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ボツにした素人作品③


 今回の更新でボツにした作品の掲載は、多分最後になります。


 理由は単純にボツにした作品がもうないですし、私も素人なりに勉強して、今はプロットを書いてから小説を書いていこうと考えてますので、おそらくボツ作品は生まれないと思います。



 それでは、多分最後になるボツ作品を載せますが、初めにお断りしておきます。


 起承転結などはありません。


 物語のプロローグ部分しかありません。


 中途半端に終わります。


 やや長いです。(約15000字)


 今回も文法の修正を頑張りましたので、読みやすいと思います。


 しかし!

 前回と同じく文章の修正は、ほぼしていません!


 上記の通り、稚拙な作品となっておりますので、過度な期待をしないで下さい。


 

 では、始めます。

 



♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢



       プロローグ1 転生



「生きていますか?」


 問いかけを間違えちゃった。

 彼はもう死んでいるのだ。

 言い直す。


「私の声が聞こえますか?」


 返事がない。

 目の前の魂は、うんともすんとも反応しない。

 もう少し待つしかないか。


 目の前にある青い魂が、反応しない理由は分かっている。

 私が彼の魂に干渉して、「スキル」を組み込んだからだ。

 負担が掛かってしまい、なかなか目覚めないのだろう。


 一時期な記憶喪失になっている可能性もあるわね。

 彼が目覚めたら様子を見ましょう。


 私が普段与えている「異世界転生者オリジナルスキル」ならば、魂に組み込む必要はなく、与えるだけで済む。


 もちろん彼に与えたのも「異世界転生者オリジナルスキル」だ。

 だが同じ呼称の「スキル」でも、彼に与えたのは別格。


 この私が魂に直接干渉しなければ、与える事が出来ない代物。

 成功しない可能性もあったが、今までの経験上から、成功したという確信があった。


 魂に干渉して「スキル」を与えたのは、今回が初めてではない。

 だが誰にでも組み込めるわけでもない。


 組み込めるのは、一握りの『適合者』だけだ。

 だから私は久々に組み込めて、達成感に酔いしれていた。

 人間で例えるならば、大きな仕事をやり終えた気分。


「ふふ」


 彼のこれからの人生を想像して、笑いが漏れる。

 未来を知っているわけではない。

 むしろ知らないからこそ、笑えてくるのだ。


 彼はこの「スキル」を使いこなせるのだろうか?

 それともあっけなく死ぬのだろうか?

 楽しみで仕方がなかった。


 この「スキル」を魂に組み込まれれば、神と成りうる。



「さあ、踊りなさい。私の可愛い坊や達」




 ♢ ♢ ♢




「?」


 ここはどこだ?

 気がつくと、俺はよく分からない空間にいた。


 周りを確認する。

 だがいくら見回しても、真っ暗な闇があるだけ。

 体も思うように動かない。

 自分の体に視線を向けると、小さな青い炎があった。


「なんだこれ? まさか魂とか言わないよな?」


 そもそも体が青い炎なのに、どうして周りを確認出来る?

 発声もどこからしているんだ?


 ……うん。

 考えるだけ無駄だな。

 全て受け入れてしまおう。


 それよりも、ここで意識を取り戻す前の事を思い出してみよう。


 ――あれ?


 意識を取り戻す前の記憶があやふやだ。

 ならば基本的な事から確認してみる。


 俺の名前は中村健。日本人。30歳。男。元オタク。会社員。1人暮らし?


 違う、1人暮らしではなかった。

 俺にはお嫁さんがいた。娘も生まれた。

 幸せな結婚生活を送っていたんだ。


「少しは思い出せましたか?」


 俺が結婚生活を詳しく思い出そうとしていたら、声が掛かった。

 そちらに目を向ける。


 するとそこには小さな炎があった。

 多分俺? の青い炎とほぼ同じ見た目だ。

 違うのは色だけ。赤い炎だ。


「はじめまして、中村といいます」


 俺はとりあえず自己紹介をする。

 社会人たるもの、初対面の方にはまず挨拶だ。

 相手は炎だけど。

 これを出来るか出来ないかで、相手の印象が変わる事もあるのだ。


「これはご丁寧に。私は霊界を司る神です。名前を持っていないので、お好きに呼んで下さい」


 神?

 いかん、平常心だ。


「では、かみにゃん、と呼ばせていただきます」

 真面目な声でぶっこんでみた。

 お互いに見た目が小さな炎なので、相手を声でしか判断出来ない。


「ふふ。分かりました」

 いけたー!?

 ヤバいぞ。まさかとは思うが、もう一回ぶっこんでみよう。


「かみにゃん、という名前の方は語尾に『にゃん』を付けるのですよ?」


「分かりましたにゃん」

 ヤバい!

 めちゃめちゃ可愛いぞ、声が。


 さっきまでの大人しめな女性の声とは違い、すごい猫なで声だ。

 萌えだ。この神様はノリがいいだけではなくて、萌えを理解している。


「ご主人様、どうかしましたかにゃん?」


「かみにゃんは、粗相をしてしまったのでしょうかにゃん?」


 神様がノリノリである。

 けどこのままだと話しが進まないし、俺が萌えで悶えるのも時間の問題なので、切り上げる事にする。


 ――少し勿体ない気もするが。


 次回があるなら、またお願いしよう。


「すみませんがその辺でお許し下さい。悪ふざけが過ぎました」


「分かりました。私も楽しくて、つい遊んでしまいました」


 神様の声が、大人しめな女性の声に戻る。


「はは。まさか神様にギャルゲーのネタが通じるとは思っていませんでした」


「ふふ。私もまさか、ギャルゲーのネタを振られるとは思っていませんでしたよ? 次回があるなら、またお願いしますね?」


 俺はその言葉を聞いて、冷静さを取り戻す。

 まさか心を読めるのか?


「そうですよ。中村健さん」

「!」

 俺が思っていた事にノータイムで答えやがった。しかも名乗っていない名前まで当てて。


 これは認めるしかないだろう。

 目の前にいるのが、神だと。


 ならば、する事は決まっている。

 俺は心の中で覚悟を決めた。


「神様。質問をよろしいでしょうか?」


「許しましょう。君の事は気に入ったので、もう少し砕けた言葉でいいですよ? 私も堅苦しいのは苦手なので」


「ありがとうございます」


 俺は一度間を置いた。

 そして質問を始める。


「俺は死んだのでしょうか?」


「はい」


「死因は?」


「交通事故です」


「俺の嫁と娘は?」


「生きています。交通事故で亡くなったのは、あなただけです」


 よかった。

 俺が死んだのは残念だけど、二人が無事なら安心だ。


 でも、何かおかしい。

 なんで俺は二人の名前や顔を思い出せない?

 どうして胸の中が後悔で潰されそうなんだ?

 俺は何をこんなに後悔している?


「俺の記憶がかなり消えている事について、ご存知ありませんか?」


「存じています。記憶は時間の経過で思い出すでしょう。詳しい原因は私の質問に答えたら、説明しましょう」


 神様は一度言葉を切った。


「あなたは選ばれました」


「記憶を引き継ぎ転生する事が出来ます」


「転生しますか?」


「答えはイエスかノーのみ。質問もなしです」


 俺は考える。

 転生というのは分かる。

 もう一度命が与えられ、生まれ変わるということだ。


 ならば――俺の今の姿は魂なのだろう。


 重要なのはどこに転生するかだ。

 もう一度俺がいた世界、現代日本に転生するのだろうか?


 いや、希望的観測はやめよう。

 別世界に転生すると仮定する。

 それでどうする?

 別世界に転生して、俺は何がしたい?


「……」


 そもそも不確定要素が多すぎる。

 どこに転生するかも分からない。

 どんな生物に転生するかも分からない。

 こんな未知の情報ばかりで答えるのか?


「あなたは、やはり賢い方ですね」


「?」


 思考に囚われていると、神様が声を掛けてきた。


「賢く冷静であり、状況判断能力にも長けている。私の言葉だけで自分の状態が『魂』であると看破した。私の言葉を利用してギャルゲーのネタを振り、私の分析に利用する」


「見事なものでしょう。ですが即決即断が出来ないのはマイナス評価です。まあ即決即断が出来ない原因を作ったのは、私なのですが」


「記憶があれば、貴方は即決したでしょうからね」


 間が空いた。

 俺はどうするべきだ?


 記憶があれば、即決した?

 どういう意味だ?


 それは俺が胸に抱えている後悔に、繋がっているのだろうか?


「あなたには伝えたい事がありますか?」

「!?」

 なんだ?

 なぜこの言葉に激しく動揺している?


「あなたは後悔していますか?」


「している」


「何を?」


「……」


「何を後悔していますか?」


 "カチン"


「!!」


 神様の言葉を聞いた瞬間、俺の記憶の歯車が噛み合った様な感覚がした。


 そして俺は思い出す。


 大切な人に伝えたい言葉があったこと。

 伝えられずに死んでしまったこと。


 ――そうだ。


 俺には大切な人がいた。

 俺を絶望の淵から救い上げ、幸せを与えてくれた。

 だから、その幸せを少しでも返したかった。

 幸せにしてやりたかった。


 娘が産まれたんだ。

 幸せが、また一つ増えたんだ。

 みんなが幸せになるはずだった。



 ……俺が死ななければ。



 このまま死んでいいのか?

 否。


 二人を残して逝くのか?

 否。


 伝えたい言葉があるのだろう?

 肯定。


 二人を幸せにするんだろう?

 肯定。


 二人と幸せに暮らすのだろう?

 勿論。


 ならば迷う必要はないな?

 その通りだ。


 死ねない。

 死ぬわけにはいかない。


 俺の望みは潰えていない。

 どんなに不確定要素があったとしても、そこに俺の希望は残っている。

 ならば俺の選択は一つだ。


「転生します」


 俺は力強くそう答えた。



♢ ♢ ♢



      プロローグ2 かみにゃん



「え~と、神様?」


 かみにゃんから返事がなかったので問いかける。


「あ!? ごめんなさい。ふふ」


 神様の声からは、笑いに似た感情が感じとれる。


「ふふ、って何ですか?」


「あなたが心の中で考えてた言葉が、あまりにもカッコよかったので。ぷふ」


「……」


 俺は笑われているようだ。

 そんなにだろうか?


 俺はいたって真面目に考えていたつもりだ。

 もしかして俺は痛い子なのか?


 それとも、かみにゃんのツボが変なのだろうか?

 まあ、どっちでもいいな。


「神様、俺はこれからどうすればいいんですか?」


「ぷふふ。……ん?」


「こほん」


 神様は笑いを止めて、一つ咳ばらいをした。

 そして話し始める。


「まずは私から、転生についていくつか説明します」


「お願いします」


 俺はそう答えてかみにゃんの言葉を待つ。


「転生する場所は、あなたが元いた世界ではありません。いわゆる剣と魔法のファンタジーな異世界です」


「様々な種族、生物が存在します。勿論人間も」


「あなたが何に転生するかはランダムです」


「え?」


「加えて、あなたがもう一度死んだ場合はそこで全てが終わります。今度こそ魂は輪廻転生し、中村健という存在は消滅します」


 俺は考えを整理する。

 そして知りたい事を素早くまとめて、質問した。


「異世界から、俺が生きていた世界に行く事は出来ますか?」


「はい、出来ます」


「魔法が存在するという事は、死んでも復活する方法はありますよね?」


「あります」


「俺がする『転生』と輪廻転生の違いは何ですか?」


「本来、死んだ者の魂は輪廻転生をして、別の存在に生まれ変わります。輪廻転生する際には、前世の記憶や自我といったものは抹消されます」


「しかし『転生』は、前世の記憶や自我を維持したまま、生まれ変わる事が出来るのです」


 俺は安心した。

 最優先で確認したかった、元の世界に戻る手段が存在するからだ。


 復活の方法もあるみたいだ。

 そりゃあ、魔法が使える世界だもんな。

 復活魔法ぐらいあるか。


 俺自身の記憶と自我も引き継げる。

 本当に異世界転生系ラノベみたいな展開になってきたな。



 ――かみにゃんが言っている事が真実ならな。



 だが今は、かみにゃんの話しを否定するべきではない。

 確認する方法が無いからだ。

 かみにゃんを、信用するかしないかの判断は、転生してからでも遅くない。

 それよりも、もっと情報が欲しい。


「俺の記憶の欠落について説明して欲しい」


「そうでしたね。では単刀直入に言いましょう」


「私があなたの魂に『スキル』を組み込んだ為に、その影響で一時期な記憶喪失になっています」


「へ?」

 つまりこの自称神様が原因?


「ご主人様、ごめんなさいにゃん」


「悪い神様に、お仕置きして欲しいにゃん」


「エッチなお仕置き、して欲しいにゃん」


 神様は猫なで声を出し、ネタに走った。


「……」


 俺は無言で応対した。


 正直に言って――萌える。

 でも、今はネタに走っている場合ではない。


 それになかなかの爆弾発言をかましやがった。


「真面目に話しましょう、神様?」


 冷静に話す。


 記憶喪失の原因が神様にあったとしても、ここで怒りをぶつけるのは意味がない。


 そもそも、記憶は戻ると言っていたはずだ。

 それを確認しよう。


「記憶は時間の経過で思い出すんですよね?」


「さすがですね。私が喋った言葉で問いかけるとは。あなたの言う通り記憶は戻ります」


 神様は大人しめな女性の声に戻して、そう答えた。


「俺の魂に『スキル』を組み込んで、発生した影響は他にありますか?」


「魂に『スキル』を組み込みましたが、その影響は一時期な記憶喪失だけです。これは私が保証します」


 その言葉を聞いて俺は安堵した。

 他に異常がなくてよかった。

 記憶が戻るなら、これ以上記憶に関する質問は必要ない。

 次はスキルについて聞いてみるか。


「スキルとは何ですか? 俺だけに与えられたチート能力ですか?」


 俺はさっきまでと同じように質問する。

 だが神様は少し間をおいて、声のトーンを一つ落として喋り出した。


「先に言っておきます。私が貴方の質問に答えてあげているのは、サービスです」


「ただ記憶に関しては、私が独断で魂に干渉した結果、起きた事故の様なものなので、説明して上げました」


「つまり、もはや貴方の質問に答える必要はありません」


 終わり、か。

 やはり何でも教えてくれる訳はないか。


 ならば、お喋りは終わりだな。

 そう考えていると、


「ですが、私は貴方を気に入りました」

 そう言ってきた。


「なので、最後に一つだけ答えましょう。さぁ、よく考えて質問しなさい?」


 何を質問するか。

 聞きたい事は山ほどある。

 俺は今までの会話を思い出して、何を聞くべきか考える。



 転生。輪廻転生。異世界。種族。ギャルゲー。



 そもそも何故会話の場を設けた?

 サービス?

 一時期な記憶喪失を説明する為?



 記憶喪失。魂。組み込む。スキル。



 スキル?


 そうだ。

 神様は俺にスキルを与えた。


 ――何故?


 違う。

 重要なのは何故与えたかではない。

 神様はスキルを与える事が出来る。

 俺だけに?


 かみにゃんは、何の神様だと名乗った?

 霊界の神だ。

 霊界とは、死後の世界を指す。


 死後の世界。

 魂が行き着く世界。

 その世界の神がスキルを与える?


 俺の中で、一つの考えがまとまった。


 この考えが当たっていた場合は、決して楽な異世界生活にはならないだろう。

 だが、それは希望にも為りうる。


 俺はかみにゃんに最後の質問をする。


「俺以外に転生した者は、全部で何人ですか?」


「……正確な数は覚えていませんが、一万人以上です」


 かみにゃんが答えてくれた瞬間、俺の意識が遠退いていくのを感じた。




 ……転生するのだろう。




 …………かみにゃん。





 ……………………ありがとう。





「私はこれから、かみにゃんと名乗りましょう」




 ……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………。






♢ ♢ ♢





「私はこれから、かみにゃんと名乗りましょう」




 ……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………。



 返事はなかった。

 私の最後の言葉は聞こえたのだろうか?

 一応、魂が転生する前に言ったはずだが。


 それにしても、面白い人間だった。


 冷静で賢く、頭も回る。

 なのにギャルゲーのネタを飛ばしてくる。


 神である私を「かみにゃん」と呼び、語尾に「にゃん」を付けて、とまで言い始めた。


 そんな事を言われたのは初めてだったので、私もノリノリで付き合ってしまった。

 声を変えてまで。


 ギャルゲーのネタを飛ばしてくるくせに、彼が心の中で考えている言葉は、少しキザで思わず笑いが漏れた。


 しかし、サービスしすぎたな~。

 いつもなら、あそこまでサービスはしない。


 情報を与え過ぎるのは、面白くないからだ。

 何も知らないまま転生して、あたふたする坊や達を眺めるのが、楽しいのだ。


 それだけ彼を気に入ったというわけかな。


 彼は恐らく、異世界で上位の実力者になるだろう。


 あれだけの情報を与え、偶然とはいえ『――』のスキルを与えた。


 そう、偶然だ。

 彼がたまたま『適合者』だったから、魂に組み込んだ。


 面白くなってきたわ。

 さらに面白く出来ないかしら?


 ……いい事を思いついたわ。


 彼の身内、友人関係、因縁がある者。

 全部調べましょう。


 そして、その者達が死んだ時は転生させましょう!


 そこにはどんな物語が待っているのかしら?


 とても楽しみ!



「ふふ」




♢ ♢ ♢



       第一章 新しい『家族』



       第1話 二度目の『生』 




「・・・、・・・・・!」

「・・、・・、・・・・」


「・・・・・・、・・・・・・?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・、・・・・・・・」

「・・・・。・・・・・・・・・・」


 声が聞こえる。

 その声に導かれるように俺は目覚めた。


 目の前には黒髪の男性がいた。

 俺を覗き込んでいる。


 誰?

 どういう状況?


「サチヨさん、この子まったく泣きませんね?」


「え? 私の子は息をしていないんですか!?」


「落ち着きなさい、オトエ。呼吸はきちんとしている。何故かは分からんが泣かないだけじゃ」


 泣く?

 息?

 一体どういう事だ?


 俺はかなり混乱する。

 自分の状況がさっぱり分からない。


 ……落ち着こう。


 落ち着くんだ。

 パニックを起こしても意味がない。


「パパ、パパ! わたしにもあかちゃんみせてー!」


「ほら、アイコの弟だぞ」


「かわいー! おさるさんみたいー!」


 俺の視界に黒髪の女の子が写る。

 綺麗な黒髪だった。


 赤ちゃん?

 弟?


 その言葉を聞いて思い出した。


 ――かみにゃんとの会話を。


 俺は転生して生まれ変わったのか?


 そして赤ちゃんとして産まれた?


 俺は今、赤ちゃん?


「ハハ、アイコもお猿さんみたいな顔だったんだぞ?」


「えー! アイコもおさるさんだったのー!?」


「誰でも赤ちゃんの頃はお猿さんなのよ」


「ママも?」


「ええ、ママもパパもおばあちゃんも。みーんなお猿さんだったのよ」


「そうなんだー。おもしろいねー」


 どうやら今の俺は、赤ちゃんで間違いなさそうだ。


 やけに男性の顔が大きく見えるし、女の子も俺より大きそうだ。


 男性に抱え上げられているのだろう。

 天井もかなり遠かった。


 そして、分かった事がある。

 この部屋には、俺以外に四人の人がいる。

 男性一人、女性二人、女の子一人。

 おそらくは、俺の両親、両親どちらかの母、両親の娘、だと思われる。


 とりあえず、声を掛けてみよう。

「あー、あー、あー」


 どうやら喋れないようだ。


 ……当たり前か。


 赤ちゃんが喋ったら驚きだ。


 ……喋る?


 そういえば、何故俺はこの人達の言葉が分かるんだろう?


 だって異世界でしょ?

 言語が違うはずだと思うんだけど?


 そんな事を考えていたら、

「ねぇーねぇー。あかちゃんが、なにかいってるよ?」


「お乳がほしいんじゃないか?」

 は?


「そうね。よしよーし、おいでー」


 俺は男性の腕から女性の腕に渡された。

 そして女性に抱き上げられて、お乳を吸わされた。


 お乳を吸わされながら思う。


 まさか、赤ちゃんになってお乳を吸う事になるとは。

 まあ、赤ちゃんで産まれた以上は受け入れるしかないが。


 ところで、俺は今お乳を飲んでいるのだが、どうして味に覚えがあるのだろう?


 ――不思議だった。



 そして、お乳を飲み終わると眠くなってきた。


 確か赤ちゃんは一日の半分以上を眠る。

 ならば、赤ちゃんである俺にも適用するのだろうな。



 ……俺にとって二度目の『生』が始まった。



 …………そんな事を考えながら、俺の意識は眠りに落ちていった。




♢ ♢ ♢



       第2話 家族の決断



~オトエ視点~



「あかちゃん、ねむっちゃったねー」


「そうね。赤ちゃんは寝るのがお仕事ですからね。アイコもそろそろ寝ましょうか?」


「うん、わかったー」


「それじゃあ、パパと一緒にお部屋に行こうか?」


「うん。おばあちゃん、ママ、おやすみなさい~」


「お休み」

「お休みなさい、アイコ」


 アイコがパパと一緒に部屋を出ていくのを見送る。

 そして扉が閉まり、二人の足音が遠ざかっていった。

 それを確認してから私は口を開く。


「母さん、この子は……」


「急ぐでない。コウさんが戻ってから三人で話すべきじゃ」


「……そうですよね。すみません」


「いや、よい。動揺しているのじゃろう? 私もそうじゃ」


 母さんも動揺しているのは意外だった。

 昔から博識で、とても頼りになる母親だったから。


 ……技術の事になると、厳しい人だが。


 産まれた赤ちゃんを、ゆりかごに移す。

 国によっては、ゆりかごをベビーベッドと呼ぶ所もあるらしい。


「ふふ、よく眠っている」

 私はゆりかごで眠っている赤ちゃんを、パパが部屋に帰ってくるまで見つめていた。



♢ ♢ ♢



「お待たせ」


 十分くらいしてから、パパが部屋に戻ってきた。


「ありがとう、パパ」


「いや、これくらい当然さ」


「それよりも、体は大丈夫かい?」

 部屋に戻って、すぐに私の体を心配してくれる。

 相変わらず、優しい旦那様だ。


「大丈夫よ。二人目ですからね。もう慣れたものよ」

 私は事実を口にする。


「ほ。良かった」

 パパは私の言葉を聞いて、安心出来たようだ。


「アイコ、ずいぶん早く眠ったわね?」

 私は気になった事を聞いてみる。


「ああ。ここ最近は弟が産まれそうと聞いて楽しみで、すごくはしゃいでいたからね。疲れていたんだと思うよ。反動で今日はぐっすりさ」


「そうね、確かに最近は楽しそうだったわ。弟が出来たのが、すごく嬉しいのでしょうね」


 私達夫婦は共働き、おばあちゃんは技術の研鑽で遊んでやれる事が少なかった。

 寂しい思いをさせていると思う。


 そこに、弟の誕生である。

 もう寂しい思いをしなくて済む、という感情があるのだと思う。

 勿論、純粋に自分の弟が出来たのが嬉しい気持ちもあるだろう。

 なので、アイコは私達に子供が出来たと告げた時はとても喜んだ。

 これで少しでもアイコの寂しい思いを、なくして上げられるのなら、私達も嬉しい。

 私はそう思った。


「おほん」

「私の娘の体は大丈夫、アイコもぐっすり、という事ならば本題に入ろうと思う」


 黙っていた母さんが咳払いを一つして、切り出した。

 私もパパも背筋を伸ばした。


「サチヨさん、やはりこの子は『転生者』なのでしょうか?」

 パパが最初に口を開いた。


「ふむ。その可能性は高いのじゃ」


「やった! ついに『転生者』が生まれたんですね!!」

「ようやく、ようやく!!」


「……パパ、少し落ち着きましょう?」

 興奮しているパパを宥める。


「あ、ああ。ごめん。悲願の達成で興奮してしまった」


 気持ちは私もよく分かる。

 だけど、完全に『転生者』だとは言い切れない。


「そうじゃな、みんな落ち着こう」

 母さんがそう言って間を作る。


 パパは深呼吸をしている。

 私も深呼吸をしておく。

 母さんは、私達が深呼吸したのを確認してから口を開いた。


「さて、この子が『転生者』の可能性は高い。よって『転生者』であった場合、私達の行動をどうするかじゃが……」


「母さん、本当にこの子は『転生者』なのでしょうか?」


「待つのじゃ、オトエよ。疑問もよく分かる。だが、少し私の話に付き合ってくれんか?」


 私は母さんに頷いた。

 パパも頷く。

 そうだ、こういう時はまず年長者の言葉を聞くべきなのだ。

 質問は聞き終わってから、した方がいい。

 現に先ほどから、話しが進んでいない。


「よいか? では始める」


「まず、二人とも知っているだろうが確認じゃ」


「『転生者』の見分け方はいくつか存在する。その中でも有名なのが、呼吸をしているのに産まれた赤ちゃんが泣かない」


 ……有名な話しだ。私は勿論、パパだって知っている。


「この事に当てはまるので、この赤ん坊は『転生者』の可能性が高いのじゃ」

 そう言って、母さんはゆりかごの赤ちゃんを見た。


「だが、絶対じゃない。呼吸をしているのに泣かない赤ん坊が『転生者』である確率は、約9割。つまり、1割の確率で『転生者』ではない」


「どちらの可能性も存在する」

 母さんの言っている事は、分かりやすく事実だけを述べている。


「よってこの子の育成方針は、『転生者』としてではなく、普通の子として育てていくべきじゃと思う」


「ですが、サチヨさん。もし『転生者』だった場合は……」


「待て、まだ話しは終わっていないのじゃ」

 まだ少し興奮した様子のパパが口を挟んだが、母さんはそれを制して話しの続きをする。


「この子は、普通の子供と同じように育てる。そして育てながら様子を観察して、『転生者』かどうかを改めて判断する」


「もし『転生者』だった場合でも、私達は接し方を変えずに普通の子供として育てるべきじゃ」

 母さんは一度言葉を切った。


「普通の子供として育てる理由についてじゃ」


「二人は興奮で忘れているかも知れんが、『転生者』の存在は国に報告する義務がある」


 ……そうだ。

 何故大事な事を忘れていたのだろう。

 パパも同じく忘れていたようで、表情が暗くなる。


「思い出したか?」


「ならば報告した場合、この子はどうなると思う?」


「……連れていかれます」


 パパが苦しげに言葉を紡ぐ。


 私も想像しただけで、胸が苦しい。


「ふむ、そうなるじゃろう」

 母さんは答えた。

 答えてから、私達の顔を見回して力強く言った。


「よいか? この子が『転生者』であろうがなかろうが」

「わしの可愛い孫、そして二人の大事な子供じゃろう?」


「当たり前です!」

「もちろんです、母さん!」

 パパと私は声量も気にせずに、大声で答えてしまった。


 すぐ傍で、赤ちゃんが眠っているのも忘れて。

 私達三人は赤ちゃんの様子を確かめるが、起きる気配はなかった。


 ……良かった。


「サチヨさん、失礼しました」

「すみません、母さん」

 パパと私は大声を出した事を謝罪した。


「いや、構わないよ。私の方こそ試す様な言い方をして悪かったの」

 母さんも謝罪してくれた。


 そうだ、私達三人はこの子を愛している。

『転生者』である場合もない場合も、関係なしに。


 ならば、私達の取るべき行動は――。



 そこまで考えてパパを見ると、パパも私と同じ考えをしていたみたいで、決意を固めた表情をしていた。

 それを確認した母さんが喋り始める。


「ふむ。二人とも分かってくれたようじゃな?」

 パパと私は頷いた。


「なら良かった。ではまとめるぞ」

 母さんは一呼吸置いた。


「この子に『転生者』の可能性がある以上、国に報告しなければならない。報告すれば、この子は連れていかれる」


「そして『転生者』であったなら、この子が家族として一緒に私達と暮らせる日は来ない」


「また『転生者』でなかった場合でも、国からこの子が返されるのは何年も先じゃ」


「ここまではよいか?」

 パパと私は頷いた。


「じゃが私達三人、いや四人じゃな」


「四人は、この子と別れるのは反対じゃな?」


「はい、サチヨさん」

「もちろんです、母さん。私もアイコも別れなんて望んでいません」


「ふむ、私もじゃ」

 母さんの質問にパパと私が力強く答えて、母さん自身も別れは嫌だと口にした。


 そして母さんは厳しい声を出した。


「この子が『転生者』の可能性は高い。よって国に報告しなければならない」


「報告すれば、別れが待っている」


「しかし私達四人は、この子と別れるのは反対」


「……ならば、報告しない。その意味は、分かっているな?」


「……はい」

「……分かっています」


 ……私達の選択は国に対する反逆行為だ。


 その事を理解した上で、パパと私は肯定の返事をした。


「もう一度問う。私達の決断は国の制度に違反するものだ。それでも報告しないんじゃな?」


「はい、しません」

「その通りです、母さん」

 パパと私は迷うことなく、返事を返した。


「私もしない」

 母さん自身も返事をした。


 これで私達が取るべき道は決まった。

 なら後は、ルールを決めるだけ。

 私は口を開いた。


「ではこの子が『転生者』であろうとなかろうと、私達は普通の子供として育てる」


「仮に『転生者』だと分かっても、国に報告はしません。あくまで普通の子供として扱い、『転生者』という事実を隠し通す。この方針でよろしいでしょうか?」


「ああ、大丈夫」

「問題ないのじゃ」

 パパと母さんが肯定してくれた。


 これでもう引き返せない。

 だけど私は、後悔などしていなかった。

 産んだばかりの愛しい我が子を、手離すつもりは毛頭ない。


「ふー。やっとこの結論にたどり着いたのじゃ」

 母さんが雰囲気を緩めながら、呟いた。


「すみませんでした、サチヨさん。私達が大事な事を忘れて、色々と口を挟んでしまって」


「よいのじゃ、コウさんよ。二人が冷静さを欠いて動揺してしまうのも、仕方ない事じゃ」


「なにせ、私達の家系とコウさんの家系、共にご先祖様から数えて五百年以上、『転生者』は誕生しなかった。動揺してしまうのも、無理はないのじゃ」

 パパと母さんがそんな話をしていた。


 ……五百年か。


 技術の伝承を諦めるしかなかった私達の最後の代で、産まれて来るとは何とも複雑な気分だった。


「では二人とも。もう少しだけ確認する事があるのじゃ」


「まずアイコの事じゃ。これは簡単な話しだ」


「アイコには、しばらく秘密とする。良いか?」


「はい」

「分かりました」

 母さんの問いかけに、パパと私が同時に答える。


 これは当たり前の話しだ。


 アイコはまだ五歳である。


 まだまだ小さい子供に聞かせる話しではないし、聞かせても理解出来る年齢ではない。

 アイコに話すのは、もっと成長してからである。


「よし。なら最後の確認じゃ」

「この子を育てる上で大事な事は、驚かない事じゃ」


「?」

「?」

 パパと私はよく分からない顔をした。


「聞いた事があるはずだと思うが、『転生者』の成長はかなり早い」


「言葉を理解するのも、歩ける様になるのも、おそらくアイコよりも早いじゃろう」


「具体的にどれくらいですか?」

 私は母さんに聞いてみた。


「すまんのう。そこまでは分からんのじゃ」


「なにせ伝え聞いた話しだけで、私も『転生者』を育てた事などないからな」


「ただ成長が早いという事は、私達が驚くような事が起こり得ると思っていた方がいい」


「だから私達に大事なのは、どんな事が起きても驚かないように、心構えをしておく事だと思うのじゃ」


「なるほど、気をつけてみます」

「母さんの言う通りですね。心構えをしておきます」

 パパと私は、母さんの意見は一理あると思い、返事をした。


 確かに『転生者』を育てた経験のある人など、いないのだ。

 どんな事が起きようとも、動じない心構えは大切になるだろう。


「よし、では長くなってしまったが終わりにしようかの。もし今夜に話し合った事以外で、何か気になる様な事があったら、また三人で話し合おう。なにせ私達が行う事は未知に挑むようなものじゃからな」


「分かりました、サチヨさん」

「はい、母さん」

 パパと私が返事をして、解散する流れだったが、母さんが何か思い出したように口を開いた。


「大事な事を聞いていなかったのじゃ。この子の名前は?」


 パパと私は視線を交わして、頷きあった。

 そして私が母さんに名前を告げる。



「ケンです」



♢ ♢ ♢



      第3話 ハヤシザキ=ケン



~中村健視点~



 俺は今日も、発声練習をする。


「あー、あー」


「あーうー、あーあー」


 駄目だ。

 喋れない。


 もう少しで、俺の一歳の誕生日だ。

 家族が俺の誕生日をどう祝おうかと、相談しているのを聞いた。

 まだ先のようだが、この異世界に来て一年になろうとしている。


 だが、俺は喋る事も移動する事も出来ない。

 せめてどちらかは、達成したい。


 俺の最終目標は、前世で生活していた日本に帰り、嫁と娘に再開する事。


 日本がある世界と、俺が今いる異世界。

 移動が可能であると、かみにゃんは言っていた。

 だが、そんな簡単に世界を渡る方法が見つかるとは思えない。


 まず重要なのは異世界の情報を集める事だ。

 集めるには、言葉の習得と歩行が必要不可欠。


 だから俺は、発声の練習を再開する。


「うー、あー」


「あーあー、あーうー」


 発声の練習を続けていると、足音が聞こえてきた。


 俺は今、ゆりかごに寝かせられている。

 部屋には誰もいない。

 絶好の練習環境だったが、それも終わりかな?


 そんな事を考えていると、部屋の扉が開いて誰か入ってくる。


 俺は頭を横にして、入ってきた人物を確認する。

 部屋に入ってきたのは、俺の姉と思われる人物だった。


 俺の異世界での姉。

 五、六歳ぐらいだろうか?

 綺麗な黒髪と整った顔立ちをしている。

 まだまだ幼いが、将来はとても美人になると思う。

 そして一番特徴的なのが、紫の瞳だった。


「あ、おきてるー」


 姉は俺が起きているのを見て、嬉しそうに近づいてきた。


「ケンちゃん、アイコおねえちゃんですよ~」

 そう言って、俺に笑顔で話し掛けてきた。


「?」

 俺は黙ったまま、姉を見つめる。


「ケンちゃん、アイコおねえちゃんだよ~。アイコおねえちゃんって、いってみよう?」


 ああ、なるほど。

 姉は俺に言葉を喋ってほしいんだな?

 なら発声練習には、丁度いいな。

 そう考えて、アイコと言ってみる事にした。


「あーうーあー」

「アーイーコー」


「あーいーあー」

「アーイーコー」


「あーいーこー」

「しゃべった!」


 姉はすごい驚いていた。


 俺もけっこう驚いていた。

 さっきまでの発声練習では喋れなかったのに、なんでだろ?

 いや、今は練習あるのみ!


「あーいーこー、あーいーこー」

「すごい、すごい、すごーい!!」


 姉は大はしゃぎしていた。

 俺はもう一度挑戦する。


「あーいーこ、あいこ」

「すごい、すごいよ!! ケンちゃん、きちんといえたね。えらいえらい」


 姉はそう言って、俺の頭を撫でた。

 なるほど、カタコトなら喋れるのかもしれない。

 試してみよう。


「おーねえーちん」

「!?」


「おねえーちん、おねえちん」

「すごい! ほんとうにすごいよ!! おねえちゃんもいえるの?」


「おねえちん、おねえちん」

 駄目だな。

『ちゃ』は、まだ発音が出来ないみたいだ。

 だけど、カタコトで喋れるようになった。

 一歩前進だな。


「ケンちゃん、アイコおねえちゃんっていってみて?」


 姉がリクエストを出してきた。

 まあ、姉のお陰で喋れるようになったんだ。

 付き合ってあげよう。


「あいこ、おねえちん」

「かわいー! かわいーよ!! もっといってケンちゃん?」


「あいこ、おねえちん。あいこおねえちん」

「すごくかわいいー。おねえちゃん、とってもうれしいよ」


 姉はかなり喜んでいる。

 俺としても言った甲斐がある。


「ケンちゃん。アイコおねえちゃんだいすき、っていってみて?」

「あいこおねえちん、たいすき」

 ん?

 おかしな事を言わなかったか?


「おねえちゃんも、ケンちゃんがだいすきだよ! すき、すき、だいすき!!」

 姉はそう言いながら、俺の頭を撫でまくっていた。


 すき?

 だいすき?

 聞き間違えではなさそうだ。


 でも、子供の言う事だ。

 気にする必要はないな。


 とにかく、カタコトで喋れるようになったんだ。


 姉さんだけではなくて、他の家族とも話そう。

 何か得られる情報があるかもしれない。


 そんな風に考えている間も、姉はずっと俺の頭を撫でまくっていた。



 ♢ ♢ ♢



 いくつか分かった事がある。


 一つ目は名前だ。


 俺の名前は、ハヤシザキ=ケン。

 ハヤシザキが姓で、ケンが名前。


 前世の名前は中村健。


 名字は違うが名前は一緒だ。

 前世の名前と異世界の名前が、一緒なんて偶然あるのだろうか?

 それとも何か意味があるのだろうか?


 そして、ハヤシザキという姓。

 日本の姓なのか?


 ……どちらも分からないので、姓と名前は保留にする。



 二つ目は家族について。


 俺が住んでいる家には四人の家族がいる。


 ハヤシザキ=コウ。俺の父親。黒髪。

 ハヤシザキ=オトエ。俺の母親。

 フジワラノ=サチヨ。母親の母。俺の祖母。

 ハヤシザキ=アイコ。俺の姉。五歳年上。


 家族のフルネームを知った事で、さらに疑問は増えた。


 何故異世界でも姓名表記なのか?


 前世の日本は姓名表記だ。


 だが世界全体で見れば、名姓表記の方が多数だ。

 アメリカとかヨーロッパとか。


 だから異世界で姓名表記なのが不思議でしょうがない。


 まあ、さほど重要な事でもなさそうなので、この疑問も保留にする。


 とりあえず、カタコトで喋れるようになったおかげで、少しは情報を得る事が出来た。


 この調子で、どんどん異世界の情報を集めていこうと思ったのだった。




♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢




 以上で終わりです。

 読んで頂き、ありがとうございました。


 私としては、ボツ作品①・②・③の中で、③のプロローグが一番マシだと思うのですが、いかがだったでしょうか?


 もしよろしければ、意見やアドバイスなどをお聞かせください。


 勉強になりますし、嬉しいので。

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― 新着の感想 ―
[一言] 作品への意見、というよりも。 大事なことに気づきました。 私、いくつもの作品をエタらせているのですけれど。 これって、ボツにしたのと同じ、ではないか、ということに、気づかされました………
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