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INDEPENDENCE DEV3

「で、つまりお前は過去のこの街からタイムスリップしてきたってわけか」

 ホイットは目の前で山盛りのフライドチキンを目にもとまらぬ速さで口に運ぶ少年、デイヴに向かって言う。

「その通り。だから僕は元の時代に戻るために一刻も早く痩せないといけないんだ。おかわり!」

「お、お前、ほんとに痩せる気あるのか?」

 ウィルが運んできたおかわりのチキンをホイットもつまむ。

「もちろん!そのために食べてるんじゃないか!腹が減ってはダイエットはできない。あ、コーラとポテト、それからピザもお願い」

「てめぇ!人ん家の食料全部食う気か!」

「あ、あんたには頼んでない!そこの眼鏡のお兄さんにおねだりしてるんだっ!」

「この家の主は俺だ!」

「まあまあ。ここの食料は政府が大量に用意しているものですし、ホイットさんお一人では食べきれないでしょう?」

 デイヴとホイットが言い合いするのをなだめ、ウィルはポテトを揚げ始める。その間にもデイヴは出されたピザとコーラを平らげてしまう。

「あ~お腹すいたぁ~」ドルァァァァァァ!

 鍋で揚げられるポテトの匂いにデイヴは腹を鳴らす。

「・・・さっき食ったとこだろ」

 ホイットは呆れ顔でモニターの分析に戻る。先ほどのノイズの原因を解明しなくてはならないのだ。思わぬ邪魔が入ってしまったが、集中して分析を始める。・・・しかし。

「うるせぇぇぇぇ!!」

 デイヴが先ほどから腹の虫を鳴らし続けているのだ。それも次第に爆音と化していく。

「し、仕方ないだろ!生理現象なんだから!」グルォォォォォォ!!

「バケモンの唸り声じゃねえか!・・・ん?」

 ホイットはモニターを見る。先ほどと同じく、モニターのシグナルは時折ノイズによる乱れを生じさせている。背後では相変わらずデイヴが腹のオーケストラを奏でる。その音に呼応するように、シグナルは乱れを描く。

「ま、まさか・・・。こいつの腹の音が・・・?」

 ホイットはすぐさまウィルを部屋に呼びつける。

「どうしたんですか?あ、ポテトどうぞ」

「おう。実はあのUFOに関することで発見があった」

「え!なんですか⁉」

「UFOから発せられている音波、アレは宇宙人の使う言語という説があったよな」

 ポテトをデイヴと奪い合いながらホイットは説明を続ける。

「その音波の構成要素とこの肉塊の放つ腹の音の構成要素が、一致している。つまり、こいつの腹を解析すれば、奴らとコミュニケーションを取ることができるかもしれん」

「本当ですか!・・・あ、すみません」

 ウィルの通信着に着信が入る。ウィルは対応のために廊下に出た。

 彼の帰りを待つ間にデイヴはすべての食料を平らげ、ようやく満足した様子で昼寝を始めた。横たわる姿はまるで巨大な猪のようだ。

 デイヴが深い眠りに落ち、壮大ないびきのオーケストラを奏で始めたころ、ウィルが部屋に戻ってきた。

「遅かったな、どうした?」

 ホイットが尋ねる。ウィルがあまりにも深刻そうな表情をしていたからだ。

「とりあえず、車に乗ってください。話は車中で」

 真剣な表情でウィルが急かすのでホイットはデイヴを叩き起こして車に乗り込む。さすがに今日出会ったばかりの男を一人家に残していくのは気が引けたからだ。

「家具まで喰われたらかなわん」

 隣で昼寝の続きを開始した巨漢を見て、ホイットはそうつぶやいた。


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