反抗に出たので、醜聞が表に出ることを危惧した。
彼は護衛に言い付ける。
「……コンスタンスが変な動きをしないかどうか監視しろ」
「はっ」
その日から、公爵令嬢コンスタンスは新聞漬けになった。
新聞には常に様々な資格や仕事の広告が出ている。世の中にはうなるほどの資格や職業、企業が乱立しており、読めば読むほど、どれを選ぶべきか、何が正解か分からなくなって行くのだった。
そんな時、コンスタンスは気になる求人情報を見つけた。
「ん?この仕事だったら、私にも出来そうですわね……」
街で荷物を受け渡すだけの仕事だ。しかも、破格の高額時給である。
「指定の時間に指定の場所へ荷受けに行けばいいのですね?まずはお手紙で応募……ふむふむ」
早速コンスタンスはその仕事に応募することにした。
「ふふっ。これで私も〝自立した女〟ですわ☆」
御者に手紙を持たせて早馬を走らせると、夕方には返事が来た。
次の日。
コンスタンスはその返信に記された通りの集合場所へ、早速トランクケースを持って出向く。
そこには怪しげな男が立っていた。
「あ、君がコンスタンスさん?」
「はい!お世話になります!!」
「あの喫茶店で待っている〝ケヴィン〟っていうおじいさんから封筒を受け取って欲しいんだけど」
「はいっ」
「受け取ったらトランクケースに入れて、それを港まで持ってきて、僕に渡すんだ。分かったね?」
「了解ですっ」
コンスタンスは店に入ると、早速ケヴィンという老人と対峙した。
ケヴィンは席についたコンスタンスの姿を見るなり、さっと青くなる。
「う、うちの息子はあんたみたいな高貴なお嬢さんを妊娠させたのか……?」
コンスタンスは意味が分からず首を傾げた。
「?事情はよく分からないのですが、とりあえずその封筒をお渡しになって?」
「金なら払う!だから息子の秘密は口外しないでくれ!」
「は、はあ……」
コンスタンスは封筒を受け取った。空いているので中身を見てみると、わずかながら紙幣が入っている。
「ではお預かりいたしますね☆」
「頼む……!息子のことは許してやってくれ……!」
コンスタンスは意味が分からず、とりあえずトランクに封筒を突っ込むと喫茶店を出た。
「ふう、何だかおかしなことを言われましたわ。私、妊娠なんてしていませんのに……?」
コンスタンスはぶつくさ言いながら角を曲がる。
と。
突然、両脇を兵士に抱え込まれた。
「!?」
兵士たちはこそこそと話し合う。
「王宮へ匿え!」
「その封筒を老人に返して来い、早く!」
「なっ、何をなさいますの?私には大事なお仕事が……!」
コンスタンスは突如現れた兵士たちによって、王宮の妙に目立つ煌びやかな馬車に押し込まれた。
王宮に到着すると、コンスタンスはアベルの前に引き出された。
「コンスタンス!君は特殊詐欺事件に加担するところだったんだぞ!!」
コンスタンスは小首をかしげた。
「えっ?どういうことでしょうか……」
「これだから世間知らずは困る。あれは〝受け子〟と言って、詐欺に使う金を受け渡しする危険な仕事だったんだぞ!」
「まあっ。では私は騙されていたのですか?新聞広告という健全な媒体で募集をしていたのに……」
「本当に君は世間を知らないんだな……ああいう犯罪組織だって、企業を装って金を払えば簡単に新聞へ広告を載せられるんだぞ」
「そ、そんな……!」
「君の罪は未然に食い止められた。もう訳の分からん仕事に手を出すんじゃないぞ!」
コンスタンスは公爵家に戻された。
「はあ……お仕事って、するどころか、見つけるだけでも大変ですのね」
しかし、自立した女になるため手を止めるわけには行かない。確かあのカレンは、沢山の資格を有していた。
「やはり女が男並みに稼ぐには、資格を取らないとだめなのですわ。ん?〝特許管理士資格講座〟……?」
新聞広告によると、〝特許、実用新案、意匠、商標のアドバイスが出来る資格〟とある。何やら難しそうだが、役に立ちそうな資格である。
「〝士業〟……素晴らしい響きですわ!」
コンスタンスは士業に憧れを抱いていた。
「よしっ、この資格を取りに行きますわ。ふむふむ、王都にスクールがあるのですね?」
早速コンスタンスはそのスクールに入学することにした。御者に手紙を持たせて早馬を走らせると、夕方には契約書とシラバスが来た。
コンスタンスはその授業料を見て目を丸くした。
30万デニーとある。なんと、公爵令嬢コンスタンスの一か月分の生活費と同等の値段である。
「あら?結構お金が要りますのね。でも、背に腹は代えられませんわ!」
コンスタンスはいてもたってもいられず馬車に乗り込むと、入学金を支払うためそのスクールの住所まで走らせた。
御者が彼女を降ろしたのは、王都外れのスラム街にある掘っ立て小屋である。
「あら?……ここがスクールですの?」
もっと王宮のような頑丈な建物の〝学校〟を想像していたが、ずいぶん小さな学校だった。
小屋の中には、飲んだくれたおっさんが寝転がっている。
「すみません。あなたがこのスクールの学校長ですの?」
おっさんは令嬢の声に気づいて起き上がった。
「あんだあ?」
「あのう、特許管理士資格講座を受講したいのですが」
「おう、いいぜ。30万デニー寄越しな」
「うーん。ところで、どこでお勉強するのですか?この小屋はとても狭くて多くの生徒さんを受け入れるキャパシティがなさそうですが……」
するとおっさんは急に声を荒げた。
「あんたねえッ。今は女も手に職の時代だよ!?30万デニーも払えねえで資格取りたいなんて、考えが甘いんだよッ」
コンスタンスはぐうの音も出なかった。
「わ、分かりました……払いますわ」
そう宣言した、その時だった。
「突入ー!」
突如号令がして、掘っ立て小屋に兵士が流れ込んで来た。
コンスタンスが目を丸くしていると、兵士がその両脇を抱えこんだ。
「さあ、王宮へ行きますよコンスタンス様」
「まったく世話の焼ける……!」
彼女はずるずると小屋を出された。
例によってコンスタンスは兵士たちにより、煌びやかな馬車に押し込まれた。
王宮に到着すると、コンスタンスはアベルの前に引き出された。
「コンスタンス!君は危うく詐欺にひっかかるところだったんだぞ!!」
コンスタンスは小首をかしげた。
「私が詐欺に、ですか?私はただ学校に行こうと思っただけなのですが……」
「あれは〝資格商法〟の手口だ。考える時間を与えず、入学金だけを振り込ませようとする。君みたいな、職無しで資格取得の向上心だけはある切羽詰まった人間を食い物にする最低の詐欺なんだぞ!」
コンスタンスは愕然とした。
「そ、そんな……!」
「しかも学校運営の実態すらない架空業者だったと来たもんだ。役満だよ」
「ううっ。私、〝自立した女〟になりたかっただけですのに……あんまりですわ!」
アベルも、どこか気まずそうにコンスタンスを見下ろす。
「もう諦めろよ……」
「嫌ですわ!」
「次こそは、詐欺に引っかからないようにしなくては……!」
コンスタンスが公爵家で〝週刊実○〟などの雑誌から特殊詐欺について学んでいると、そこに一通の手紙が舞い込んだ。
なんと、差出人はあのカレンである。
「まあ!〝自立した女〟が私に何の用かしら……?」
コンスタンスは手紙を読み下した。
「……お茶会のお知らせですって?」
どうやらカレンは他の令嬢も集め、毎日のように盛大なお茶会を開いているらしい。これはその招待状であった。
「クッ。きっと、アベル様の次の婚約者に選ばれた記念のパーティに私を呼んだのね……!どこまでも私をコケにして!」
コンスタンスは手紙をぐしゃぐしゃに握り潰した。
「きっとこれは私への挑戦状……受けて立とうじゃありませんか!」
カレンに負けないよう、高貴な格好をして行かなければならない。コンスタンスは自分の衣装の中でも一番豪華なドレスを着て、目から火を出しながらカレンの住む屋敷へ向かった。
カレンの屋敷は、王都の一角にあった。
思ったより小さな屋敷だったが、豪華な馬車がぎっしりと停まっている。かなりの人数を招待したようだ。
コンスタンスが屋敷に入ると、そこはどこぞのご令嬢でごった返していた。立食形式のようだ。コンスタンスは令嬢たちが立ちながら飲食することに少し疑問を感じた。こんなにぎゅうぎゅうに人を集めて、どうする気なのだろうか。
そこに、満を持してカレンがやって来た。
「皆様ごきげんよう。では早速〝販売会〟を始めますわよ!」
なぜか拍手が沸き起こった。コンスタンスは驚いてきょろきょろと周囲を見回す。
(あら!?これは一体どういうことかしら……?)
カレンは、コンスタンスなどには目もくれない。
召使たちが、ガラガラとカートを押してやって来る。
カートに乗っていたのは、まばゆいアクセサリーたちだった。どれもずいぶんと派手なデザインだ。
カレンはその中でも、一番高そうな大ぶりのネックレスを掲げた。
「このアクセサリーは、上代価格30万デニーの高級ネックレスですわ!エメラルドを中心に、ダイヤを散りばめておりますの。こちらをお買い上げになる方はいらっしゃいますか?」
ざわざわと会場が騒がしくなる。カレンは彼女たちを見渡すと、更に言った。
「……そう、とってもお高いですわよね?ですが、今日は何と……特別にこれを〝会員価格〟で販売させていただきますわっ!」
客の半分が、途端に「わーっ」と歓声を上げる。しかし、あとの半分の令嬢は困惑顔だ。
それを舌なめずりするように見回し、カレンは叫んだ。
「今日に限り!これがなんと会員様価格10万デニーですわ!さあっ、欲しい方はいらっしゃいますか?!」
どうやら会員とかいうものにならないと、あのネックレスはあの価格で手に入らないらしい。
しかし。
(ネックレスなら、いつでもお屋敷で買えますわ……)
公爵令嬢のコンスタンスは、欲しいものは全て商人に屋敷まで持って来させるのが当たり前だった。わざわざこんなところでよく分からない工房のアクセサリーを買うことはない。
だがここにいる〝会員〟たちはあのアクセサリーを喉から手が出るほど欲しいらしく、みな血走った目をしてハイハイと挙手している。
カレンは場を制した。
「では……そうね、マリーベル様にお買い上げの権利を差し上げましょう。前回も購入していただいたご恩がございますので」
マリーベルはうっとりした顔で、例のエメラルドのネックレスを手に入れた。
少し、会場が異様な空気に変わる。そこでカレンは畳みかけた。
「この宝石サロンでは、会員様に限り大幅に値下げをさせていただいておりますの。その代わり、会員様からは毎年1万デニーお支払いいただくことになっております。そうです、年間1万デニーを支払うだけでこの宝石たちが毎回格安で買えてしまうのです!入会がまだの方がいらっしゃいましたら、あちらのスタッフにまでお声がけくださいませ」
一部の令嬢が、わーっとひとりのスタッフに群がって行く。特殊詐欺に引っかかり続け〝週刊○話〟を購読し続け勉強して来たコンスタンスは、この会場の異常な空気感に何となく気づき始めていた。みんな、かつてのコンスタンスと同じ焦燥感にかられている。
(おかしいですわ。買う権利も値段も、カレン様の一存で決まる販売会なんて……)
するとその時だった。
「あら?あなたは公爵令嬢のコンスタンス様ではありませんか」
急にカレンから声をかけられたのだ。コンスタンスが驚いていると、彼女は腕を掴まれ、宝石の前へと引っ張り出された。
「皆様!今日は何とあのドブル公爵のご令嬢、コンスタンス様がいらっしゃっておられますのよ!拍手〜!!」
わーっと拍手が湧く。コンスタンスは一気に青ざめた。
「この宝石サロンは、なんと公爵令嬢様も利用される〝正規の〟宝石商なのですわ。公爵令嬢様と同じ宝石が欲しい方は挙手~!!」
わーっと操られているように手が挙がる。固まるコンスタンスの首に、カレンが豪奢なネックレスをまとわせた。
カレンはその耳に静かに囁く。
「ふふっ、どうです?コンスタンス様、あなたもこのお仕事をやってみるというのは……」
コンスタンスは目を剥いた。
「はあ?」
「この宝石を売るためには、横のつながりがとっても大事ですの。あなたが新しくご令嬢を紹介して下されば、その分のマージンを差し上げることも可能ですわよ」
「!?い、嫌ですわ。そんな、仲間を売るみたいなこと……!」
「あら、そんなことをおっしゃっていていいのかしら?王太子様は〝自立した女〟がお好きですのに」
そこで、コンスタンスは全てのからくりに気づいてしまった。
「ま、まさかカレン様。あなたは人脈を得るためにアベルを利用していたの!?」
「〝利用〟だなんて人聞きが悪いですわ。私は人脈を得た末に、王太子様に辿り着いてしまっただけです。そう、偶然運命の糸が繋がってしまっただけ……」
「そんな馬鹿な!」
「あなたこそ、そんな悠長なことを言っていていいの?私より稼ぐ女になりたいんでしょう?」
コンスタンスは怒りにパクパクと口を動かしていたが、ふと我に返って呟いた。
「あっ。そうだ、監視……」
カレンは首をひねる。
「何かおっしゃいましたか?」
「監視の人が来ているの」
その時だった。
バン!と部屋の扉が開かれ、どやどやと兵士が入って来たのだ。会場は一気に騒然となった。
「!?」
驚いているカレンを、兵士が組み伏せる。
「ねずみ講の容疑者を確保!」
そしてコンスタンスは再び兵士たちに両脇を抱えられ、外に出された。
「さあ、王宮に行きますよ」
「世話が焼けるな~もう」
例によって彼女は、煌びやかな馬車に押し込まれた──
王宮の中庭では、王太子アベルが頭を抱えていた。
「はあ……まさかカレンがねずみ講の会員だったとは……」
「しかもあの宝石の価格は景品表示法違反でしたわね。宝石は全てガラス製だったそうですわ」
「更に、別の王族や貴族にもデート商法をしていたそうだ」
「まあ……!」
二人は中庭でお茶会をしている。コンスタンスが尋ねた。
「婚約破棄は、どうされます?」
アベルは苛立ちついでに叫んだ。
「……婚約破棄を破棄だ!君をこれ以上野放しにして、特殊詐欺の被害に遭わせるわけには行かない!」
「まあっ。陛下、まさかそれって愛……?」
「違う!監視だ。君みたいな危ない令嬢はむしろ、結婚しておいて国家で監視した方が安心安全だ!本当に君は世話の焼ける女だな!!」
こうして王太子アベルの号令のもと、この国では特殊詐欺一掃作戦が始まった。
その数々の作戦で、王太子妃自らが詐欺の囮になり続けたというのは有名な話──
お読みいただきありがとうございました!




