第2章 第10話 軽やかな足音は静かな家によく響く
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青春という儚い時間を書いています。
全員が主人公のお話でその心情のゆれを楽しんでいただきたいです。
「だ、大丈夫だよね……」
スマホとにらめっこして1時間が過ぎた。
大丈夫!がんばれ私!
心の中で何回もこだまさせて、私はスマホをタップした。
―――――――――――
「あぁ、朝かぁ」
カーテンから差し込む光に連れられて目が覚める。
アラームに起こされない朝、最高だ。
夏休みに入って1週間たった初めての日曜日。
今日は生徒会活動はない。
よし、二度寝しよう。
俺、海原雄志はタイマー設定が切れていた冷房を付けて、うすいタオルケットをおなかにかける。
今何時か知らないけどおやすみぃ。
ジリジリジリジリ
誰だよ。
人が気持ちよく二度寝しようとした瞬間に電話かけてくるやつは。
「はい」
俺はぶっきらぼうに電話に出ると、
「お、おはよう、雄志君。おきてたかな?」
すこし緊張してこわばった声がスマホから聞こえてきた。
「うん。だれ」
正直眠たすぎて誰の声か判別できなかった。
「え?あ、えっと風香だよ」
……………ん?
は?
え?
脳が一気に覚醒して急速回転し始めるが状況がつかみきれない。
俺は急いでスマホの画面を確認する。
松原風香
そう画面に表示してある。
「えっと雄志君?ごめん忙しかったかな?」
なんかスマホがしゃべっている。
松原風香
松原風香
松原風香!?
え?どういうこと?
二度寝しようと思っててきとーに出て、「誰?」とか言った相手風香だったの!?
「もし、もーし。ご、ごめん忙しかっ……」
「ごめん、風香!寝起きでぼーっとしてて、とにかくごめん!」
俺は風香がしゃべり終わる前にとにかく謝った。
なぜかスマホのまえに正座して。
「あ、おきてた!全然大丈夫だよ。おはよう、雄志君」
「お、おはようございます。風香さん」
「雄志君?なんで敬語なの?」
「そ、それは風香さんにとても悪いことをしてしまって……」
「ぷふっ」
スマホ越しに風香が笑っているのがつたわってくる。
最近の風香はよく笑うしとってもいいことだけど今は感傷に浸っている場合じゃない。
「ふ、風香さん?」
「雄志君にも苦手なことあったんだと思って」
そう言いながらまた笑う。
前に人と話すの苦手と伝えたと思うけどあれはカウントされていないのだろか。
いや、ガチすぎて触れられないのかな?
「いや、朝が苦手で……はい、言い訳です。ごめんなさい」
「全然いいよ?朝は私も強くはないからね」
「は、はい。えっと、今日はどのようなご用件で?」
「雄志君って一人ぐらいしだよね?」
「うん。まあ、ほぼだけどね」
「今日もしよかったらご飯つくりにいったらダメかな?」
「え?」
「まえ、自炊してるっていってたから心配になって。最近生徒会に入ってすっごく忙しそうだし」
確かに前に今度作りに来てくれたらうれしいって言ったけど、まさかほんとに。
「い、いやまぁうれしいけど」
「だめかな?」
「風香がいいなら」
「任せてください!」
「よろしくお願いします」
ぽろん
電話が切れた。
ほぼ半ば強制的に決まった。
いや、え?
何がどうなったら風香が家に来てご飯作ってくれるの?
いや、そんなことよりまずは掃除だ。
遥が来ることも多いから基本掃除はしているけど一応しておこう。
最低限床をなめれるぐらいには。
――――――――――――
ぽろん
電話が切れたことを確認してスマホをベッドに置く。
「よし!!!」
枕に顔を沈めて足をバタバタさせる。
ふぅと深呼吸をしたあとに、
「がんばった!」
今度は声に出して自分をほめる。
お洋服はokもらう前に決めてたし、今日作るレシピも決めている。
雄志君のねぼけてたのはすこし驚いたけどそれはそれでちょっぴりかわいかった。
シャッ
いつもより力強くカーテンを開けると、まぶしい光が私を照らす。
すこしまぶしすぎるぐらい。
「よし!」
がんばりすぎている太陽に向かって自分を鼓舞したあとに部屋をでて階段を下りる。
トントントン
軽やかな足音は静かな家によく響いた。
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