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ボツにした素人作品②


 冷原です。


 今回も、ボツにした作品を投稿します。


 ボツにした作品は全部で3作ありますので、次回の更新もボツ作品を投稿します。



 それでは、ボツにした作品を載せますが、初めにお断りしておきます。


 起承転結などはありません。

 

 物語のプロローグ部分しかありません。      


 中途半端に終わります。  


 今回は文法の修正を頑張りましたので、前回よりも読みやすいと思います。


 しかし!

 文章の修正は、ほぼしていません!


上記の通り、稚拙な作品となっておりますので、過度な期待をしないで下さい。


 自分でいうのもなんですが、面白くないですからね?


 では、始めます。




♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢



        第1話 分水嶺①



 俺の名前は鈴木真也。


 15歳+高校に入学して2週間=高校一年生。


 クラスは1年A組。


 顔は普通。身長と体重も普通。学力は上の下。


 そんな俺には悩みがあった。


 今日も朝の教室で、悩みの原因である人物が、友人達と挨拶を交わしていた。


 その姿を視界に入れながら悩んでいると、声が掛けられた。


「おはようございます、真也」


「ああ、おはよう、彰」


 俺は声を掛けてきた人物に返事を返した。


 声を掛けてきたのは、クラスメイトの大道彰。


 メガネが似合うイケメン。


 高身長でモデル体型。


 全国模試で一位を取った事もあるし、運動神経もいい。


 実直な性格で礼儀正しく、自分が優れているのを鼻に掛ける事もしないので、老若男女に好かれる。


 まさに、天から二物以上を与えられた人間であり、完璧超人である。


 そんな彰とは、中学校が一緒で、クラスも3年生の時に一緒になった。


 彰は持ち前の人当たりの良さで、俺にもよく話しかけてきた。


 最初は完璧超人と仲良くするつもりはなかったが、意外と相性が良かったみたいで、世間話ぐらいはするようになった。


 同じ高校に入学して、クラスも一緒になれたのは、運が良かったな。

 

 話し相手には丁度いい。


「何か悩み事ですか?」


 彰がそう聞いてきた。


 俺は内心ドキッとしたが平静を装い、聞き返す。


「そんな風に見えたのか?」


「ええ。違いましたか? 私には畠山姉妹を見ながら、悩んでいるように見えたのですが?」


 どうやらお見通しみたいだ。


 けど、何故分かった?


 あからさまにジロジロ見ていたわけではないのに。


 俺を常に観察でもしていなければ、分かるとは思えないんだが……。


 まあ、考えすぎだな。


 俺が畠山姉妹に視線を向けていたのを、偶然に彰が見ただけだろう。


「相談なら、いつでも乗りますよ?」


「ああ、ありがとう彰。話したくなったら話すよ」


「分かりました。悩み事は溜めておくものではありません。私でよければいつでもどうぞ」


 そう言って、彰は自分の席に向かった。


 同時にクラス担任が教室に入ってきて、ホームルームが始まろうとしていた。




♢ ♢ ♢




 畠山姉妹は、1年A組のクラスメイトだ。


 双子の姉妹である。


 姉の畠山夏美は清楚系美人。


 妹の畠山夏帆はお世辞込みで、活発系美人。


 彰は俺が畠山姉妹を見ていたと言っていたが、正確には姉妹を見ていたわけではない。


 姉の畠山夏美を見ていたのだ。


 見ていた理由は単純である。



 ――恋だ。



 初恋である。



 俺は畠山夏美に一目惚れをした。



 惚れた経験がなかったので、どうするかを悩んでいたのだ。


 冷静に考えるなら、惚れた相手にする事は一つで、告白しかない……のだけど、振られたらどうしようとか、告白は恥ずかしすぎるとか、まだまだ時間は沢山あるとか、ついそんな事を考えてしまい、告白する決心がつかない。


 まさか自分がこんなにも、女々しい奴だとは思わなかった。


 告白出来る人を俺は尊敬するぜ。


 さて、俺が取れる選択肢は多くない。


 一つめ。


 畠山夏美が、他の誰かと付き合ってしまうリスクを考えて、今日にでも告白する。


 二つめ。


 畠山夏美に関する情報を集める。


 好みの男性のタイプは?


 趣味や好きな事は?


 情報を集めるのに平行して、少しでも仲良くなっておき、告白の成功率を高める。


 このどちらかだな。




 ……決めた。



 二つめにしよう。


 告白の決心がつかないのもあるが、やはり何も知らなさすぎる。


 まずは畠山夏美を、もっとよく知ること。


 そして畠山夏美と、出来るだけ仲良くなること。


 そうすれば告白の成功率も上がるだろう。


 一時限目の授業を受けながら、俺は今後の方針をそう決めたのだった。





       この選択が



       俺の人生において



       一つめの分水嶺




♢ ♢ ♢



      第2話 女々しい男の結末



 畠山夏美についての情報を集める事にしたが、方法はどうしようか?


 現状、俺と畠山夏美に接点はない。


 接点がない人間から、好きな男のタイプや交際歴などを聞かれたら、いい印象は持たないだろう。


 となると、本人に直接聞くのは悪手だ。


 畠山夏美に近しい人物から、さりげなく聞くのが望ましいが、高校に入学して2週間が経ったというのに、俺には彰以外の友人がいないのだ。


 元々、俺は友人が多いタイプの人間ではない。


 中学時代も、友人はクラスに1人いるか、いないかだった。


 別に友人が少なくて寂しいとかは思わないし、孤独が好きなので、俺としては友人がいようと、いなかろうと、問題はなかったのだが……。


 まさかこんな形で、友人の少なさが問題になるとはな。


 かといって、畠山夏美の情報を集める為だけに、友人を作るのは、何か違う気がする……ならば、彰に頼るしかないか。


 彰は俺と違い、友人も多い。


 現に、クラスの人間と仲良く話している姿を、よく見かける。


 うん、彰に頼もう。


 朝の時間に、いつでも相談に乗ると言ってくれたしな。


 この際だから、俺が畠山夏美に惚れているのも言ってしまおう。


 彰は完璧超人だから、中学の頃もメチャメチャモテていた。


 何か貴重な助言も、貰えるかもしれない。


 授業が終わったら声を掛けて、相談に乗ってもらおう。


 初めての恋愛相談だ。


 俺は四時限目の授業を受けながら、そんな事を考えていた。




♢ ♢ ♢




 昼休み。


 俺は彰に相談した。


 畠山夏美に惚れている事。


 告白の成功率を上げる為に、情報を集めたい事。


 話しを聞き終えた彰は、


「勿論、協力しますよ。真也の初恋が叶うようにね」


 と笑顔で言ってくれたのだった。




♢ ♢ ♢




 彰に恋愛相談をして3ヶ月が経った。


 夏休みも近く、告白するには絶好のタイミングだと思うので、彰に相談してみた。


「なあ、彰。やっぱり夏休みに入る前に告白した方が良くないか?」


「告白する決心がついたのですか?」


「……それは」


「その様子では、まだのようですね。ですが、焦る必要はありません。畠山夏美さんは、現在お付き合いしている人間がいないのですから。まだまだチャンスはありますよ」


「そうか?」


「ええ。今はまだ時期尚早だと思います。真也が決心をつけてからでも遅くはありません」


「…そうか……そうだな。俺の決心が出来た時が、告白するタイミングか」


「はい。そう思いますね」


「分かった。ありがとうな、彰」


 俺は彰に感謝の言葉を送った。




♢ ♢ ♢




 彰に恋愛相談をして9ヶ月が経った。


 畠山夏美の情報は、かなり集まった。


 未だに交際している人はいなくて、交際経験もなし。


 好きな男性のタイプは誠実で真面目な人。


 趣味は料理とお菓子作りで、休日には友人を招いて、手作りのお菓子などを振る舞う事もあるらしい。


 全部が彰の情報だ。


 いくら友人が多いとはいえ、休日の過ごし方も知っているのは驚きだ。


 もしかして、本人や畠山の妹に聞いたのだろうか?


 ……まあいい。


 情報の出所は重要ではない。


 重要なのは、情報は集まったが、9ヶ月経っても畠山夏美と仲良くなれなかった事だ。


 どうしても、畠山夏美と話すのが、気恥ずかしくて出来なかった。


 挨拶ぐらいはするし、俺の名前も知ってくれてはいるが、それだけだ。


 会話らしい会話は、出来なかった。


 俺という奴は、どうしようもないほど、女々しい男だった。


 本当に、自分でも呆れるほどだ。


 でも、いい加減に覚悟を決めないといけない。


 何故なら、あと3ヶ月ほどで高校二年生になり、クラス替えがあるからだ。


 次も同じクラスになる保証はないし、これ以上告白するのを引き延ばしても、状況は好転しないだろう。


 9ヶ月経っても、進展がないのだから。


 後はもう、当たって砕けろの精神で告白しかない。



 (……よし! 俺はやるぞ!!)



 俺はなけなしの勇気を振り絞り、気合いを入れて、ようやく告白する事を決意した。




♢ ♢ ♢




 告白の決意を、四時限目の授業中にした俺は、昼休みに彰と会って、今日の放課後に告白する事を告げた。


 今までに色々と世話になったのだから、報告しておくべきだと思ったのだ。


「そうですか、今日の放課後に告白するのですね。でしたら私は、真也の告白が成功するのを願っています。頑張って下さいね」


 彰はそう言って、俺を応援してくれたのだった。



♢ ♢ ♢



 現在、放課後。


「…………」


 俺は校舎裏で畠山夏美を待っていた。


 昼休みの内に、放課後の校舎裏に1人で来て下さい、という内容の手紙を机に入れておいた。


 典型的な告白パターンである。


「……」


 ヤバい!


 待っているだけなのにメチャメチャ緊張する。


 心臓がバクバクと早鐘を打っているし、季節は冬なのに、じっとりと汗もかいている気がする。


 というか、人生の中でこんなに緊張しているのは初めてじゃないか?

 

 俺はあまり緊張しない人間だと思っていたんだけどな。


 "ザッ"


「!?」


 校舎裏に生えている雑草を踏んだような音が聞こえて思考を中断し、音の方を見れば待ち人がやって来ていた。


「あれ? 鈴木君?」


 畠山夏美。

 

 約9ヶ月も片思いし続けた相手。


「あの、鈴木君?」


「はい」

 はいって何だよ! 会話しろ俺!


「鈴木君なのかな? 手紙をくれた人は?」

 よし気合いだ! 気合いで喋れ!


「あ、ああ、そうです」

 馬鹿野郎! どもってどうする!


「そうなんだ。それで私に何かご用ですか?」

 夏美は、不思議そうに首を傾げて俺を見る。

 

 その姿はメチャメチャ可愛いかった。


 男だ! 鈴木真也、男を見せろ!


 俺は覚悟を決めて言葉を発する。


「畠山夏美さん! あなたが好きです! 俺と付き合って下さい!!」


 言った。


 言えた。


 言えたぞぉぉ!!


「…………」


 夏美は何か驚いている様子だ。


 何に驚いているのかは分からないが、俺に出来るのは返事を待つ事だけだ。


 だけど、夏美の返事はYESでもNOでもなかった。


「あの、もしかして彰君から聞いていませんか?」


 彰から?


 何を?


「私は彰君と、8ヶ月前から交際しています」



 は?




♢ ♢ ♢



         第3話 真意



 人生で初めて告白した日の夜、俺は自室のベッドで夏美の言葉を思い出していた。


『私は彰君と、8ヶ月前から交際しています』


『……その様子だと、やはりご存知ではなかったんですね』


『私達の交際は、公表するのは恥ずかしいので、秘密にしていたんです』


『ただ、近しい人で秘密を守る人には伝えていました。私も妹には話しました。彰君と鈴木君は仲良しに見えましたので、私はてっきり鈴木君は知っているんだと勝手に思い込んでいました』


『そういう訳ですので、鈴木君、ごめんなさい。私は彰君と付き合っていますので、鈴木君とは付き合えません』


『あと、これは私からのお願いです。交際を伝えていなかった彰君を責めないで頂きたいのです。きっと彰君は、鈴木君が私を好きだとは知らなかったのでしょうから。知っていたら、あの誠実な彰君が黙っているはずがありませんからね』


『それでは、私は失礼します。どうか今後も彰君と、仲良くしてあげて下さい』



 夏美の言葉を思い出してみて、浮かんでくる感情は複雑だ。


 失恋した悲しみ。

 彰と付き合っていた驚愕。

 彰に対する嫉妬。

 俺に黙っていた怒り。

 告白をすぐにしなかった後悔。


 などが俺の心の中で、ドロドロと溜まっていた。


 そのドロドロとした感情を、何かにおもいッきりぶつけたい欲求に駆られそうになるが、両手の拳を強く握りしめ、


「落ち着け! 落ち着け! 落ち着け! 落ち着け! 落ち着け! 落ち着け! 落ち着け! 落ち着け! 落ち着け! 落ち着け! 落ち着け! 落ち着け! 落ち着け! 落ち着け! 落ち着け!」


「…ハァ…ハァ…ハァ」


 大声で自分に言い聞かせて、なんとかドス黒い感情を押さえつけた。


 ここで、自分自身の不甲斐なさを棚に上げて、感情の赴くままに八つ当たりをしたところで、自分がより惨めになるだけだ。


 …深呼吸でもして、冷静にならなければ。



「スゥ~~ハー、スゥ~~ハー、スゥ~~ハーー」



 ……大分落ち着いたな。


「ふぅー」


 整理するか。


 まず、今回の事態を招いた原因は、俺自身の女々しさ、不甲斐なさに尽きる。


 別に女々しい男を否定するつもりはない。


 女々しい男だとしても、状況や環境の変化で長所にも短所にもなる。


 それは女々しい男に限った話しではなくて、どんな性格の男性・女性でも当てはまる事だ。


 ただ、今回の俺のように、片思いをしている場合は、女々しさは不利に働く場合もある。


 そう、不利に働いてしまったのだ。


 いつまでも理屈めいた事を並べ立て、女々しい言い訳をして、9ヶ月も告白しなかったのが、最大の悪手だった。


 好きな人がいつまでも、フリーでいる保証はないのだ。


 そして、フリーの異性は早い者勝ちが、世の常である。


 だからこそ、今回の失恋の最大の原因は、俺自身の判断のせいであり、俺自身の女々しさであり、俺自身の不甲斐なさのせいである。


 よって、失恋したという結果の全責任は、俺自身が負うものである。


 ――まずはそれを、受け入れよう。



 ……。



 …………。



 ………………。



「ふぅー」


 一呼吸つく。


 失恋した結果と責任は、なんとかうまく受け入れられた。


 ……悲しさや後悔という感情はまだ残っているが。


 こればかりは、時が解決してくれるのを待つしかあるまい。



 さて、残る問題は彰だ。



 夏美は、


『きっと彰君は、鈴木君が私を好きだとは知らなかったのでしょうから』

           

 と言っていたが、そんなはずはないのだ。


 俺は彰に恋愛相談を9ヶ月も前からしていたのだから。


 そして、彰と夏美が付き合ったのが8ヶ月前。


 つまり、俺が彰に恋愛相談をして1ヶ月後に二人は付き合ったという事だ。


 どちらから交際を申し込んだのかは分からないが、どちらにしても彰が俺に黙って夏美と交際していた事実は変わらない。



 何故、隠していたんだろうか?

 何故、隠しながら俺の恋愛相談に乗っていたんだ?



 別に隠し事は誰にだってあるものだから、責めるつもりはないのだけれど、さすがに友人が片思いしている相手と付き合ったなら、打ち明けるべきではないか?


 それとも、俺がその事実を聞いて、怒り狂う可能性を考えて言えなかったとかか?


 ……う~ん、分からないな。


 彰とは、特別親しいわけではなく、学校で会ったら世間話を喋るぐらいの関係だ。


 プライベートな話題は、ほとんどしない。


 それこそ俺の恋愛相談の話しが、彰と初めて交わしたプライベートな話題だった。


 だから、彰の真意が分からない。



 ――真意。



 ――真意か。



 そうだな、真意だ。



 善意で隠していたのか?

 悪意で隠していたのか?



 彰の真意を確かめる必要がある。


 正直に言えば、まだ彰に対する黒い感情は抜けきってはいない。


 だけど、彰が善意で隠していたのならば、彰を責めるのは、お門違いである。


 逆に、悪意で隠していたなら……。


 夏美の最後の言葉を思い出す。


『どうか今後も彰君と、仲良くしてあげて下さい』


 ……その言葉を叶えられるかどうかは、彰の真意に掛かっている。



♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢



 以上で終わりです。


 読んで頂き、ありがとうございました。


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― 新着の感想 ―
[一言] 彰…。一体なぜそんなマネを…。 続き、気になります。
2022/10/27 21:49 退会済み
管理
[一言] おもしろかったです。 文章の細かな部分は人それぞれの個性の出るところでございますが、全体の内容としてより深くそして広げられるような期待が持てました。 ここからの恋愛物でもいけますし、より…
感想一覧
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