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朝のにおいと、雨の日と。  作者: 悪之文学
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朝のにおいと、雨の日と。2




ハイビームに神々しく写ったワイシャツ姿にスラックス、そして革靴のオジサン。



目に飛び込んできた光景に固まってしまった。と、同時に車が通り過ぎ。


私は何をしているのか、何に恐怖していたのか一切合切、解らなくなった。




フーッ…フーッ…ハァ…よし…。


カン……。



オジサンの荒い息。一歩、また一歩と橋の手すりに革靴を履いた足が歩んでいく。

フラフラしてる。



私は、自転車から降りて少しずつ橋の手すりで綱渡りのような事をやっている変人のオジサンに歩み寄った。



怒りなのか、馬鹿馬鹿しさからか解らないくらいに冷静だった。


そして、冷静に自転車のベルを鳴らした。




『おわっ…!』




あ…



一瞬、オジサンが振り向き様に目があった時






オジサンは下に落ちた。





バシャンッ!!…――




あ…。

あーー!!!!




死んでないよね?

それだけが頭いっぱいで、自転車を放り投げ橋の下を見た。



ゴバッ…たす…ガハッ…け…




あ、溺れてんじゃん。




私は、橋の終わりまで全速力で漕いで、橋の下に向かった。



オジサンの姿はなかった。



え、ヤバい。

死んだ…?




ガバッ!!!

水面から現れたのはオジサンだった。




きゃっ!



あ、あぁ良かった…生きてた。





『勝手に殺すな』

オジサンは動揺もせず冷静に怒っていた。



『す、すみません』私は、わけがわからないまま謝ってしまった。



『何故、こんな時間まで女子高生がふらついている』



『別に関係ないですよね』


『それもそうだな』


『オジサンは酔っ払いかなにか?』


『ん?私は酒も飲まなければ、タバコもやらない』



『それじゃ、なんで橋の手すりなんかに…』



『んー…、君は学校は楽しいかい?』



『答えになってないんだけど』



『いや答えを出させるための問いだ、どうだね?』



『そりゃ、楽しいよ。部活も充実してるし友達だって』



『家族はどうだ?』



『家族?詳しい話はしたくないけど、一応一般的な普通の家庭かな』



『そうか…』



『や、やっぱり自殺とか…しようとか…してた?』



『いや、違う。君は…友達、学校、家族とは何か考えた事はあるかい。僕は友達、会社、家族をやめた。』


『やめた?』



『これは神様との約束なんだ。幸福への近道。』



『神様なんていないよ?』

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