第2章 第25話 大切な人たちと大事な人。わがままな自分
恋が実る前の青春という、周りが一歩を踏み出そうとする中自分は一歩踏み出せているのかそんなもどかしさを感じながら成長する物語です。
(大輝ちょっと時間ある?)
部活から帰ってご飯を食べて走り込みをしてシャワーを浴びる。
毎日のルーティーンが終わった後、俺、獅子原大輝はストレッチをしていた時紗季からNineの通知が来た。
開脚中の足をそのままにしてNineを開くと紗季との個人チャットではなくて良太、紗季、俺の3人のグループに送られてきていた。
(どした?)
送信ボタンを押すとすぐに2つの既読マークが表示される。
(大輝今、通話できるかな?)
今度は良太から。
(おっけーだぜ)
風香が今日おちこんでた理由と関係あることはまぁまちがいねーよな。
ということはあの団長関連ってことだろうな。
足を閉じてベッドに寝転んでグループ通話を開始させた。
(やほ大輝)
(お疲れ様、大輝)
紗季と良太がすぐに参加する。
(二人ともおつ。で、どしたんだ?)
俺は回りくどく聞く頭もないので率直に聞いた
(今日団長と話したんだよ。うちと良太。それで……)
それから紗季は今日あったことを細かく俺に話した。
(それで昔のことがフラッシュバックしちゃって、風香に迷惑かけちゃって)
風香が落ち込んでた理由はそいうことか、なるほど。
(おまえらさ、もちろんフラッシュバックしたのはわかるしつらいのもわかるけど風香今日すっごい落ち込んでたぞ?)
俺がちょっとだけ強めに言うと少しの沈黙の後に、
(ごめん)
と一言紗季がつぶやく。
(おい良太、お前は風香の落ち込んでることに気が付かなかったわけじゃないだろ?)
(あぁ。だけど……)
(だけどじゃねーよ。紗季の横に居たんだろうけど、そのあとでも風香に声かけたのか?)
(いや……)
だめだ。
紗季と良太が辛かったのもわかってはいるけどそれでも風香に辛い思いさせたことに怒りを抑えられない。
(大輝、ごめん。でも良太はずっとうちの、私の横にいてくれたの。だから私が悪いの)
(いや、紗季はわるくない。僕がわるいんだ大輝)
はぁ……。
紗季も良太もあの時からなんにも変わってない。
一人で抱え込む癖もだれかを守るために自分が犠牲になることも。
(おまえらさ、二人だけでなんでかかえこむんだよ)
ため息交じった俺の言葉を二人は無言で聞く。
(あの時も二人がお互いを守るために犠牲になろうとして、でもたまたま俺が二人を救うことができたよな?でも今は違うだろ?)
二人が静寂を作る中、俺は大きく息を吸って続ける。
(風香だけじゃない。雄志や遥だっている。風香は本気で紗季たちのこと心配してたし、雄志や遥も忙しい生徒会の中何回も応援団に来てくれてただろ?ちゃんと頼れよ。頼ってあげろよ。頼ってほしい人が悲しんでるのに頼ってくれないのって悲しんでる人と同じぐらい辛いってお前らならわかんないはずないだろ)
(ごめん……ごめん……)
震えた紗季の声がスマホ越しに伝わってくる。
少し言い過ぎたかもしれないけど二人ならわかってくれるはずだ。
(良太、お前も気持ちはわかるがちゃんと俺たちを頼ってくれよ。いつでも待ってるから)
(うん……)
紗季のすすり泣く声がスマホから聞こえる。
俺は聞こえないようにため息を吐いて話し始める。
(次風香にあったときに良太と紗季から説明するか?おれから言っておこうか?)
(いや、僕から風香ちゃんには話すよ。雄志と遥ちゃんもできれば同じときに。もし難しかったら別で話すよ)
(良太……。私も一緒に行く。風香にごめんっていわなくちゃ)
(そうか。ならよろしく。ただ、無理はすんなよ。ゆっくりでいいからな。)
(ありがと)
(わかった。ありがとう)
それからすこしして紗季が落ち着いてきたので俺たちはグループ通話を閉じた。
「はぁ……」
大きなため息を吐くと、なんだかベッドに沈んだ気がする。
紗季と良太があの団長を怖がってるのもわかるし正直風香に言えない気持ちもわかる。
二人は大切だし幼馴染だし笑っていてほしい。
でも今は……今だけはバスケに集中させてくれよ。
「次の大会が最後かもしれないんだ……」
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