表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキル最弱魔王は、愛の力で戦況を一気に覆す  作者: あざらし かえで


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/10

2.魔王の微笑

 牢に入れられていたのは、一人ではなかった。

 一人は屈強なグリーンの肉体を持った大きな声のオーク、一人はネイビーの長い髪とヘビのような身体を持つ者。

 

 別の種族の者がそれぞれ隣同士の牢に入れられている。


「オークとラミア……しかも、武装しているのか。どこかの勢力に所属しているのか?」

「あー……なんだっけかなぁー……覚えるの苦手だから分かんねぇ……」

「そ、そのオークさんはきっと……グルガド・グルズ連隊の方かと。わたしは……セイレナイツ遊撃軍に所属していました」


 ラミアは長いネイビーの髪をぷるぷると震わせながらゴールドブラウンの片目を潤ませ、ゼルキオスに訴えてくる。

 ゼルキオスは視線を隣のエールネスへ投げた。

 エールネスはゼルキオスの視線を受け、牢の中の二人を見ながら口を開く。


「グルガド・グルズ連隊は力第一主義の野蛮な隊ですね。オークやゴブリンなどの種族たちの集まりです。一方、セイレナイツ遊撃軍は美しさに重きを置いている軍でラミアやハーピーたちが多い軍。二つの派閥は嫌悪しあう関係です」

「で、こいつらは俺の命でも狙ってるって言うのか?」

「ゼルキオス様は魔界に住む者たちから常に狙われているお方。お母上であらせられるアグナリアン様は討たれましたが、お子であるあなた様は魔王を継ぐ者。ゼルキオス様から魔王の称号を奪わなければ、新たな魔王を名乗ることはできません」


 エールネスが淡々と告げていく言葉を聞きながら、ゼルキオスは不機嫌そうに鼻を鳴らす。

 そして、気だるそうにオークとラミアを順番に眺めてから二人の牢の間にしゃがみこんだ。


「で、お前たちに一応問うが。コイツの言う通り、俺の正体を知ってこの地に入り込んだのか?」

「と、とんでもございませんっ! わたしは……元々所属していたセイレナイツ遊撃軍を追放された身。どこにいても恐ろしくて仕方ないと思っていたときに、とても安心できる場所を見つけたのです」

「ああん? 知らねえよ、あんたのことなんか。ただ、行ってこいと言われたから突っ走っただけだ」


 ラミアとオークの言い分を聞き、ゼルキオスはつまらなそうに欠伸をしてからふむ……と面倒そうに二人を順番に見る。

 次第に眉間にしわが寄っていき、面倒……とついには口に出した。


「……ゼルキオス様、どういたしますか?」

「どうって……放り出してもいいが、このオークがうるさくてかなわん。敷地なんていくらでも余ってるだろう? ここには俺とお前しか住んでいないのだからな」

「成程、このような者たちでも戦力としてお加えになるということですね?」

「戦力というか……いや、そういうことだ」


 ゼルキオスはエールネスからの無言の圧力を感じ、仕方なく頷く。

 そして、もう一度ラミアとオークを順に見ながら……今までとは全く違う表情を浮かべた。

 その表情は魔王と言う名にはふさわしくない、温和で優しさに満ちた微笑みだ。


「お前たち、我が配下となることを許そう。これからはこの辺境の地アモルディアのために尽くすがいい」

「……っ! は、はいっ」

「おうっ!」


 震えていたはずのラミアも、話が通じなかったオークでさえも従順に頷いてゼルキオスに忠誠を誓う。

 無表情だったはずのエールネスさえも、口元にわずかな笑みを浮かべていた。


「それでこそ、ゼルキオス様です」

「……お前、絶対そう思ってないだろう? 魔王とは名ばかりの非力な俺に、よくもまあ過保護に世話を焼いているもんだ」

「ゼルキオス様には立派なお力があるではありませんか。魔の者たちには決して持ち得ないその力。愛のお力です」

「愛……いつ聞いても鳥肌が止まらないからやめろ。どうせなら母の偉大な魔王の力を受け継ぎたかった……」


 ゼルキオスはぶつぶつ文句を言っていたが、エールネスによって牢から出されたラミアとオークはゼルキオスの前に忠誠を誓うように(ひざまず)いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ