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拳鬼たち  作者: 村崎野 賀茂
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忽雷架2

落ち着いた李に、師は優しく語りかけてきた。

“平静になれたか? ならそれで良し”

茶を一口啜ると、先程のあらましを師から解いてもらえた。

“大極の拳は、お前も知っている通り、八門五歩の

身体操作から成り立ち、それはお前自身もよく理解しているだろう。“

“それは無論!”

“私もこちらに来るまでそう思っていたのだが、どの大極も

基本の原理原則を守るなら、様々な表現がある。”

“そうでございますね。”

“趙保もその一つで、田舎らしい大きくメリハリのある動作が

その特徴だと思っていた。と”

“はい、そうでございます。あの、それが、、何か”

“わしもここに来るまでそう考えていたのだがな、

ただ、ある時趙保の者と推手を行う際、微妙なズレ

が出てきた。”

“それは最初、ほんの少しの誤差だったのだが、ある日

それにより異なる拍が生まれることに気づくにいたった。“

“つまり”

“そう、さすがだな、勘が良い、これが新たな攻の手となること、

そういう上で、この趙保というのを見直せば、家講の本家に対して

本来対抗するために作られたものだとわかるはずだ。”

李は身震いするのを感じた。

今の今まで田舎の僻拳だと思っていたものが、まさか本家に双肩する

ものだったとは、、、。

師は続ける。

“大極に慣れたものほど、この拍の問題は大きくでよう。

先程わしは、おぬしのほんの半拍を先回りしたに過ぎん。

しかしそのわずかな差をおぬしはどうだ、その身体はこれまでの基準から

測る、それによって対処できないほどの“大きさ”として感知したではないか

それがこのからくりだよ。“

李は理解した。

本家に対抗し、本家を超えるために、この趙保の拳は磨かれたのだ。

そんな趙保に対して、自らがそれをモノにするだけでは到底

拳士としての面目躍如は足りていない。

本家を超える趙保、そして趙保を超える趙保、それこそが

両村を巡る師仕える者の使命である、

その後、李の修練は続いた。

最大限に大きく拍を伸ばす。感覚的に

できる最大限に大きくとった後、

逆に瞬間的に消えてしまう技に

行き着くことになった。

これは動作の大きい趙保との落差が

より大きく、雷閃のように変化することから

“忽雷架” と唱されるよなる。

それはかつて本家から趙保、趙保から

新しい趙保に流れ着く、拳の道程なのである。


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