2章 第21話 私の居場所
【感謝17000PV】儚くてすこしだけすれ違い、そのすれ違いがさらにすれ違いを生む青春の物語です。
シュワシュワと鳴る炭酸のようにどんな会話かはわからないけどいろんなところからパン、パンとはじけるような声が聞こえる。
目の間を走り去る小さな子供と心配そうに見つめながら私たちに謝罪を込めた会釈をするお母さんに私たちも会釈を変えす。
夕暮れの田舎のショッピングモールには、仕事終わりのサラリーマンや小さな子供連れの親子、ちらほら高校生もいる。
同じ制服を探して見つけるたびにすこしびくっとしてにぎゅっとスカートをつかむんで横の男の子の顔を見てすぐスカートから手を放す。
「久しぶりに着たかもこのショッピングモール」
私、新見遥がそういうと雄志は目線を私に向ける。
「たしかになぁ。俺もたまーに来るぐらいかな。スーパーは家の近くだし来る必要あんまりないもんね。でも遥はお洋服とか見ないの?」
「私は基本ネットで買うし、駅の商業施設のほうが私たちの年代にあったお店はあるからみるとしたらそっち見るかな」
あぁなるほどと言って雄志は手をぽんとたたく。
たまにおじさんくさいんだよなこの幼馴染。
あんなにデートっぽく誘ってショッピングモールにつれてくるって本当にデートじゃん……
顔がまた暑くなって手をパタパタとして風を送る。
雄志は私と一緒に居てもなんにも思わないのかなぁ。
「遥?どした?」
手をパタパタとしていると雄志が心配そうに私を見る。
「ううん。何でもないよ。で、今日は何しに来たの?」
「ちょうどついた。ここに来たくて」
そう言われて着いたのは食器?とかキッチン用品が置いてあるお店。
すっごい高級品とかのお店ではなさそうだけど最近人気のキッチン用品を取り扱ってるお店ぽい。
「えっと、なにか買いに来たの?」
ハテナマークを浮かばせて私は首を傾げる。
雄志はふぅと小さく息を吐いてまた大きく吸うと、
「俺の家にさ?遥の食器ないじゃん?だからね、遥が俺の家でご飯食べるとき用の食器買いに来たの」
え?
雄志?
確かに雄志の家で食べるときは余ってる食器つかってたけどでもそれは私がお邪魔してるから当たり前で。
「俺は遥に助けてもらってばっかりだから何をお礼していいかわからないけどせめてこれぐらいはさせてください」
ごめん。
雄志ごめん。
雄志が思ってるほど私はいい子じゃないの。
最初は雄志のお母さんから頼まれてるから雄志の家事の手伝いをしてたときもあったけど今は違う。
ただ雄志の横に居たくて。
もう学校ではあなたの横にはたくさんの人がいるから。
だからせめて家では、家だけは私が横に居たくて。
「雄志……」
「いつもありがとね。遥のやつ選ぼ?」
そういって雄志は店内に入っていく。
私こそいつもありがと、雄志。
シュワシュワと炭酸がはじけたような周りの話し声はもう聞こえなくて、炭酸のない甘いジュースのような青春に足取りを軽くして私も店内に入った。
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