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イケメンなのに陰キャすぎて幼馴染としか喋れません  作者: ひめのなぎさ
第二章 夏休み
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第2章 第13話 真夏の17時の空はちゅうぶらりんでなんて名前を付ければいいかわからない

儚くて短くて辛くて、でも振り返ったらきれいな青春を書いています。

ぜひお読みください。

 まだ夜というには早すぎて、昼というには遅すぎて、夕方というにはまだ空は青くて。

 真夏の17時の空はちゅうぶらりんでなんて名前を付ければいいかわからない。

 家から出てふらふらと蓋をしていたはずの感情から出ていった罪悪感は、名前のない空をさまよっている気がする。


 「雄志君?」


 ほんのすこしだけ隣を歩く風香が俺、海原雄志の顔をすこし困った顔で覗き込む。

 たしかに「遠回りしよ?」って誘っておきながら俺がだんまりしているのはおかしい。

 

 「ごめん。空を見てたんだ」

 「空?」

 「うん。宇宙とか俺好きなんだけど、空も好きなんだよね。特に夜空が好きなんだけど」

 「雄志君たしかに好きそう」


 ふふっと笑いながら風香は続ける。


 「雄志君よくぼーと空を見てるもんね。授業中だから夜空じゃないけど」

 「え、ばれてたの?うそぉ」

 「ばれてるよ?隣の席だし」

 「たしかにそりゃそうか」

 

 またふふっと笑う。

 

 「風香って笑顔増えたよね」

 「え!?」


 急に自分の話題になってびっくりしたのか、もとからぱっちりとした目がさらに大きく見開いている。


 「おれもだけどさ?学校でほとんどしゃべらなかったからあんまり風香の笑顔見てこなかったなって。でも最近はよく笑う」

 「雄志君たちのおかげだよ」


 こんどはすこし照れたようにえへへっとかわいらしく笑った。

 

 

 そんなことを言いながら緩やかな坂を上っていると目的地に着いた。


 「風香、ここだよ」


 風香は無言で一歩、また一歩と前に進む。


 「すごい……」


 そう小さく漏らした風香は綺麗な髪をなびかせながらくるりとこっちに振り返って、


 「すごいね!こんな景色が見える場所があったの知らなかった!」


 どこの町にもありそうなすこし高台からまちが一望できる公園。

 都会の夜景や雄大な自然が広がっているわけじゃない、住宅街やちらほらと立つビルがあるだけの普通のまち。

 どこにでもありそうだけど俺が好きな場所。


 「だよね。ここ俺が好きな場所なんだ」

 「そうなの?」

 「うん」


 俺はすこし歩いて風香の横に立つ。

 

 「すっごくうれしいけど、でもなんで連れてきてくれたの?」


 長い髪がさらさらと揺れながら、すこし上目づかいで聞いてくる風香に胸がドキッとなるのを無視して俺はできるだけ冷静に答える。


 「んー連れてきたかったからかな?今日のお礼的な?」

 「うれしい、ありがとうね」

 「ううん。こちらこそだよ。あと、誰かとみる景色は違うね」

 「え?雄志君、ここ他の人と来たことないの?」

 「ないよ」

 「そっか。そっか、そっか~」


 照れてるとも、おかしくて笑ってるのとも違う笑みを浮かべる風香を横に俺の胸はまたぎゅっとなる。

 さっきとは違う理由で。


 「風香、帰ろっか」


 俺がそう切り出すと、うん!と言って風香はゆっくりと公園の出入り口に向かった。



 

 公園から出て少し歩いたところで朝の待ち合わせ場所に着いた。

 横を歩いていた風香は俺と向き合うように前に出る。

 外から見たらどこか告白のようなシチュエーションだなぁと思っていたら風香もそれを感じたのかすこしはずかしそうに、


 「じゃ、じゃあね……、雄志君、今日はありがとう。」


 というので俺にも緊張が移ってしまってすこしはずかしくなった。

 

 「こ、こちらこそ!さっそく風香が作ってくれたご飯、夜に食べるね」

 「うれしい!ありがとうね。もしよかったら感想教えてほしいな」

 「もちろん!」

 「じゃあ、雄志君気を付けてね」

 「風香も気を付けてね」


 そう言ってバイバイと胸のあたりでこじんまりと手を振る風香に俺もこじんまり手を振る。

 その上機嫌な背中が小さくなって見えなくなって、俺はその手を下ろす。

 

 「ごめん、風香」


 ただ小さくつぶやいた声はねっとりとした空気に絡まって名前のない空に消えていく。

 公園を紹介したのはお礼もあるけど、ただごめんと謝りたくて。

 君といるのに遥のことを考えてしまって。

 でもそんなことを正直に言えるまっすぐさは俺には無くて、だからなにか謝罪の品として送れないかって考えて連れてきただけなんだ。

 風香には感謝もあるし、優しさもあってたまにドキッとするときもある。今日だってした。

 でもやっぱりずっと横に居てくれた遥に内緒のようにして俺の家に君を呼ぶのはもうできない。

 風香と遥、どっちにも顔向けができない。

 二人とも大切だから、顔向けできないことはしたくない。

 だからごめんね、風香。

 

 ふらふらと飛び出していった罪悪感が暗闇を連れて帰ってくる前に俺は家に向かって歩き出した。

 

 
















 

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