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終わりの始まり。

[第9話] 終わりの始まり。


私は確かにあの時、消える呪文を唱えた...。

それは現実世界に起きて、実際に目の当たりにしている...。

しかし、消えるにしては時間差があるような...。

もしかして呪文は失敗だったのか?

夢美Bはあの日に消えていなくて、自殺は自らの意思なの?

真相は分からないが、奇しくも最終的には独り歩きの恐怖から免れた形になったのだ...。


一方世の中は...。

有名カリスマ美容師の自殺ということもあり、ニュースで大きく取り上げられるが夢美自身は元気に生きているという現実...。

だが、巷で幽体離脱が流行り出しているせいでマニアの中では同じ人間が存在している状況は何も不思議ではないようだ。

そのお陰で、夢美は夢美Bの存在を説明するのに時間は掛からなかった...。


その一方で...。

テレビや雑誌では、これをきっかけに世の中が幽体離脱ブームであることを取り上げ始める...。

それに便乗するかのように、人々は幽体離脱を身近なものとして捉えるようになっていく...。

そんな中、もう一人の自分をコントロール出来ずにいる事例が多く、決して幸せになるものではない事実がニュースで明らかになりつつあり、それに関連した自殺や事件も起き始めていたのだ...。

しかし、幽体離脱を取り巻くニュースに関しては取り上げる時期が遅かったようで、実際は大きな社会問題に変貌していたのだ。


どうやら、幽体離脱を取り巻く出来事は夢美だけの問題ではなくなってきている...。

同じ人間がニ人存在する状況は、世の中に幽体離脱がある限り認知されてしまっているため、その現象はもはや日常の風景と化してしまっているのだ...。


この幽体離脱ブームには裏がある...。

もう一人の自分を生み出す幽体離脱が流行した背景には友人の魔美が深く関わっていることが判明している...。

実は魔美はただのお嬢様ではなくアイドルとしても活躍しており、名前を変えて活動していた。

芸名は「かおる」。

オカルト好きから「オカルト」をもじった名前にしたらしい...。


とあるバラエティ番組がきっかけなのだが、「かおる」が幽体離脱が趣味であるという話の流れで、もう一人を生み出す様子をテレビで披露して見せたのだ...。

アイドルのぶっ飛んだ行動に、瞬く間に世間は幽体離脱の話で持ちきり。

気が付けば、幽体離脱のマネごとするファンが溢れ始めていた...。

魔美はこれに便乗する形で幽体離脱イベントを開き、ファンから荒稼ぎを働いていたようだ。

ブームの先駆けを作った張本人と言ってもいい。


あの自殺騒動から数週間...。

私が眠りについていると、夢美Bが枕元にやってきた。

「本当は早く体に戻りたかった」

「あんたも疲れたでしょ」

「もう少し休んだ方がいいよ」

と、告げられると急に息が苦しくなった...。


夢美Aは悟った...。

「自殺しても念だけは、この世を彷徨っているのかもしれない...」と。

今までの行動を振り返ると夢美Bに甘えていた時期がたくさんあった気がする...。

私も何だか疲れたし夢美Bに命を奪われるなら本望だ...。

" 疲れた " んじゃなくて、すでに " 憑かれていた " のだ...!!

夢美Aは気を失った...。


あの時自殺した夢美Bは夢美Aと入れ替わったということか...?

じゃあ、ニュースの当時はAとBどちらが本人なんだ?

真実は本人にすら分からない...。


翌朝...。

昨晩の出来事が無かったかのように、現実社会で夢美は普通に忙しく働いている...。


世間からは、どちらが本当の夢美Aで夢美Bだったのか誰も知る由はない...。


他人から見たら、AかBかなんてどちらでも良いらしい...。


本当の夢美はどこへ?


3年後...。

本来の夢美の存在は未だ明らかになることはなく、時が経った。

世の中でも幽体離脱によるもう一人の自分が起こす事件や悲劇が続いていた...。

そんな事態に国が動き出す...。

悲劇を未然に防ぐ為に法案が出されることが決まった。

ついに幽体離脱が法律により禁止されることとなったのだ。


結局、一人二人役なんて........。

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