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ワンチャンの女神  作者: 黒森 冬炎
ワンチャンの女神(全3話)
1/7

ワンチャンの女神(上)




「ちょっとあんた、頭おかしいんじゃないの?」

「ははっ」


 またやってる。

 あ、どうも。クラウディア・スカイハートです。公爵家の次女です。よくある乙女ゲームモブ転生しました。モブなんで髪の毛は中途半端な長さのストレート。髪色は茶色で眼は緑。貴族の割には適当です。


 姉は悪役令嬢ロゼリア・スカイハートです。ゴージャス赤毛にペリドットアイ。健康的に桃色の肌をしております。王太子に婚約破棄されましたが、逮捕とか処刑は無かったです。


 婚約破棄されたその日の夜、変な悪役が押し掛けて来ました。くるくる天パの赤毛に微妙な濃さの青い目です。この人、ゲームでは王太子ルートに登場しません。旅芸人ティムのルートでしか出てこない、どっかの国の乱暴貴族です。


 この人は、別にヒロインのキアーラ・シャインハートに横恋慕したり悪役令嬢の手先になったりはしませんでしたね。普通に乱暴で横暴な脳筋貴族で、ひたすらイラッとさせてくる悪役でした。


 こんないてもいなくても良い悪役ですが、名前はありましたよ。ダグラス・シーブリーズ。清潔そうなお名前ですね。現世でもそのまんまです。笑ってはいけませんよ。失礼です。これでも別の公爵家の次男くんですよ。


 なんと、この人我が国の貴族でした。ゲームでは旅の途中で出会ったので、外国人かと思いましたけどね。実はダグラス(アニ)ィは、母方の従兄弟なんです。

 婚約破棄関係なく、しょっちゅう家に来てましたね、そういえば。ゲームでは悪役令嬢ファミリーなんて紹介されなかったので、知りませんでした。


 親世代は、長男が王様。次男がダグラスの父。その妹で長女が家の母。キアーラは王家とは無関係です。血のためにも王太子妃はキアーラの方がいいですね。同族婚はやめた方がいいですよ。



 もともと少しおかしなゲームでした。悪役令嬢ロゼリアが虐めたのはヒロインであるキアーラ・シャインハートではなく、王太子シャルル・マリンパークでした。楽しそうなお名前ですよ。

 言語統一しろとか言わないでくださいね。私のせいじゃありませんから。


 兎に角ロゼリア姉貴は、傲慢王子に反抗してウザがられたんです。王太子からすれば、いちいち絡んで来る虐めっ子ですね。それで、癒し系のキアーラにベタベタ甘えてヨシヨシされてる現場を、ロゼリアに邪魔されたり怒られたりしてキレちゃったんですよね。


 シャルル理不尽。いい加減にしろ。王太子ルート、私は嫌いでしたね。ネットではロゼリア処刑しろとかウゼェとか何様とか、散々でしたが。私は姉貴の味方ですよ。前世から。



 姉貴が婚約させられたのは、生まれた時ですね。まあ、よくあるお話です。因みに私には婚約者いません。もう15歳です。同じ歳になった現世の高位貴族女子は、普通婚約者どころか夫がいたりします。


 婚約者がいない理由は、父が吟味しまくるせいです。姉妹格差はイカン!とのことです。姉貴が王太子の婚約者でしたので、私もどっかの次男までの王子に嫁がせないといけないと主張してました。なかなか見付からないうちに、私、15歳になってしまいましたよ。


 姉貴が婚約破棄されてからは、変な悪役ダグラス兄ィのロゼリア姉貴突撃への対応で手一杯みたいです。兄ィにも困ったもので、姉貴が結婚するまではワンチャン狙って婚活拒否してたらしいですよ。シャルルがクソだったお陰で、ワンチャンありました。よかったね。



 うちの姉貴は現地人ですよ。やんちゃだけど。まあ、私も0歳スタートなので普通に現地人扱いで良いと思います。死産の体に入ったとかじゃなくて、普通にスルッと生まれ変わりましたんで。


 ロゼリア姉貴は、猫被ってましたから、シャルル虐めるときは貴族風嫌味で説教してたみたいですね。ダグラス相手の下町言葉なんか、間違っても使わなかった筈。見てないから知らないけど。



「ちょっ!!何すんのッ」

「キスだけどー!」

「こらあっ!ダグラス!!」

「邪魔すんなよ、オジキ」


 ああもう。脳筋ども、声でかっ。

 ダグラス父(親世代第二王子)は所謂騎士王子で、軍事担当の現役騎士団長なのでバリバリ脳筋野郎。その親友が家の父です。お察し。親友の妹(王女)にベタベタに惚れ込んだ男。先代騎士団長の次男坊なんです。


 訳あって公爵位を賜りました。母が女公爵なんですけど、結婚騒動で先王(母の父)が自暴自棄になり、女公爵の夫ではなく公爵にしちゃったんですよね。つまり、空前絶後の夫婦公爵。わが国は専制君主制なので王が法です。言ったもん勝ちなのですよ。


 父は身分差無視して押しまくって、母を獲得したようですね。日帰りで魔王討伐とか訳のわからない誠意の示しかたで、先代の王様を丸め込んだと言う強引な男です。


 姉貴は、父の単細胞ぶりが遺伝してしまいましたね。母仕込みの嫌み論法を身に付けたのに内容が単純なので、傲慢王子シャルルと女狐キアーラのカップルに、王宮出禁なんか叩き付けられちゃいましたよ。


 まあ兎に角、荒っぽい騎士団の連中が入り浸る我が家では、淑女らしい言葉遣いやマナーなんか見当たりません。一応、舞踏会等では被る猫を用意いたしますよ。

 すぐ剥がれたりしません。脳筋は、本能で生きてるのです。自分に不利な動きは、基本しませんよ。ヤンキーじゃないからね。


お読み下さりありがとうございました

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