閑話 修平おとさんに、べたべたする結婚式場の女の人の事 ~SHOUTA~
やっと、おかさんが納得して、修平おとさんと結婚式をやるって決めたんだよね。
実はおとさんが買ってきた本を見ながら、僕はおとさんと式場選びっていうのをやってたんだけど。
…僕も大人になったら、こんな経験をまたするんだろうな。
ちょっとだけ、面倒だなって思った。
そんな事言ったら、怒られちゃうかもだけどさ。
っていうか、修平おとさんのこだわりがね…凄かったんだよ。
いいなって思ったところには、なんていうんだろう…紙をペタッてつけてて。
そこには必ず電話で、色々聞いたりとか。
えーと、金額でしょ? それと、料理。
あと、キャパシティーって何? そんな事も聞いてたけど。
おかさんは、やりたくないって言い張ってた。
でも、その理由が、僕のおとさんだった。
ドレスじゃなくって着物で、すっごく大人数だったから、すっごく疲れたんだって。
着物も重かったし、全部おじいちゃんとおばあちゃんに決められちゃったんだって。
だから、おかさんは『写真でもいいじゃない』なんて言って、逃げ切ろうとしてたみたい。
でも、修平おとさんが、逃がすわけないよねー。
だから、結局…やる事になったけどさ。
新婚旅行は、僕も連れて行ってくれるって!!
だから友達が言ってたグアムか台湾がいいって言ったんだ。
そしたら、そうしようって言ってもらえた!
やったー、僕初めての旅行だよ!
おかさんと二人だと、あんまり遠くには行けないから、1泊で海とか温泉とかだったもん。
一度海外旅行に行ってみたかったんだよ!
修平おとさんのお陰で、叶ったよ! よかったー!!
どうせなら、海でいっぱい遊びたい!
どんな遊びが出来るのか、僕は知りたくて。
「修平おとさん、タブレット貸して?」
「…何に使うんだ?」
「グアムに行ったら、どんな事で遊べるのかなって調べたかったんだ」
「…ほら」
修平おとさんのバッグから、おとさんは小さいバッグを取り出した。
それをそのまま、僕に渡してくれた。
「ありがとう!」
「使い方、分かるか?」
「大丈夫だと思うけど…」
「見ててやるから、やってみろ?」
「うん!」
教えてもらいながらだったけど、右手の人差し指だけでだったけど、僕は一生懸命調べたんだ。
どこだったら、おかさんも一緒に楽しめるかなって、いっぱい考えた。
「おとさん、僕ここに行ってみたい。ここならおかさんも楽しいんじゃない?」
「ん? ココス島か。おかさん、好きそうだな」
「なんで?」
「おかさん、イルカ好きだろ?」
「見れるの? 見たい!」
「運がよかったらな」
そっか、運がよかったら見られるんだ!
じゃあ、やっぱり、ここは行かなくっちゃ!
僕はおとさんと二人、にんまりと笑った.
だってこれは、おかさんには内緒の遊び場だから。
運がよければ、おかさんの好きなイルカも見れる。
でも僕は、シュノーケリングっていうのがやってみたいんだけどね。
ダイビングは、僕はまだだめなんだって。
ほんとはそっちがよかったんだけど、僕の年じゃ出来ないんだって。
つまんないの。
その後は、どこに何を食べに行くかとか、おとさんがいっぱい調べてくれた。
「僕、ステーキ!」
「…ステーキなんか、こっちでも食えるじゃねーかよ…」
「…アメリカのステーキ!」
「結局のところ、肉だろ?」
「…そうとも言うかも…」
だって写真見たらおいしそうなんだもん。
…でっかそうだけどさ。
多分おかさんと、半分ずつ…だね。
ま、いっか!




