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12.ボツにした素人作品④

 ボツにした素人作品③で、多分今後ボツ作品は生まれないでしょうと言ったにも関わらず、生まれてしまいました……。


 ごめんなさい!


 ボツ作品ですので、内容が起承転結しておりません。特に後半部分が穴ぼこ状態です! 話の展開が破綻しております! それでもよろしければ、お読み下さい。


 正直なところ、あまり面白くないと思いますので、ブラバ(ブラウザバック)推奨です。


 では、どうぞ!(ブラバを!)



♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢


     短編:「夢」と「10億」の天秤



「運営からのメッセージはない……な」

 

 私は「小説家になろう」にログインして自らのホーム画面を開いたが、結果はいつも通り。

 いくつかの感想は届いていたものの、私自身が一番望んでいる運営からのメッセージは今日もなかった。


 小説家になりたいという「夢」を抱いたのが30歳の時。

 私自身が書きたい小説を自由に書いて、その作品で書籍化デビューをしたいと思い「小説家になろう」に登録した。


 ユーザー名は「卯恵樹秋数」に決定。

 由来は私の本名「上木彰一(うえきあきかず)」から、単純に漢字を置き換えただけである。


 昼はサラリーマンとして働きながら、少しずつ小説を執筆する生活。

 創作は苦しく辛い時もあったが、私の作品にブクマや評価ポイントを頂いて嬉しかったし、感想などもすごく励みになり、なんとか今日に至るまでの3年間、小説を書き続けることが出来た。


 そしてついに――私の作品が日間ランキング1位に載ったのだ!!


 ランキングの効果は絶大で、瞬く間にブクマや評価ポイントが増え続け、先月の月間ランキング2位にも輝いた。


 後は出版社の目に止まりさえすれば、私の「夢」は叶う!


 叶う、はずなのだが……。


 一向に書籍化の打診を知らせる、運営からのメッセージはやってきていなかった。


 ……狭き門なのは自覚している。

 しかし――諦めるのはまだ早い。


 何故なら私の作品は、完結していないのだ。


 全体構想の4割ほどが残っているし、これから様々な伏線が回収されて、より面白くなっていくのだから……。



 ――そう。


 ――可能性は――まだ残っている。


 

 自分にそういい聞かせ、私は「小説家になろう」を開いているページを閉じた。


 ――そうだ。今日はもう一つ調べものがあったな……。


 私は新しくヤフーの検索ページを開き「年末宝くじ当選結果」と入力した。


 普段宝くじなど買わない私だが、他にギャンブルなどもしないので、年末の宝くじだけは毎年買っている。


 ……もちろん、当選するとは思っていない。

 いわば、ちょっとした「ロマン」を買っているのだ。


 全部で5枚買ってきた宝くじの番号と、パソコンに表示されている当選番号を確認していく。


 1枚目、ハズレ。


 2枚目、ハズレ。


 3枚目、ハズレ。


 4枚目、ハズレ。


 5枚目、ハズ……レ?


 ――ん?


 ――いやいや、見間違いに決まっている。

 

 私は5枚目の宝くじの番号と、一等10億円の当選番号を、最初の数字から交互に1文字づつ確かめていく。



 1 4 9 5 0 5 8 0 2 4 9 ――1



 ……当たって……いた。


 

 ――10億円が。

 


♢ ♢ ♢



 ……翌朝、私はほとんど眠れなかった。


 ――それもそのはず。


 宝くじで10億円が当選して、普通に寝れるわけがない。

 しかし、横になって一晩考えられる時間があったことで、これからの方針は決まった。


 1。会社を退職する。


 元々私は、お金に関しては自制心が強い。

 酒と女遊びが好きだが、貯金は300万円あるし、例え10億円を手にしても散財しない自信がある。

 なので10億円が当選した以上、今の会社で働き続ける意味はない。

 生きる為に働いていただけで、働く為に生きているわけではないのだ。


 2。誰にも口外しない。


 莫大なお金は、人を狂わせる可能性を秘めている。

 それは親兄弟恋人すら例外ではない。

 ……私に恋人はいないが。


 頭の中で方針の反芻をしながら、身支度を整えていく。


 10億円が当選したからといって、会社を欠勤するつもりはなかった。

 急な体調不良でもないのに、仕事を休むのは非常識であるし、休むにしても10億円が当選したので……とは言えるはずもない。

 ならむしろ出勤して、退職願を部長に提出し、1日でも早く会社を退職出来るよう――仕事を片付けていくのが最善の行動だろうと思う。


 私はスーツに着替え終わると、出社の為に家を出るのだった。

 


♢ ♢ ♢



 退職願が受理され2週間。

 この2週間は、小説を執筆する時間を…取れなかった。

 退職手続きや引き継ぎ業務。

 取引先への退職挨拶に送別会。

 さらには当選金の受け取り手続きをする為、銀行にも足を運び、無事に10億円が口座入金された。

 これほど多忙な2週間は、初めてであった。

 


 そして今日!

 やっと忙しかった日々から開放されたのだ!!


 これで私は自由!

 痴漢冤罪に怯えながら、毎日満員電車に乗る生活から解放されたのだ!!

 


 ――さて。

 仕事を退職し、10億円が入金されたら……最初にやることは決めていた。


 それを実行する為に、家を出た。

  


♢ ♢ ♢



 私が向かったのはキャバクラ。

 行きつけの店ではなく、初見の店に入った。



♢ ♢ ♢



 ――天秤は成り立っていたのだ。



 ――しかし私は、


 

 ――天秤に「夢」を載せることすらせずに、



 ――「10億」を選んでしまった。



♢ ♢ ♢



 ――数ヶ月後。私は匿名でエッセイを投稿した。

 

 そのエッセイには、私が小説家を目指していたこと。

 宝くじで10億円が当たったこと。

 小説の続きが書けなくなったこと。

 お金に目が眩み、勢いで己の作品を削除してしまったこと。

 削除した作品に書籍化の打診メッセージがきていたこと。


 などの私が経験してきた体験を書き、最後に以下の文章で締めた。


 

 ――10億円が当たったら、小説を書きますか?



 ――書けますか?



 ――どんな選択をしても、恥ではありません。



 ――ただ……後悔のない……選択を。



♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢


 ここまでお読み頂いた方に、最大限の感謝を!

 ありがとうございました!


 ……さすがに、ボツ作品⑤は生まれないと思いたい……。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] これ、普通に上げたらよかったのでは? ヒューマンドラマジャンルかな?
[良い点] 『「夢」と「10億」の天秤』、面白かったです。 宝くじ当選で見事に「夢」という命の財産を散財させてしまいましたね。 私だったら当選した10億円で、自作の売れない話を自費出版します。 財力が…
[良い点] これは面白い! 没作品とは思えません! でも「なろう」の設定が何か規制とかに引っかかりそうなので、別の『小説投稿サイト』とかぼやかしたほうがいいと思いますけれど。 色々考えさせられます。
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