第2章 第14話 雄志だけの私にしてよ
【感謝15000PV】青春をこめて儚く綺麗な物語です。
キャラクター全員の感情の揺れ動きにフォーカスしました。
ぜひお読みください。
夏のじめじめした空気の中に夜の残り風がさらさらと私を通り過ぎていく。
週明けの月曜日、私、新見遥はいつもよりすこし早く学校に来ていた。
スマホの画面を明るくすると、
7時30分
激務の生徒会とは言え、開始時間は朝の9時前から。
まだあと1時間以上時間がある。
「はぁ」
風に乗せられてどこかへ飛んでいきそうな小さなため息を1つ吐く。
コツコツコツ
運動部の掛け声や吹奏楽部の演奏の音や応援団の練習の声のような夏休みの学校を包む声も全く聞こえない。
ただ、私の歩く音が異様に響く。
先週の週末は家族の用事で家を空けていた。
だから雄志には会えてない。
もちろん平日は生徒会の用事でほぼ毎日会っているけど、土日両方とも雄志の家に行かないなんてほとんどなかった。
多分昨日も一昨日も通話をしたら出てくれると思う。
けど通話はそのまま寝落ちしたもん!
あれ結構はずかしかったし、雄志は全然きにしてないっぽいし?
普通カップルとかがやるものじゃん!
あーもぅ!
顔が熱くなってるのが自分でもわかる。
手で顔をパタパタとしながら、ふぅと息を吐く。
そうじゃなくて!
今度は夜の残り風を選ぶように冷たい空気を吸って、湿ったような重たい空気を吐き出す。
雄志は何を感じてるの?
通話もそうだし、会えなかったこの土日だって何を思って一人で暮らすにはすこし大きいその家で何を感じていたの?
この1か月ちょっとで雄志はすこしづつ前に踏み出してる。
君の中に私はまだちゃんといる?
ほかの子に私は負けてない?
私だけの雄志じゃないのはもう知ってる。
だったら、雄志だけの私にしてよ。
靴を履き替えて校舎をゆっくりと歩く。
人影のない校舎。
君はまだ来てないの知ってる。
でも、君が着たときに私がいられるように。
少しでも横に居られるように、見てもらえるように。
そのために私は早く来たんだよ。
生徒会室の前で夏のねっとりとした空気を吸い込んで、
「ふぅ」
冷たい空気を吐き出して、
ガラガラ
「おはようございます!」
誰もいない生徒会室に元気な声を響かせた。
――――――――――――
「望、おっは~!」
校則ギリギリの短いスカートをひらひらとさせて私、宮前望のほうに駆け寄ってくる。
「おはよう、渚」
「今日も生徒会ってちょっと多いよ~」
「ごめんね。でも渚は副会長だし私の親友だし信頼してるよ」
私はふふっと笑うと、
「ええ~うれしい~。がんばっちゃお!」
にこにこな渚を見て私もさらに笑みがこぼれる。
「あ、望?」
「なに?」
「一緒にフラペチーノ買っていこう?」
「買い食いは校則違反です」
「ええ~?じゃあうちが買ってあげる!そしたら望は校則違反じゃないもんね」
「いや、そういうもんだ……まあ、いっか。私も買うよ」
「やった~」
渚が私の前をスキップする。
「そういえば望?」
すこし真剣な顔に戻って渚が私を見る。
「どうしたの?」
「今回の青団の団長ってどんな人か知ってる?」
青団は雄志君たちの団で、団長は私たちと同じ高2が務めている。
「青団の団長がどうかしたの?私はよく知らないけど。でも人気がある人ってのは聞いたことがあるよ」
「そっかー」
「どうしたの?」
「ううん!なんでもない!それより早くフラペチーノ買いにくよ!」
そう言って渚はスキップをしてぴょんぴょんと離れて行った。
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