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イケメンなのに陰キャすぎて幼馴染としか喋れません  作者: ひめのなぎさ
第1章 幼馴染と高校生
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第1章 第10話 昼飯一緒に食わない?

   今日の昼休み美術室で待ってる


 昨日と同じ筆跡、誰かはわからないけど見たことがあるような気がする。

 心を落ちつかせるように、現実に休憩を求めるように私、松原風香は隣の席の男の子を見る。

 かわいい寝顔……、いや寝ている振りかな?

 ツンツン

 ふふっ

 これ、どっち?笑ってるけどどっちかな、寝てるのかな?

 雄志君

 心の中では何回も読んでいるのになんで君に伝えられないんだろう……

 ドクンドクン

 1時間目の授業準備でみんなが動いてる。

 いつもは騒がしい休憩時間なのに誰の声も聞こえない。

 ドクンドクン

 考えれば考えるほど大きくなる自分の鼓動に耳をふさぐ。

 ドクンドクンドクン

 なんで……。

 さっきよりも大きな音が私の中を響き渡る。

 

 「お前に期待した私がばかだった」

 

 あの時のあの人の表情、雰囲気思い出さないようにしていたあの日が鮮明に思い出される。

 あぁあの時も今のような音だった。

 肌を突き刺すようなひりひりとした感覚が襲ってくる。

 やめて……、助けて……。


 「風香?」

 

 その声で私は現実に引き戻される。


 「ゆ……海原君」

 「なにかあった?」

 「なんにもないよ」


 私はいつもの笑顔を身にまとう。


 「そっか。何かあったら言ってね」


 ――ポン、――ポン

 

 え……?

 頭の上に暖かくて優しい感触が乗る。

 いつも近くに会ってずっと遠かった手。

 ドクン

 さっきとは別の鼓動が私の中を駆け巡る。

 雄志君の手は私から離れてすでに後ろ姿しか見えない。

 耳まで真っ赤になって腕で顔を隠している。

 君からしてくれたのにかわいいなぁ。

 もしこの学校で女子にイケメンを聞いたらダントツ1位になれそうなのに。

 君なら女の子を落とすなんて簡単だろうに、頭なでるなんて慣れてそうなのに。

 

 もうちょっとなでてほしかったなぁ。


 ――――――――――

 頭ポンポンとかおれきつすぎるって!!

 嫌われてない?大丈夫?

 でもそれより……

 ――――――――――


 「松原さん!」

 「はっはい!」


 私は大きな体格とすこし大きめの声にびっくりした。

 二時間目と三時間目の休憩の間別にすることもないので本を読んでいた。


 「えっと、獅子原君?どうしたの?」

 

 昨日初めてしゃべったからどんな距離感で行けばいいのかわからない。

 

 「いや、松原さんって結構頭よかったよね?数学でちょっと教えてほしいところあってさ」

 「私?数学なら私より、海原くんのほうがいいよ」

 「海原?海原って頭いいのか?」

 「いや別に……」


 本を読んでいた海原君がぼそっと答える。

 君が頭いいのしっているよ、だって隣の席だからね。


 「松原さんが嘘つくわけねーだろ。海原教えてくれよー」

 「ま、まぁしかたないな。どこ?」


 仕方なさそうに、でもちょっと楽しそうに獅子原君に問題を教えている。


 「ごめんな。松原さん」

 「ふぇ?あ、篠原さん。ぜ、全然大丈夫!」


 スタイル抜群、高身長ボーイッシュなのに顔はすっごくかわいいの女の子、篠原さんが私の目の前の空席に座る。

 言葉遣いはちょっと荒っぽいけどそれが女子にも男子のも人気があるらしい。

 

 「大輝、見た目通り勉強が苦手でなぁ。まぁ私も苦手なんだけどな」

 「そ、そうなんだ。でも三木君頭いいよね?」

 「そーなんだけどよー大輝と良太勉強となるとそりが合わないみたいでよ」

 「感覚派と理論派みたいな?」

 「そうそう!私は良太の理論的な教え方で何とか平均は死守してるんだけどな」

 「なら海原君と相性いいかも。海原君、多分どっちもできるし」

 「マジか!海原ってそんなに頭いいのか?」

 「多分噂に少しなってるけど噂本当だよ。前も理系教科は全部学年1位じゃないかな?」

 「すげー!私も教えてもらおうかな?」

 「紗季は僕が教えるよ」

 

 篠原さんの後ろから眼鏡をかけたいかにもインテリそうな男の子が来る。


 「おぉ良太~。冗談だって、私に教えられるのは良太しかいねーな」

 「よく自分わかってるじゃん」


 なんだと~?と言いながら篠原さんが三木君の頭をぐりぐりしている。

 楽しそうな二人を見てこっちまで笑みがこぼれる。


 「おぉ海原ありがとな!めっちゃわかりやすい!」

 「お、おう」


 雄志君も教え終わったみたいだけどすこしこのノリに引いてるみたい。


 「っておい!海原これはなぎさちゃんじゃないか!?」

 「えっ?」


 雄志君が固まっている。まったく動かない。


 「海原、おまえなぎさちゃん好きなのか!?俺も好きなんだよ」

 「ま、まじか!ノイラブ推しってことか!?」

 「おーよ!波奈ちゃん推しだ!」

 「まじか!獅子原君……!」

 「君つけなくていーぞ!海原」


 なんか私が知ってる雄志君史上一番楽しそう。

 私はわかんないけどアイドルかな……?


 「ねえ、海原、松原さん」

 「「ん?」」

 「昼飯一緒に食わない?」


 篠原さんの言葉に私も雄志君も一瞬言葉が詰まる。

 

「海原って昼飯の時いっつもどっか行っちゃうよな」

「ま、まぁ」


 またいつもの海原君にもどっちゃった。

 いつもなら断る理由ない、でも今日は……。


  今日の昼休み美術室で待ってる


「ご、ごめん。今日は用事あるんだ」

「そうなのかぁそれは仕方無いな」

「海原はどうする?」

「俺は別にどっちでも……」

「なら私らとな。決まり!」


 


 キーンコーンカーンコーン

 昼休みのチャイムが鳴り一気に周りが動きだす。

 食堂や購買は速くいかないと席がなかったり売り切れになる。

 震える足を抑えながら席をゆっくりと立つ。


「風香?」


 雄志君が心配そうに見てくれている。

 ごめんね、なにも言えなくて。

 本当にごめん。君を頼れなくて、弱い私のせいで。

 私は聞こえなかったふりをして美術室に向かう。

 昼休み中、美術室には誰も来ない。たまに告白が行われるって聞いたこともあるけどそんなイベントなかなか起きたりしない。

 美術室の前で深呼吸をする。

 ふぅ

 ガラガラ


 「おせーよ」

 

 同じクラスならだれもが聞いたことのある声が耳に入る。


 「橘高さん大本さん……」


 前に海原君と話していた女の子たちと後ろに知らない男子もいる。サッカー部の練習で見たことある気もするけど。


 「なんで呼ばれたかわかる?」

 「ご、ごめん。わかんないです」

 「ちょーしにのりすぎなんだよ!!」


 ガン!


 橘高さんが机を蹴って大きな音が響く。


 「なに?すこし前まで陰キャだと思ってほっといてあげたら急にちやほやされて、しかも海原君にぶりっこしやがって。きめーんだよ」

 「しかもさぁ?最近は篠原たちと絡んでるよね?1軍の仲間入りですか?図々しいんだよ」

 「ご、ご……」


 言葉が出ない。

 しゃべろうと思っても声が出ない。酸素が吸えない。


 「これなーんだ」

 

 大本さんが1冊の本を掲げる。

 歴史の資料集、雄志君のだ。

 そういえば前の授業持ってなかった気がするけどまさか。


 「これあんたがとったことにして私があげればどうなるかなぁ?」

 「まって凛それは抜け駆け~。私も渡す」

 

 まって、やめて。

 せっかく雄志君としゃべれるようになって篠原さんたちとも仲良くなり始めたのに。

 もしそんなことしたら……。


 「じゃあ、私たちはこれで。後ろの人たちが後は用事あるみたいよ」

 「松原さんだっけ?俺たちと遊ばない?ここだれも来ないから大丈夫だよ」


 コツコツ

 嫌な、嫌いな足音が近づいてくる。

 怖い、逃げなきゃ、逃げなきゃダメのなのに、せめて声を出さなきゃ。


 「おいおい、そんなにこわがらすなよ。俺もいるんだから」 

 「わかってんよ。優しくするから怖がらなくていいよ」


 怖い、でも足が震えて動けない。

 酸素がうまく吸えない。

 コツコツ

 ごめん、雄志君。

 何度も救いの手を出してくれたのに。

 いつも心配してみてくれてたのに、ごめんね。

 もうだめだ。

 乱暴で怖い手が私に伸びてきて私はぎゅっと目をつむった。


 ダン!

 勢いよく美術室のドアが開く。


「風香に触んなよ!!」


 いつもより開いた君の目と血管が浮き出た腕を見た瞬間、溜まった涙が溢れ出していた。

 


 



 

 

「イケメンなのに陰キャすぎて幼馴染としか喋れません」連載中です

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