"まあいい"
家の葡萄の花芽が
いつもの年よりも
たくさん出ていた。
楽しみになってきた。
たくさん実りそうに
見えるけれど、
減らしたほうが
実つきはいいだろう。
少しだけ花切をした。
そして、途中で止めた。
全部をするのには、
根気がなかった。
流れに任せよう
勝手に落ちる花もある。
売るためのものでなし。
自然に任せようとした。
そう言うと体裁はいいが、
サボっているだけだ。
きちんとしてやれば、
そこそこ上手くできるのに。
まあいい、まあいい、
生きてきたほとんどが
そういう風、だった。
人生は絡まった葡萄の蔦。
成り行き任せでは、
形の良い葡萄には
ならないのを知っている。
知っているからね。
初めはそうではなかった。
自然に葡萄が生えは
しないだろう。
自分が植えている。
かなり面倒なことだが、
それでも植えていた。
あればいつだったか。
思い出せないほどの昔。
まあいい、まあいい、
たぶん、それはそれで
ありながら、言いながら、
植えていた気もする。
知らずに植えたが、
葡萄は育てやすかった。
樹勢が強くてどんどん
伸びてゆく。
どこまでも伸びられたら
人間が困るから、
切り詰めるということで、
葡萄は何を思ったか。
樹勢のような人の勢いが
ある人なら、
まあいい、まあいい、
それでもいいのだろう。
自分は正反対だから、
成り行き任せだから、
花芽は少ないようだ。
実は美味しくなろう。
庭の様子を書こうか。
昔は時々書いたが
今はほとんど
書いていない。