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イケメンなのに陰キャすぎて幼馴染としか喋れません  作者: ひめのなぎさ
第二章 夏休み
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第2章 第22話 夜になりかけた夏空はまだどこかで太陽が照らしている

最後の5行にもどかしさを抱えながら成長しようとする青春を込めました。ぜひ読んでください。

  「ごめんまったー?」


 トントントンとまるでアニメの女の子のように廊下を走ってセンター分けの男の子の前で止まる。

 あえてわざとらしくカッターシャツの胸元をパタパタとさせながら待たせてごめんねとかわいくウインクをしてみる。


 「かわんねーな、渚」

 「え~なにが~?」

 

 小悪魔っぽくとぼけると、男の子は「ちっ」と舌打ちをして、


 「そうやってまた男をだましてんのか?うぜぇからさっさと要件いえよ。さっきまで会議で一緒だった宮前を置いてきたんだからその演技もいらねーだろ」


 はぁ

 めんどくさ

 せっかく男の子が好きな、いや君が好きだった渚をしてあげたのに。

 しょーじき演技のほうが楽になってるんだけど。


 「ねえ、雄大君?んーん青団団長って言った方がいいかな?」


 目の前の男の子、井島雄大はポケットに手を突っ込んでなんだ?と低い声で私に問いかける。


 「後輩に何するつもり?」

 「何の話だ?」

 「篠原紗季、三木良太」


 井島雄大はその名前に眉毛をすこし動かす。


 「お前、どこまでしってる」


 さっきよりもさらに低い声に挑発するように私は甘ったるい声で、


 「きゃーこわ~い。風のうわさで聞いただけだよ~」

 「宮前には手を出さない。お前に害は与えない。お前が動く理由はないだろ」

 「うーんそうだね~。でもね、応援団がちゃんと進まないと生徒会に迷惑がかかる。結果望に迷惑がかかるの」

 「応援団は問題ない。篠原のことも三木のこともお前らには関係ない」

 「そっか~。ならいいや」


 私はひらりと半回転して手を後ろで結んで2,3歩歩いて思い出したようにまた井島雄大のほうを向く。


 「復讐はあんまりおすすめしないよ?私は傍観者になるけど、うちの後輩結構やるから気を付けてね」


 にこっと笑った後くるりとまた回って、小さくなった西日が照らす道をぴょんぴょんと跳ねていった。


 ――――――――――――


 食器の入った袋を両手で持った遥はまるでお気に入りのぬいぐるみを抱きかかえる小さな女の子に戻ったようにニコニコの笑顔で俺、海原雄志の横を歩いていた。


 「よかったな。いいのあって」

 「うん!帰ってさっそく洗わなきゃ」

 「俺の家に置いとくんだから俺がもらっとくよ。今日か明日には洗っとくし」

 「いやでも……」

 「どーせほかのも食器も洗わなきゃだし、ぜんぜんいーよ」

 「じゃあお言葉に甘えようかな?でも……?」


 あ、やべ……。

 洗ってないお皿ためてるのばれた。

 い、いや言っても昨日の夜からですからね?

 

 「えーーっと、ごめんなさい」

 「よく言えました。ちゃんとすぐ洗うんだよ?」

 「はい……」


 くすくすと笑う遥の横で俺は注意された犬のようにしょぼんとする。


 「はいはい雄志。顔上げて。危ないよ」

 「はい……。あ、そうだ。ドーナツ買いに行こうよ」

 「ドーナツ?」

 「うん。前風香がしんどそうにしてた時遥をパシリにしちゃったじゃん。あれのお詫び」

 「え?いいの?冗談だったんだけど?」


 え、逆に冗談だったんですか?

 結構マジだと思ってたんですけどね。


 「行かないの?」

 「行く」

 「もう結構暗くなってきてるしテイクアウトにして帰ろうか」


 遥は家でご飯が準備してあるだろうし今食べて夜ごはん食べられなくなったら遥と遥の両親にも申し訳ない。

 遥もそれがわかっているのでうんと頷いて俺たちはドーナツ屋さんに向かった。

 



 「ありがと、雄志」

 「いいよ、これぐらい。そもそもお礼だし」


 ドーナツを買って外に出るともう太陽の姿は見当たらなかった。

 ただ夜というにはまだ明るい。


 「ねえ、雄志?」

 「ん?」

 「大輝君の試合楽しみだね」

 

 大輝の試合?

 今週の土日でみんなで見に行くけど話題としては唐突すぎる。


 「う、うん。急にどした?」

 「んーん。大輝君頑張ってほしいなって」

 「だな」

 「そういえば風香ちゃんからなにか連絡あった?」

 「風香?いや、ないけどどしたの?」

 「今日大輝君と二人で話してたの偶然見たの。ちょっとだけ風香ちゃん落ち込んでるような気がして。でも大輝君が傍にいたから大丈夫かな」

 

 大輝がそばにいたから大丈夫か。

 まあそうだよな。

 大輝なら大丈夫か。


 「大輝がいたなら大丈夫でしょ」


 自分に言い聞かせるように吐いた言葉は、俺から逃げるように夜になりかけた空へと逃げていく。

 その言葉を追いかけていい理由も、横の女の子を置いていく言い訳も今の俺には持ち合わせていなかった。

 

 


 

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