睦月さん(仮名・男性作家さん)
私は学生時代に少々野球をかじっていまして、ストライクゾーンの選球に苦しんでいた時期に、恩師から『迷ったら振れ』と言われて、随分と楽になった記憶がありますね。
ある日の放課後に、教室へ呼び出された青年睦月は突然女の子から告白をされました。ええ、もうパニックです。
そこで恩師のあの言葉が脳裏をよぎり……迷ったので振ったら後日クラスメイト達から白い目で見られて、それはそれは肩身の狭い思いをですね……。
後日恩師に報告したら大爆笑されましたよ。
恋愛の場合は、『迷ったら振るな、とりあえず食らいつけ』とのお言葉を賜りました。
恩師は中学時代の野球部の顧問なのですが、私は何故か個人的にお寺に座禅を組まされに連れていかれたり、山でタケノコを採りに行ったり……。色々な人生経験を積ませてもらったので、恩師と定義しているのです。
恩師は普段、バントの練習しかさせてくれなくて、公式戦でもどんなにチャンスの場面でもバントしか許されなかったのですが、付き合っている女の子が観戦しにきていると知ると、何故か「ホームランを打ってこい」と言い出した、意味不明な人でしたねえ。
バントばかりしているのに、ホームランとは無茶な要求でしたが、私は頑張りました。常にバントの構えばかりしていたので、バスターに切りかえて、前進守備になっていたライトの後ろに飛ばしてやりました。奇跡的にランニングホームランしましたよ。
見にきてくれていた彼女は、迷ったので振った女の子の次に告白してきた女の子です。恩師の言葉に従って付き合いました。彼女の前で、いいところを見せられてよかったです。