BACK TO THE PAST4
「ひょ、ひょぅぅぅぅ」
ランニングマシンの上でデイヴは絶叫した。まだ走り始めて一分しか経っていないにも関わらず、汗や鼻水、涙に汁と体中からありとあらゆる体液が噴出している。
「よしよし、その調子だ。そうやって走っていればその内痩せるだろう。いやあ、昔気まぐれで買ったランニングマシンが役に立つ日が来るとはな!」
そう言って老人は嬉々してマシンの速度を上げていく。
「ちょ、いきなりスピードアップは・・・・・・」
デイヴは息も絶え絶えなんとかマシンについていく。
「よし、ガンガン速度上げていくぞ!」
リモコンのメモリを最大限に回すとマシンが猛烈な唸り声をあげ始めた。
「ぶべべべべべべ!もう限界だあああ!」
デイヴがこの世の物とは思えないおぞましい雄叫びを上げ最後の力を振り絞って走る。するとそれに呼応するかのように研究室に設置されていた測定器がアラームを鳴らした。
「な、なんだ⁉これは確か磁気測定機の警告音・・・まさか!」
老人は慌てて手に持っていたリモコンでランニングマシンを停止させようとスイッチを押す。しかし、急速に回転数を上げたことによってマシンはオーバーランニングし、操作を受け付けない。
「ま、まずい。デイヴ君はここにきてからずっと食べっぱなしで体重がかなり増えていたんだ・・・。そこにランニングマシンによる加速が加わって・・・・・・」
そう、まさしく今、時を越えるに最高の条件が再びそろってしまったのだ。動き出したデブは、もはやだれにも止めることはできない。
「いかんデイヴ君、マシンから降り」
言い終わるのを待たず、凄まじい閃光と共にデイヴの身体は消失した。
「い、行ってしまったか・・・」
デイヴの消えた部屋で老人は一人つぶやき、研究へ戻っていった。
いつか遠い未来で、自身の残した発明品とデイヴが再び出会うことになるかもしれない。
第一章 バック・トゥ・ザ・パスト FIN