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永追の異世界線戦  作者: 社会の歯車
第0章 異世界転移編
2/12

2話 ようこそ!

            2話


           ようこそ!


 目を開ける。が、その感覚は乏しい。開けていることを外観的に理解させられている様な気になる。


 俺は……死んだのか……?


 「“君は生きている。奇跡的なタイミングだったよ”」


 その言葉で、その声で、ようやく意識が覚醒した気がした。

 辺りを見渡す。暗い。でも僅かな明るさがある。そう、例えるならウチの廊下の明るさだ。リビングから漏れる僅かな光のみで照らされていたあの廊下。ここに立つ俺は少しふわっとした感覚もあるが、しっかりと直立した姿勢で“彼”の前に立っていた。そう、先ほど俺相手に話しかけた者の前に。


 “ここはどこ? ”

 「“私は誰? って。なんちゃって〜ハハハハッ。あれ? あんまりウケなかったかな?”」


 俺の素直な問いかけを、彼は茶化した。でも不思議とイラついたりはしない。全てが終わった気でいたからだ。


 「“へー。君は心が広いんだね。この状況で、右も左もわからないこんな状況で、目の前の奴に茶化されてもイラつかないなんて。そう、そりゃまるで……天使みたいだぁ”」


 天使というワードに重みを感じた。けどそれはどうでもいい。今真っ先に気になったのは……。


 “俺の考えていること、わかるんだね”

 「“そりゃーね。だってここは君の精神の中だからさ”」

 “精神の……中?”


 何を言っているんだこの人。ん? そもそも人……なのか? 見た目は全身漆黒に包まれていて、筋肉質であることが窺える。背丈は俺と同じくらい。黒い羽が何枚か生えていて、頭上から天使の輪をもっと禍々しくした様な物が浮いている。正面から見ると王冠にも見えるか。


 「“ボクは人じゃない。堕天使だよ。どうだい? 君が想像していたそれに近いかい? それともちょっと違ったかい?”」


 堕天使と聞くと、暗くて怖いイメージがせんこうする。


 “違わないかな。ただなんていうか……とても強そうだね”

 「“ハハハハッ。まぁ見た目はそう見えるのかもねぇ。けどボクは全然強くなんてないよ。何せボクが君の精神の中に入っている理由が、ついさっきまで死にかけていたからだもん”」


 っ! そうだ忘れていた。俺がここで考えるべき内容はそこじゃない!

 目の前の堕天使に駆け寄ると、格好や表情なんかには一切気を回さないある意味無礼な感じで問いかける。


 “俺は死んでない。君はさっきそう言ったよね! それは本当なのかい? 堕天使さん”

 「“おーおー、凄い勢いだなぁ。一旦落ち着いてよ”」


 突然迫った俺に困惑する様に、堕天使は半歩後ろに下がって身体の前に手を置く様に俺の接近を制止させる。


 “あっ、ゴメン。まだ君の話を最後まで聞いていなかったね。先に君の話を聞かせて欲しい”

 「“いいやいいよ。ボクとしては君に対して下手に出る立場なんだ。好きに質問しまくってくれちゃっていいよ。じゃあ、君が生きている……最初にボクが言った台詞について知りたいんだったね?”」


 俺は深く頷く。


 「“ずばり! 君は生きています! 文字通り肉体的にも、人間的にも……!”」

 “………なんで?”

 「“ほえ?”」


 家族を皆殺しにし、心と身体が引きちぎられるような絶望を味わった。だから首をひと刺しにして自殺したはず。なのに……なのにどうして……どうして俺は生きている。あんなに大切な人を殺しまくったのに、自分だけは殺せなかった。そんな……そんな……。


 「“2つ、君の今の言い分には訂正すべき点がある”」


 今度は堕天使が俺の顔に自分の顔を寄せてきた。声色にも力がこもっていて、ドスが効いているようにも思える。その風体と今の感じでわかった。目の前にいるのは、本当に堕天使なんだなと。


 「“あーゴメンね。急に顔近づけて話したらそりゃ怖がるよね。ボクも今のは悪気があった訳じゃないんだ。怖がらないでくれ。それに、これからボクがする2つの訂正を聞けば、ボクがいかに君の思い描く堕天使とは程遠いかがわかると思う”」

 “2つの……訂正?”

 「“そう。2つ訂正があるんだよ。じゃあ早速1つ目だ。1つ目の訂正、それはボクの介入がなければお望み通り君は自殺出来ていたということ”」

 “えっ⁉︎”


 どういうことだ? そういえばさっき、この堕天使は自分がさっきまで死にかけていたって言ってたな。じゃあ、あの時俺の腕を噛みちぎった“何か”ってのももしかして直感的に思った者。つまり、本物の悪魔なのか? いいやそんなはずがない。悪魔なんて現実に存在するはずが……。


 「“うんうん確かにそうだね。君が常識とする世界において、天使だの悪魔だの堕天使だのってのは存在しない。じゃあさっ……”」


 堕天使は両手を真横に大きく広げる。そして満面の笑みを浮かべ、言葉の力を強めた。


 「“ここに居るボクという存在はどうなるの? 確かに居るよね君の目の前に。君の精神の中だからこそ手にとる様にわかるでしょー? ボクという存在が……いかに本物かってことが”」


 何を言っているのか、何が言いたいのか、何に話を収束させたいのか、全く掴めない。

 困惑だ。それしかない。


 「“ニヒヒッ。まぁつまり何が言いたいかっていうとさ。君の常識とする世界には存在しなくても、他の世界には居るかもしれない……いいや居るんだよ。天使だの、悪魔だの、堕天使だのって存在がね……”」


 わかってきた。コミックや小説の中だけの話かと、そう思える出来事でも……。こうも立て続けに自分の目の前に多くの事実が並び立つと……思えてしまう。


 「“ようこそ! ボクの居る世界へ。ようこそ! 君で言うところの……異世界へ!”」


 俺はただ、自殺したかっただけなのに、なぜかその行為が……異世界に足を運ぶ流れとなっていた……。

読んでいただきありがとうございます! 次の話で物語の土台が整う予定です……。


次回の更新は2025/10/25 21:30です!


それでは!



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