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椿の茶会

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

幻想奇譚、渡の両親の話。

いつの間にかヒューマンドラマになってました。

桜花爛漫にはまだ至らぬこと季節。 真っ赤な椿が豊かに花開く春分の日。彼岸と言うことで、私達は祖父の墓参りを終えた。

逢い引きに墓参りを選ぶのは、傍から見たら少し変わっているかも知れない。重いと思われるかも知れない。けれども大切な儀式だとも思っている。

彼はそんな事を知ってか知らずか、庭先に膨れた椿を見詰めていた。

細枝に幾つも葉を付けたその先に、花弁を重ねた椿が顔を此方に向けていた。手荒く扱えば折れそうなその腕は、翁の様に脆い。

「とても綺麗だ。椿がこの時期に、こんなにも赤く咲くなんて知らなかった」

「赤くないと、祓えるものも祓えねぇだろ。現世に戻んぞ」

活がないと戦えない。力が無いと勝てない。何時までも沈んでいる訳にはいかない。早く俗に戻ろう。


墓参りを終えて、近くの喫茶店を訪れる。ホテル内のレストランの様な、スタイリッシュな店内は、若人から老人に至るまで多くの人々が利用していた。私達は店員に案内されるままに、ボックス席に腰を掛ける。注文するのは決まっている。

「アフタヌーンティーのセット二つ」

店員がその場を去る前に告げて、私は彼の様子を伺った。振り回されて、何がどうなのかイマイチ理解していない様だった。

「祖父が生きてたその頃は、墓参りの後に此処に連れてって貰った。頼むのはアフタヌーンティーのセットだった」

基本的に実家と折り合いはそんなに良くない。何時も礼儀に厳格で、褒められた事よりも叱られた事の方が多かった。『行儀が悪い』『口が悪い』。両親は口を開けばそんな事ばかりだった。

それでも祖父母は優しかった。孫だから、というのも強かったかも知れないが、よく私の事を褒めてくれた。良い事をすると、小洒落た店に連れて行ってくれた。

「赤椿が良く似合う人達だった。私の事も椿のようだと表現してくれた」

他の花弁が也を潜めるこの季節、寒露に抗う椿のようだと。でも私からしてみたら、あの老夫婦のほうがよっぽど椿のようだった。謙虚で優美なその姿勢は、何時だって鮮明に覚えている。

アフタヌーンティーのセットが届く。二弾のティーセットに飾られた精巧な料理達は、どれも美しく、完成されていた。心臓が……痛い。

「あんまり悲しみを引き摺ってはいけないよ」

――あんまり悲しみを引き摺ってはいけないよ。

目の前の彼と、脳裏で聞かされていた祖父の声が重なる。あの人達もそう言っていた。故人を偲ぶのは手を合わる時だけで良い。今は生者との語らいを大切にしなさいと。その為に、互いにお茶を交わすのだから。

「……っ」

だったら……だったら……態々思い起こさせる様なところに、生前連れて来ないでよ。

数十年前から変わらない、真っ赤なカメリアが色付くティースタンドは過去の老紳士、老婦人を連想させた。

幻想奇譚は少しお待ち下さい。

出来たら投稿予定です。


本当は幻想奇譚として出す予定でしたが、想像以上に重たくなりました。渡の両親の話です。


以前どっかで書いたのですが、両親との折り合いはそこまで良くないんですよ。口の悪さも反骨心からですし。

じゃあ何処でお嬢様趣味を受け継いだのか考えてみたら、こうなりました。

多分、祖父母の影響かなーと。

品のある紳士淑女みたいな感じで、可愛がっていたらいいと思います。

だから花言葉の意味で椿なわけですが。


でも祖父母はその椿の性質を孫に伝えていそうですね。

椿って他の花が咲かない中でも、花を開くんですよ。

逆境に抗う。という意味で表現してそうですね。


まぁ似たような花に山茶花ってのがあるんですけど。

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