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Once again…  作者: 折原奈津子
最終章
46/48

閑話 修平おとさんに、べたべたする結婚式場の女の人の事 ~SHOUTA~2


 ま、いいんだけど。

結婚式の申し込みには、おとさんもうんざりしてた。

おかさんの機嫌は悪くなるし。


―――原因は、結婚式場の人。


「あー、もう…ここも却下だ」

「うん…僕もその方がいいと思うよ」

「……」

 担当になるという女性スタッフが、資料のファイルを取りに席を立った時の話。

「なんなんだ、あれは…」

「仕事、忘れてるよね」

「……」

「…あの…な、ここはやめるからな?」

「うん、そうだね! おかさん、やめようね?」

「……当り前だわ…」

静かーに怒っているおかさんの顔が、またひきつった。

それは、その女性スタッフが帰ってきたからだ。

「お待たせして、申し訳ありませぇん(ハート)」

 語尾に間違いなくハートマークが付いているかのような、その人の話し方。

漫画とかだったら、おかさんのおでこのとこに、青筋とかいうのが立ってるはず。

「こちらでしたらぁ、小栗様にも気に入っていただけるかと思いますぅ。私の一押しでしてぇ、自分の式ならこうって思ってるんですぅ」

「ずいぶん値の張りそうな、豪華な式ね。でも私達は、もう少しシンプルなものと伝えたはずです。それに、あなた。さっきから主人しか見ないし、主人にしか話さないわね」

「えー、そんなことはないですけどぉ」

「それに、接客業で、その媚を売るような話し方はいかがなんでしょうね。それだけで、こちらの式場にはお世話になりたいとは思えません」

「な…!」

「他のスタッフの方も、こそこそしながら陰でキャーキャー言っているのは見えているんですよ。遠巻きには面白くはないけれど、我慢もします。でも、あなたは違いますよね」

 おかさんが怒り出したのを見て、遠くから覗いていた人達が、焦ってるのが見えた。

その中の一人が、誰かを呼びに走っていく。

多分、一番偉い人を連れてくるんだろうなぁ。

そしたら、すぐに男の人ともう一人、ちょっとおばさんな人が急いでやってきた。

「失礼いたします。申し訳ありません、うちの者がなにか問題でもございましたでしょうか」

「何分にも新人でございますので、指導が行き届いていなかったのかと…ご容赦いただけませんでしょうか」

「問題があったか? 新人だから? フロアに出すからには、そんな甘えた事でいいんですか? そもそも、この方。主人にしか目も向けず、話もせず、私達の希望も無視していらっしゃる。

なんとかなんですぅ…思いますぅ…言葉尻にハートマークをくっつけて話して、持っていらしたプランは『自分の式ならこう』…それが私達に関係あります?」

「も、申し訳ございませんっ!」

「それから…遠巻きではありましたけど、他の女性スタッフの方々も陰でキャーキャー言ったりと、非常に不愉快でした。」

「…私達は既に籍も入っている夫婦ですし、子供もいる。記念にシンプルな式がしたかっただけなんです。妻が気に入らない式場やプランは使う気にはなりません」

「かさねがさね、申し訳ございません! きつく申し渡しますので…」

「そうしてください。でも、こちらとはご縁がなかったという事で…帰ろうか、綾子、翔太」

「ええ」

「うん、帰ろう!」

 ここは4ヶ所のうち、2つめに話を聞いたところ。

ここが一番ひどかったんだよね。

でも、次に話を聞きに行ったところは、あの変な…おとさんにベタベタする人はいなかったし。

小さい教会と、広い庭でパーティーも出来るんだって!

だから、おかさんも、おとさんも、もちろん僕も気に入ったんだ。

すぐに申し込んで、ドレスももちろん僕とおとさんで選んだんだ。

「おかさんには、絶対これだよ!!」

「紫かよ!」

「ラベンダーって言うんだよ! 知らないの?」

「悪かったな! 知らなくて!」

「…煩いし…」

「じゃあ、翔太がそっちのパーティードレスなら、ウエディングドレスはこっちな?」

「…背中開きすぎ…」

「おとさん、エロい!!」

「うっせー!」

「いや、修平が煩い…」

 でもおかさんは、きっと僕たちの選んだドレスにしてくれる。

それで、本当に僕たちが家族になったんだって、周りの人にも分かってもらえるような思い出に残る式になる。

うん、きっと…。




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