第2章 第19話 照れた君と目が合っていったん逸らしてまた合わせる
誰かが笑うと誰かが悲しんで。そんな複雑に絡み合う青春を書いています。
「どーしたの、風香?」
「大輝君!?」
くしゃっと笑ってまぶしすぎる夏の太陽を隠すように私、松原風香を覗き込む大輝君は自分の名前が呼ばれたことにびっくりしたのか目をまん丸くしながら、
「た、大輝です!」
と手を挙げながら自分の名前を叫ぶので私はぷはっと吹き出してしまった。
「風香??」
こんどは困り顔になっている。
ゴールデンレトリバーみたいでちょっとかわいいかも。
「大輝君部活は?」
「今休憩。風香はなんでここに?」
「えっとね……」
団長と話して紗季ちゃん、良太君の様子がおかしかったこと、助けたかったけど何をすればいいのかわからなかったことをゆっくりと話した。
となりに座った大輝君はうんうんと相槌入れてくれながら聞いてくれる。
一通り話し終わると手を顎にあてて空を見つめたあと、
「そっかー。そゆことか」
とだけつぶやいた。
「団長と紗季ちゃんたちは知り合いなの?」
「紗季と団長は知り合いだな。まあうーんまあ知り合いなのは知り合いか」
おそるおそる私はどういうことか聞いた。
「紗季や良太の口から言ってないなら俺からは言えない。ごめんね。でも、昔いろいろあったんだよ。だから二人ともあの人にはいい思い出ないかな」
私のせいだ。
私が応援団なんかやろうって言ったから。
私のために二人は参加してくれた。
私が参加しようなんか言わなければ二人は参加しなかったのに。
私のせいだ。
またあの時みたいに私のせいで……。
「でもな?」
さっきより半トーン高い声にふと大輝君の顔を見上げる。
「紗季と良太は風香と一緒にやりたくて参加してるんだよ。団長があの先輩なんてもとから知ってるだろうし、ただほんとに風香と応援団したかったんだよ。だから紗季と良太のために応援団つづけてくれねえか?」
「う……ん。で、でも……」
で、でもやっぱり私のせいで……
紗季ちゃんにこんな思いさせたのは私のせい。
助けてくれた人にこんな思いさせるなんて私最低な女だ。
しかも元気づけてくれる大輝君の言葉を信頼できないなんて本当に最低だよね。
「雄志じゃなくてごめんね。俺うまいこととかいえねーから。こんな時どうしていいかわかんなくて……」
「あっ、えっと、いや」
大輝君まで傷つけて私なにしてるの?
「でも!俺は風香を守りたいから!頭よくないしこんなとき気が利くこといえるわけじゃねーけど、それでも風香の横にいるから!」
横に座っている大輝君のまっすぐな瞳が私に向けられる。
目が合うと恥ずかしそうに1回逸らしてまた目が合う。
「ありがとう、大輝君。大輝君の言う通りがんばりたい。でも紗季ちゃんと良太君大丈夫かな……」
「紗季なら大丈夫。良太が居るしいざとなったら俺と雄志がいるだろ?」
「そうだね。雄志君と大輝君いるなら安心だね」
えへへと笑いながら大輝君はあ、やべといって立ち上がる。
「ごめん俺部活戻らなきゃ!風香残りの練習がんばってな~。紗季たちにおしえてやってくれ」
うん!と元気よく答えて、ずっと持ってたタオルを返そうとすると、
「それ使ってないから使ってよ!日差し強いからタオル持ってた方がいいよ」
大輝君に言われていまさらタオルを持ってきていないことに気が付いた。
雄志君も大輝君もこういうところ気が付くもんなぁ。そりゃあモテるよね。
「ありがと、大輝君。部活頑張ってね」
「おうよ!」
体育館に走りながらバイバイと手を振る大輝君に私も手を振る。
本当に優しすぎるよ。
雄志君や大輝君、紗季ちゃん良太君それに遥ちゃんも。
私もみんなみたいになれるように頑張らなきゃ。
あ、雄志君にも今日のこと伝えた方がいいかな?
今日の夜連絡してみようかな。
どこか遠くで風鈴の声がちりんちりんと聞こえそうな青空はまだすこしまぶしくて手に持ってるタオルで影を作りながら練習に戻った。
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