第2章 30話 楽園に住む者は戦場に守られている
絡み合いながらそれでも前に進もうとする青春を描いています。恋愛、友情様々な感情と共に歩む物語です。
「あ、おれそろそろ部活いかないと」
そういって大輝君はガタンと勢いよく立ち上がった。
「そうだね。私も生徒会いかないと」
大きなリュックを軽く持ち上げながらさわやかな笑顔で、
「遥ってすっごい話しやすいんだな。俺、知らなかった」
「ありがとう。大輝君がたくさん話してくれるからだよ」
大輝君とこんなにちゃんと話すの初めてかもしれない。
私、新見遥と大輝君は生徒会や部活が始まるまで一緒に教室で過ごしていた。
最近は一緒にいることも多かったのにほとんどしらないことばっかり。
「大輝君、またお話しよ?」
「もちろんいーぜ」
「頑張ってね」
「遥も」
そういって手をぶんぶんんと振りながら教室を出ると廊下を走って行く音が聞こえた。
ねえ、大輝君?
たくさんお話できてよかったよ。
すこし警戒すべきかと思ってたけどそんなことなかったみたい。
まだそこまでは仲良くなっていないからわからないけど大輝君が風香ちゃんの子と好きなのは多分確定かな?
風香ちゃんのこと話すときだけ生き生きしてたし。
安心して、大輝君。
風香ちゃんが大輝君に振り向いてくれるようにしてあげるから。
風香ちゃんが雄志に振り向かないようにするから。
それまではとりあえず仲良くしようね、大輝君。
――――――――――――
「おはようございまーす」
ねむけと疲労が重なった声とともに生徒会室を開ける。
「ゆうくんおはよう」「あ!おはっゆうくん」
望先輩と渚先輩の声が定位置に座って談笑していた。
「あれ、ゆう君遥ちゃんは一緒じゃないの~?」
「はい。てっきりもう来ていると思っていました」
いつもは遥と一緒に登校するのだが今日は用事があるから一人で言っていてと言われたのでもう生徒会に来ていると思っていた。
「めづらしいねー遥ちゃんが最後なんて」
「ですね」
「確かにめづらしいですが、まだ全然遅刻というわけでもないのでゆっくりお話しましょ、ゆう君」
「え、望私も入れてよ」
自分をアピールするように渚先輩は望先輩の目の前で手を振る。
渚先輩かわいいからいいけど俺みたいなやつがやったらまじで通報ものだろうな。
「もちろん渚も一緒だけど、前みえない」
「やった~」
「じゃあ私お手洗いにいってくる~」
小さなポーチをもって渚先輩はスキップで生徒会室から出た。
「ゆうくん、二人でちゃんと話すのは久しぶりだね」
「久しぶりですね。毎日あってはいるんですけど」
「もっとゆう君は話しかけてくれてもいいんだよ?あ、遥さんもね。二人とももうすこしフランクに来てくれたらうれしいかも」
い、いやそれは望先輩が生徒会活動しているときなんかキャリアウーマンみたいですこし怖いって言うか……。
たまに遥もそんな時あってこわいんだよなぁ。
「ゆう君?」
「ご、ごめんなさい」
こういう時何話したらいいんだ?
空があれば望先輩も好きって言ってたし話しやすいと思うんだけど今見上げてもコンクリートの天井だし。
「ゆうくんに生徒会入っていただけてすごく助かってますよ。遥さんもゆうゆう君も先生からの評価も生徒からの評価もすごく高いですし」
「ほ、本当ですか!いつご迷惑をおかけしてばかりなのでその言葉をいただけて嬉しいです」
俺はそういって頭を下げるとなかなか次の言葉が俺の耳に届かない。
おそるおそる顔をあげると、
ぷくー
かわいらしいほっぺたをした望先輩がむすぅとと不満げな顔で俺を見つめていた。
「ゆう君言葉が固いですよ。今は仕事中ではないのですから気楽に話してください?」
えぇそれでむすぅってなってたの?
かわいいですね、先輩!
いやでも……
「望先輩だって敬語じゃないですか!せめて先輩はもっと気楽にはなしてください!」
と俺が言うと望先輩は自分の敬語が無意識だったのかそれとも窓から差し込む夏の日差しに充てられてか顔を赤くして、
「私はいいの!」
と望先輩の声が生徒会室に響いて数秒後俺と望先輩の笑い声が生徒会室を包み込んだ。
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これからさらに青春を加速し絡み合う糸がどのように解けていくのか一緒に見届けてもらえたらなと思います。




