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sin in the world in the sin  作者: 勧悪懲善者
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四頁 心優しい商人?足元掬われて終わりだな。

「で、どこまで話したっけ……そうそう、マニラスがリスカを買った所だな。」


「確かそこら辺だな。」


「じゃ、続き見ていくぞー。」

















マニラスが「戦える奴隷」を求め、フロイがそれに応じている場面。


「戦える奴か……じゃあうちの奴隷で一番魔術適正があるセノスと、盗人上がりで戦闘経験豊富なサザリカ……後、唯一異形化してるリスカの三人がいる。まあうちに今いる奴隷はこの三人で全員だがな。それで、誰にする?」


「では……………………………












リスカを頂こう。異形化してるなら伸びしろがある。」


「え……?」


いきなりの急展開に困惑するリスカ。

そんなリスカをよそにフロイは答える。


「リスカは戦闘経験もないし、異形になったばかりで力の使い道もわかってないが、いいのか?」


「構わん。時間はたっぷりあるからな。」


「ならばこの契約書にサインして貰おう。買った奴隷を大切に扱う心構えがなければ売れない。」


「え?え?」


フロイは一応奴隷商人だが、奴隷を大切に扱っている。

他の商人に「奴隷商人らしき孤児院の主」と呼ばれるほどだ。

実際、フロイの管理する奴隷は10〜20歳が多く、孤児を拾って育ててから奴隷として売りに出す。

売られても寂しくないように、奴隷同士をあまり合わせることはしておらず、売られた先の状況は必ず報告させると言う徹底ぶり。

最早奴隷と言うより派遣社員である。この世界に派遣社員などという言葉は無いが。


「ああ、ちゃんと3食食わせるし服も用意するし怪我してる時に重労働強いたりもしない。」


マニラスは契約書にサインした。


「(そっか……私は奴隷だから売られることもあるんだった……悲しんじゃ駄目だ。それが今だったってだけ。)」


「では……明日引き渡しといこう。代金は⚫⚫⚫⚫……でどうだ?」


「問題ない。」


こうしてリスカの行き先は決定した。

それからは、リスカの準備を整える時間。


「済まなかったな。」


「え?」


フロイがいきなりリスカに謝ってきた。リスカは何故フロイが自分に謝るのかわからず、混乱する。


「お前の希望聞かずに売りに出すことになっちまってよ。俺だって売りたかねぇよ。本当はな。だけど、金がなきゃ食っていけねぇし、俺は捨てられたガキを片っ端から拾ってるから費用が増えて増えてとんでもねぇ額になる……悲しいけど、売るしかないんだ。」


「ご主人……」


「お前にも、これを渡さないとな。ほらよ。」


フロイはリスカに何かを寄越した。


「な、何これ?」


「所謂「携帯電話」と言うやつだ。」


「それって……古代の遺品じゃないの?もしかして、コードの商人から買ったの?」


「実は昔、とあるコードに復元の仕方を習ってな……それからは極秘で復元してお前らの誰かが売られたときに渡すんだ。いつでも俺に状況報告できるように。」


「………………………………………」


「寂しがる事は無い。職場が変わるだけだ。」


「いや……でもやっぱり寂しいもんだよ。」


「だろうな。みんなそう言ってきた。」


「………………………………」


「………………………………」


長い沈黙。

フロイがリスカの頭を撫でる。

リスカの目から涙が出てきた。


「でも……怖いんだよ。壊れるのが。出来損ないの私が新しい職場でやってけるのか……」


「くっくっくっ……HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!!!!!! 」


「どうしたの!?狂った!?」


「いや、今まで出ていく奴みんなそう言ってきたから……つくづく、俺が育てた奴隷は似ていくんだな、と!」


「え、マジで?」


「大マジだ!いやー、シリアスムードぶち壊して悪かったなー!」


「べ、別にいいよ。私はシリアスムード苦手だし……でも、心構えは出来たかも。」


「そりゃ良かった。」


そして、翌日。


「では、リスカを引き渡す。達者でな。」


「ご主人こそ達者でー。バイバイ!」


「おう、じゃあな!」


リスカとマニラスが消えていった。


「さて……いろいろ疲れたな。」


涙が出ていることに彼は気がついていない。





















リスカを買い、先遣隊完成に一歩近づいたマニラスは、次なる先遣隊のメンバーを求めて歩いていた。




「そういえば……なんて呼べばいいの?新ご主人?」




「…………マニラスでいい。」




「わかった。じゃあマニラス、宜しくお願いします。」




一応、主人と奴隷の立場なので、とても気まずい。


その空気に耐えられなかったのか、リスカは口を開く。




「えーっと……マニラスはなんで私を買ったの?言っておくけど、私は異形化したばっかりで戦闘じゃ役に立ちそうにないし、家事が出来る位だよ?」




「戦闘スキルは今から磨いていけばいい。とある理由で様々な種族が必要でな……まず人間って事でお前を買ったんだ。」




「?じゃあ、私じゃなくても良かったんだ。」




「そうだが……まあ、異形の仲間も面白そうだと思ったのさ。」




「そういうもんなの?」




「そういうもんだ。」




「………………」




またもや会話終了。


再び気まずい空気に……




「(どうしよう……思ったより無口だなぁ……)」




リスカが一人困惑している時……




「どうやらその能力を試す機会が来たらしい。」










































「はいここまでー。」




「お前ほんといいとこで止めるの上手いよなぁ……」




「伊達に長生きしてないんでね!このあとどうなると思う?」




「野良エネミー辺り出てくるんだろ。エネミーってのは種族とされているが、一匹で行動する奴も多いからな。実戦経験を積むには御誂え向きだ。」




「お、詳しいな。でもさ………」




「(エネミーは今は徒党組んでるのに、なんでその知識があるんだ?)」




カルルトは小声でそう言うが、勿論マニラスには届いていない。


マニラスもとっくに自分の正体に気がついていると思うが……


読めん奴だ。


カルルトはそう思った。



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