3話「改心の何が悪いッ!」
悪いです
字数ガタガタ……
しかも今回かなり苦しいです
……まぁいっか←
4/5 内容修正
「いらっしゃいませ! ご注文は……ぇ」
「え」
それは本当に偶然だった。
なんとなく帰ってから夕食を作るのが億劫だったので適当な料理屋に入った。
量のわりに値段も財布に優しく内装も綺麗、加えて従業員の接客態度も良と中々に良い店だった。
案内された席に座りメニューを決めてウェイトレスを読んだ。
ただそれだけである。
「久しぶり」
「………お久しぶりです」
目の前で何やら現実逃避気味に返す男の名はロウ。
今は亡き魔王軍幹部『怠惰』である。
「さて、お話しよっか」
「……うす」
夕食も済ませた俺は公園のベンチにロウと座っていた。
ロウの終業時間まで待った。
「何かな、あの完璧な接客スマイルは、接客態度は?」
「社会人として当たり前かな……と」
「そうだね。うん、当たり前。………俺は一度も見たことがないがな」
当時のこいつは『怠惰』そのものだった。
作戦会議は平気で眠りこけ、重役出勤は当たり前。
戦闘も自分では動かず防御に突出しているため基本相手が自滅して決着がつく。
そんな奴だった。
それが今はどうだ。
寝癖はキッチリ直し軽く整髪料を使って整えて清潔感を出し、愛想も良く気配りのよくきく職場での人間関係も良好な優良物件と化している。
「言いたいことはあるかな? ないとは言わせない」
「……その節は本当に申し訳なく」
「そういうのいい。理由を言いなさい」
「えっとですね、あの頃の俺って怠惰だったじゃないですか」
「そうだな」
「でも元々俺ってそれほど怠惰でもなかったんですよ。あんなんだったらまず魔王軍に就職すらできなかったですし」
「あー、そうだな」
「あそこまで酷くなったのは下手に成功してつけあがったからなんですよ」
「へー」
「で、まぁ、魔王軍辞めてからもしばらくはそうだったんですよ。まぁ蓄えもあるからしばらく働かなくてもやってけるかなって」
「お? おう」
「それで、かれこれ10年くらい付き合ってる彼女に言われたんです」
「え」
何その新事実。
しかも10年? こいつが今21だから……うわ、幼馴染ってやつか。
リア充爆ぜろと言いたい。
「『お前は金を持ってるだけの穀潰しだ』って」
わぉ、辛辣ぅ。
「『今ある蓄えもいずれ尽きる。ロウのことは好きだけどその先の道連れになるのは勘弁』って。それから俺、頑張りました。生来の怠け癖から現在の見苦しい怠惰まで全部矯正したんです」
「………要するにお前がこうなれたのは」
「愛、ですね!」
「殴 っ て い い ?」
リア充は爆ぜろ。
あの頃の俺の苦労を返せ……。