第2章 第27話 今はまだ振り返った君の手を取ることしかできないけど・・・
すれ違いながらもそれでも前に進もうとして絡み合う青春を書いています。
(私が二人を守りたい)
スマホ越しに聞こえてきた風香の声はどこか一歩踏み出したようで、俺、海原雄志はすこしうつむいた。
月明りだけが照らすリビングにカランと解ける氷の音が響く。
一歩、また一歩と風香が前に進むごとに俺はその背中しか見ることができない。
まってと手を延ばすこともできないし、君を後ろに振り向かせるわけにもいかない。
かと言って君に追いつくような大きな一歩は俺には踏み出せない。
足踏みしている自分を見ないように星を見ながら俺は確認するように聞いた。
(団長と紗季たちに何があったのかは聞いてないんだよね?)
(うん)
(二人は応援団をどうするとか聞いた?明日からの練習とか)
(うん。さっき紗季ちゃんにNineしたら明日は参加するって来てたよ)
あんまり早退とかしなさそうな紗季や良太が今日練習を早退してすぐ明日から復帰ってのはすこしひっかかる。
ちょっとのことなら二人とも気にしなさそうだからこそすぐ明日復帰ってのはなにか……。
あ、そういうことか。
ここで大輝が登場ってことか。
大輝は紗季たちと団長の事情知っているだろうし遥が風香と大輝が一緒に居るの見たって言ってたし、そこで相談うけて大輝から紗季たちになにか言ってとりあえず落ち着かしたって感じか。
いや、でもさっきの風香の話には大輝は出てこなかったけど俺の考えすぎかな?
(ねえ、風香?大輝は何か言ってた?)
俺はあえて相談している前提で聞いてみた。
(え?大輝君?二人に対しては何も言ってなかったけど手伝ってくれるとは言ってくれたよ)
遥が風香と大輝がい一緒にいるところ見たって言ってたしその時話したのだろう。
すごいな大輝は。
紗季たちだけじゃなくて風香をも前に進ませるなんて俺には到底できない。
やっと進みだすために入った生徒会もまだまだみんなに迷惑かけてばっかりなのに、大輝は部活でも1年なのにレギュラー。
どうしたらいいんだよ。
俺だってみんなを守りたいし進みだした風香に追いついて俺もみんなの横を歩きたい。
大輝や遥みたいに誰もが尊敬する人になるのはまだ難しくても俺だって風香や紗季、良太、大輝そして遥を守れるようになりたいのに。
そんなに先に行かないでよ。
夜に自分を隠し続ける俺より風香やみんなを照らす大輝に手を引かれてしまうのはわかるけど。
だったら俺の手も引いてよ……。
(雄志君?)
何かを言いたいけど何を言っていいのか見つけることができず言葉に詰まってしまう。
(今日雄志君にね、電話したのは今の話を聞いてほしいだけじゃないの)
そういうと風香はスマホ越しにも聞こえる大きさで深呼吸をして、
(雄志君と遥ちゃん、大輝君と私で紗季ちゃんと良太君が笑顔で応援団楽しめるように守っていきたいなってのをお話したくて!まだ大輝君と遥ちゃんには言ってないのだけど、まずは雄志君に伝えたくて)
一歩一歩と踏み出して背中しか見えなくなっていたはずが俺の近くまで戻ってきて、差し伸べてくれた手を握るように俺は答えた。
(二人を守ろうな、風香)
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