第2章 第4話 今はまだこの幸せに浸かっていたい
毎日更新です!
青春という楽しく辛い短くて綺麗な物語を書いています。
「ご、ごめんね良太君」
「大丈夫」
良太君に支えられて、私、松原風香はベンチに移動してした。
雄志君と遥ちゃん、これから生徒会なんだからもっと二人で機会をみることも増えるだろうに私だめだなぁ。
良太君にも紗季ちゃんにも迷惑かけて……。
「紗季は団長のところに言ったよ」
「う、うん。ありがとう」
そういえば昨日紗季ちゃんと良太君なんか団長になんか言ってたよね。あまり好きじゃないって。
「え、えっと……」
「ん?」
「団長と知り合い?良太君と紗季ちゃん」
「んーまあね。ただ昔の人」
すこし歯切れが悪いのが伝わってくる。
でも私なんかが踏み込むのもちがう気もするし……でも、
「私!紗季ちゃんと良太君の力になりたいから相談してくれるとうれしい……です」
自分でもだんだんと声が小さくなっているのがわかる。
なんで私ってこういうときちゃんといえないんだろう。
「うん。ありがとね」
「あ、もちろん大輝君も!みんなに助けてもらった恩は忘れてないよ」
そうだ。
あの時、美術室で助けてくれた恩は忘れることができない。
そしていまもこんな学生生活が送れることにも感謝しかないもん。
「おーい!ふーうーかー!!」
え?
呼ばれてる?
「風香ちゃんあそこ」
良太君が指した方向から高身長の部活着をきた男の子が走り寄ってくる。
「大輝君!」
「ふう……はぁはぁ……」
すっごく息切らしてる。
全力で走ってきたのなんか大きなワンちゃんみたいでかわいかったかも。
あ、いや、そうじゃなくて今は大輝君が来てくれた理由聞かなきゃ。
「大輝君どうしたの?」
「いや、ちょうど休憩で体育館から外出たら風香と良太が見えて。風香が体調悪そうだったから走ってきた!」
私みてそんな走ってきてくれたの??
「大輝君の方がしんどそうだよ?」
「え?」
「そうだぞ大輝。風香ちゃんが困ってる」
「そ、そんなぁ。こんなに心配してきたのに~」
ぷはっと私の口が緩むとつられて大輝君も良太君も笑う。
楽しい。
ドン!
3人で笑いあってるといきなり近くの校舎ドアが開いた。
「ふ、風香。大丈夫か……」
「ゆ、雄志君!?」
なんで雄志君が?
さっきまで遥ちゃんと一緒にいたよね……
「さっき歩いてたら……」
そう言ってすこし雄志君が息を整える。
「風香が体調悪そうなのみて、走ってきた」
「え……」
さっき遥ちゃんといたのにわざわざ走ってきたの?
ほんとに君って人は……
「ねえ、大輝、雄志?」
「はい?」「おう?」
あれ、なんか良太君雰囲気ちょっと怖いよ?
「なんで君たちが風香ちゃんに心配させるようなことしてるんですか?」
「え、いや、俺は……」
大輝君がたじろぐ。
「ふ、風香が心配で……」
雄志君はすこし腰が引けてる?
二人ともちょっとダサくてかわいいかも。
でもちょっとこの場の雰囲気怖いかも。
「こーら良太。そこまでにしてあげて」
団長のとこから帰ってきた紗季ちゃんが良太君の頭にチョップする。
紗季ちゃんありがと~。
女神です!
「大輝も雄志も風香を心配しただけなんだから許してあげて」
「まあ、それはわかっているけど……」
しぶしぶ良太君が納得する。
これ、紗季ちゃんが一番強いかも。
ふふっ
「あ、風香笑った!」
大輝君の顔が一気に元気になる。
優しいなぁ。みんな。
「こーら大輝も調子乗らない」
「はい。すみません紗季様」
「風香もこいつらになんかされたら言ってね?」
「う、うん」
紗季ちゃんかっこいい……
「あ、まって」
雄志君思いだしたように口を開く。
「どしたの雄志君?」
「遥にさ、冷たい飲み物買ってきてっていったんだけど遅くない?」
雄志君それってまさか……
「おい、雄志」
「ひっ!」
紗季ちゃん、言いたいことはわかるけどちょっと目が怖いかもだよ……
「まさかあの遥をパシリにしたのか?」
「えっと……その……」
「雄志、君は……はぁ」
良太君もため息をつく。
「雄志~。さすがにそれはだめだぞ~?」
「大輝は黙って」
「はい!」
紗季ちゃんの一言で大輝君の背筋が伸びる。
めっちゃ小さな声で「なんで俺も怒られるの」って聞こえた気がするけど。
「雄志、あの遥、いや新見遥をパシリに使ったのなんて知られたら命が何個あっても足りないぞ。この学校の生徒中から命狙われるぞ」
「は、はい……」
なんか雄志君いつもより小さいかも。
ガラガラ
「風香ちゃん大丈夫?」
ドアが開くと同時にかわいくてスタイルのいい女の子が出てくる。
「遥ちゃん……。う、うん!えっと大丈夫!」
さっき雄志君と何話してたんだろう。
すこし気になる。んーん結構気になるかも。
「よかった。これ、雄志からのおつかいで買ってきたよ」
遥ちゃんがスポーツドリンクを差し出してくれた。
「あ、ありがと。雄志君あとでお金返すね」
「あ、そのぐらいいーよー。遥もありがとう。です」
「何その変な言葉遣い。遥ちゃん、雄志のおごりでもらっちゃいな?」
「あ、ありがと」
「今、雄志と大輝は紗季に怒られてたところ」
「え、大輝君と雄志なにしたの?」
良太君が状況説明してくれる。
その都度、これまでの優等生の遥ちゃんからは見られなかったリアクションをしながら。
遥ちゃんはひとしきり笑った後、
「確かにパシられたね。雄志今度ドーナツ食べたいな?」
「は、はい……」
またもや小さくなった雄志君を見ながらみんなで声を上げて笑う。
楽しい。
本当に今が楽しい。
なのに、なのにどうして
(お前に期待した私がばかだった)
あの時の言葉が私を駆け巡る。
どんなに楽しい色を入れても黒く染まった心は変わらない。
「風香?まだしんどい?」
雄志君に呼ばれて目の前の楽しい現実に呼び戻される。
「え?えっと、大丈夫!」
私は渾身の笑顔を振りまく。
「そう?うちら今からおひるごはんだから教室戻るわ。いこ、良太、風香。みんなも午後がんば」
「うん、じゃあね」
「あ、ありがと。みんな」
優しい笑顔で見送ってくれる雄志君たちに手を振って、紗季ちゃんたちに追いつく。
今はまだこの幸せに浸かっていたい。
――――――――――――――
「みんな仲良しこよし。青春ってやつなのかな。続くといいね、いつまでも」
ひらりと風がスカートを駆け巡る。
あぁ、なんか悪役になったみたい。
あぁぞくぞくするぅ
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