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ユミナちゃんのベット事情

 オニキス・オンラインのベットの大きな役割は二パターンある。


 一つはプレイヤーがリスポン更新やログアウトする時に活用されるパターン。


 もう一つはゲーム内で休憩できるシステム。ベットで横になると時間指定ができる。一時間と選択すれば、ゲーム内で就寝ができるようになる。休憩ならログアウトして現実で、と考える者もいる。


 だが、現実は何かと騒音に悩まされる。防音も侵入される危険性もない安全性でゲーム内で休憩するプレイヤーも多い。流石に長時間の睡眠は推奨されていない。VR器具にも安全マージンはちゃんと組み込まれている。


 私はベットでの役割。この二パターンを毎日活用している。

 一つ目はログアウトするには必要不可欠。これは全プレイヤーがそう。


 で、二つ目。自分が言うことではないと思うけど毎日色々な女性と寝ている。

 決して変なことではない。レーティング関係でR18展開は発生しない。せいぜい一緒にお風呂に入る。裸のお付き合いってやつ。


 ベットで寝るのは当然だけど。このベットが問題になる。元々私のお城は吸血鬼の始祖でもあるアイリスから譲り受けた。権利が私に移っているので自由にボルス城をカスタマイズできる。今までは従者や使い魔が増えたので居住区を増築したりと細々と改造してきた。


 話は戻る。私が使用しているベットは三人が横になるサイズだ。これでも十分だけど、言い換えれば私含めて三人しか寝れない。だから毎日私と寝るために従者で熾烈な戦いが行われている。


 そこで、とある案が出た。私のベットを新しく製造すること。これが幸運でもあり悪夢の始まりでもあった。

 まず、調度品は全て撤去された。ベットしかない部屋は生産性のない無機質な部屋と化した。次にベットの面積が検討され、最終的に部屋を埋め尽くす巨大なベットで決着された。


 おかげで、私の自室九割がベットに侵略された。特注の特大ベットの誕生。

 部屋内を移動するのもベットの上。ゴロゴロしても果てしないベットの上。落ちないから良いけど、やりすぎだったと若干、後悔している自分がいた。


 ま、みんなが喜んでいるなら良しとしよう。




 ◇


 私はオニキス・オンラインをログインした。

 目を開けた私の視界は至高の光景が広がっていた。


 薄い黒のネグリジェを着て寝ているアシリアがいた。アシリアは聖女NPC。金色の髪に緑色の瞳。身長は私の目線に頭があるくらい。160cmあるかないか。お胸は少しあるくらいかな〜 柔らかいから良しッ!!


 そして、アシリアと私は結婚してる。その証拠にアシリアの薬指に私とお揃いの結婚指輪をはめてる。オニキス・オンラインはプレイヤー間でもNPCとも結婚できるシステムがある。


 結婚してる間柄だから、一緒に寝ているのは当然といえば当然。でも、慣れない。現実でも恋人(彼女)がいる私でも、如何せん慣れない。


 こんな超絶美少女と同じ部屋で同じベットで寝ているシュチュエーションはドキドキが止まらないよ!!!!!!!!


 私は違和感を覚える。


「うん?」


 アシリアの背後や自分が見える視界いっぱいを観察してもアシリアしかいなかった。いつもなら愉快な従者達が私のベット内で寝ているはず。


 考え込む私と目があうアシリア。


「あ!?」


「おはようございます、ユミナ!」


「おはよう......アシリア」


 私が目を逸らしていたのをアシリアは逃さなかった。


「どうかしました?」


「え!? なんでも......ないよ」


 小悪魔的な笑みを浮かべるアシリア。

 マズイな......。この展開は。


 R18展開はゲームのレーティング上できない。でも、それ以下なら問題なく発生する。条件付きで。

 プレイヤーとNPCのムフフな展開は明確さされている。まず、プレイヤーがNPCに触ろうとすると強制牢獄行きになる。情報によるとむっさい男性看守が警護しているとか。


 相手からの同意があれば回避できる。純粋な、がつくけど。

 NPCからプレイヤーに触ろうとしてもNPCが牢獄行きにはならない。


 アシリアの白い手が私の頬に触れる。


「緊張してるのですか?」


「え、えっと......」


「ふふん。可愛い♡」


 アシリアの顔が近づく。

 熱いキスを受ける私。


「......今日、凄いね」


「久々ですもん。美味しい!」


 アシリアのキス攻撃力が上がっていく。私もレベルアップしないと飲み込まれてしまう。


「幻滅しましたか? それとも......はしたなかったですか!!?」


 先ほどの小悪魔的なアシリアは消失。頬を赤く染め、恥ずかしい素振りを見せる年相応の女の子がいた。


「全然!! 聖女のお仕事頑張っているんだもん。私ができることならなんでも言ってよ!」


「ありがとうございます」


「あっ!? それでみんないないのか」


 アシリアのためにみんな遠慮した。これなら()()に他の従者がいないのも納得がいく。


「はい。皆様、お優しいです。一名を除いて......」


 後ろから抱きしめられた。細い腕だった。背中からいつも味わってる特盛の圧力。


「おはようございます。お嬢様!」


「ちょっと!?」


 寝起きのヴァルゴは私の耳を舐めていく。最近のヴァルゴは私の耳がお気に入りとなっている。

 愛撫の音が響く。こ、これは......ダメなやつだ。


「エネルギー補給、ありがとうございます♡」


「少しは手加減してよ」


「やめて欲しいのですか?」


 その言葉は反則だよ......ヴァルゴ。嫌って言えなくなるじゃん......


「ヴァルゴ」


 低い声が聞こえる。アシリアだった。


「貴方、仕事はどうしたのですか?」


 私の従者にはそれぞれ、仕事を与えている。ヴァルゴは主に他の従者へ戦闘訓練を任せている。聞くば優しくわかりやすく教えているとか。みんなに教えてあげたいよ。ヴァルゴの本当の教育方法に......


「今日の分は終わらせました。皆さん上達が早くて助かります」


「そのまま永遠に教鞭してればいいのに」


「本音が漏れてるよ、アシリア」


「失礼しました、ユミナ」


「アシリアばかり独り占めは良くないです。お嬢様はみんなのモノです!」


 ユミナ様はユミナ様のモノだと思うけど......


「それじゃあ、アシリアも私の耳舐める?」


「え!!?」


「ヴァルゴに左耳ヤられたけど、右耳残ってるし」


 アシリアの葛藤は数分続いた。顔を覆っていた手が剥がれる。


「では、お願いします」


「はい。お願いされます」


 そう言って私は体を方向転換した。背中をアシリアの方面。前をヴァルゴの方面へ............はぁ!?


「ヴァルゴ!!!!!!!!!」


「いきなり大声出さないでください、お嬢様」


 振り返ってヴァルゴの姿を見て絶叫してしまった。だって、ヴァルゴ着てないんだもん。

 RAZOKU? オマエ、ヤリヤガッタナ......てか、スゴッ!!?


「落ち着いてください、お嬢様」



 これが落ち着いていられるかぁああああ!!!!!!!!!

 ノーリアクション不可避。耐えれないって。

 今のヴァルゴの姿を見て、冷静になる方が難しいわ!!!!!!!!!!!!!!!



「ヴァルゴ......服を着ることをオススメします。今のヴァルゴの姿はユミナには刺激が強いので」


 アシリアさん。眼圧と低音ボイスはやめて。胃がキリキリ痛みそう。


「ほら、早くお嬢様を楽しませてください。私はお嬢様を前から愉しみますので♡」


「くぅうう。待ってください、ユミナ。すぐに色魔から救い出してあげます」


 そう言ってアシリアは私の右耳を攻撃し始めた。


 てか、アナタは何と闘っているのよ。

 アシリアも大概色魔だと思うけど......ま、いっか。


「そんな熱い視線はダメですよ、お嬢様」


「だって......逸らす方が失礼かなって」


「揉みます?」


「ドストレートに言わないでよ!?」


 口では反論してしまった。でも抗えない魔力が私の目の前にある。

 ヴァルゴは私一筋でユミナ以外に触られるのを良しとしない。

 嬉しい反面、過激になってしまう画面が多々ある。


「......け、検討させて頂きます」


「それは楽しみですね♡ でもまずは......。お嬢様、ご覚悟はよろしいでしょうか?」


 相変わらず綺麗な姿。言い忘れてたけど、ヴァルゴも私のお嫁さんです。証拠に私とアシリアと同じ指輪をはめている。愛の証明。これからも愛の証は増えていく。


「......お手柔らかに」


 ヴァルゴと唇が重なる。お互いの頬が赤い。ヴァルゴのキスは情熱的だった。


 私のゲームライフは愛する者たちからのキスで始まる。



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