INDEPENDENCE DEV2
「調子っつてもなあ。一向に成果はみられませんな」
ウィルを中に招き入れ、コーヒーを淹れる。
「そうですか。しかし彼らの目的は一体何なんでしょう」
「さあな。宇宙人の目的なんてたいていは侵略だろうよ」
昔見た映画のワンシーンを思い浮べ、ホイットは答える。確かあの映画では地球は滅びたんだったか。
「なるべくならその方向は避けたいものですね。それにしても動きが全くないというのも不気味ですね」
「一応、何らかの信号は出してるがな。ほれ」
モニターに映し出されているシグナルを指さす。二人はしばらくコーヒーを飲みながら画面を眺めていた。
「すみません、トイレお借りしても?」
「ああ。ここ出て右手にある」
「なんだこれは」
ホイットは目を疑った。ウィルが部屋を出た直後、それまで正確に波形を刻んでいたシグナルに大きな乱れが生じたのだ。今までこんなことは全くなかった。もしかするとUFO何か動きがあったのかもしれない。
「うわあ!」
ホイットが解析を始めようとしたところで、部屋の外からウィルの叫び声が聞こえた。それと同時にまるで便器が破壊されたかのような爆音が響く。というか、便器が破壊されたのだろう。
何事かとトイレに様子を見に行くと、そこには床に座りこむウィルと破壊されたトイレ、そして便器に頭から突っ込みはまり込んでいる謎の巨漢の姿があった。あまりの光景に開いた口がふさがない。
「ど、どういうアレ?」
物凄く漠然とした言葉でウィルに尋ねる。
「わ、私にもなにがなんだか・・・。トイレに扉を開けたら急に現れて。助けた方がいいですかね・・・・・・」
ホイットとウィルは便器に顔を突っ込んだまま気絶している男をなんとか引っ張り出した。顔を見ると十代だろうか、とても若く見える。しかしその若さとは逆にその体は何億年もの間、栄養をため込んでいるかのような、肉肉しい存在感を放っている。そしてその腹部からは時折大地の鼓動かとも思える腹鳴りが聞こえる。
「う、ううん」
自身の空腹音で、男が目を覚ました。
「お、おい。大丈夫か?」
ホイットが尋ねる。
「ぼ、僕・・・・・・。お腹すいたあああ!!」
地獄の底から響くような腹鳴りと共に、その肉厚の少年、デイヴは声を上げた。