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Once again…  作者: 折原奈津子
最終章
43/48

やっと6ヶ月…



 やっと…本当にやっとの事で半年が過ぎた。

お互いの身内への挨拶は済ませ、あとは入籍だけって考えていた時。

思いもよらなかった事を修平が言い出した。

「え? 今、なんて言ったの?」

「だから、やるぞ。結婚式」

「なんで?」

「俺が綾子のドレス姿を見たいから」

「ドレス姿なら…写真でもいいじゃない」

「だめ。絶対、やるから」

「いやよ」

「なんで?」

「この年になって…私は再婚だし…」

「じゃあ、尚更やるぞ。俺、初婚だから」

「…やだって言ってるのに…」

 散々渋って見せても、修平は頑として譲らない。

「そんなに…頑なにならなくてもいいんじゃない?」

「…綾子、前は式をしたんだろ?」

「え? ええ、まあ…神前式だったけど」

「ドレス、着たくなかった?」

「え?」


 実は…藤森の実家の意向で、前回は神前式にしていた。

正直、着物なんて苦手で、それなのに内掛けなんて気が重かったのは事実だ。

それは…隆弘も気が付いていたけれど、どうにも出来ずに和装で式を行ったんだ…。

「…彼に…藤森に…何か聞いたのね?」

「ああ、まあ…ちょっとだけ。出来ればドレスを着せてやってくれって」

「余計な事を…」

「でもな。前の式に来た人とかは別としてさ、両親とTAJIMAの仲間にだけは披露した方がいいぞ?」

「……」

 結局、押し切られる形で、式をする事を了承する事になった。

でも、絶対に、大掛かりなものはやめて欲しいと頼み込んだ。

「なんでそんなに嫌がるんだよ」

「修平…」

「俺との結婚がいやみたいに聞こえるぞ?」

「そうじゃないのよ…ただ…」

「ただ?」

「…大掛かりなものだと…疲れるのよ!!」

「…は?」

「前は神前式だったわ。でも披露宴の間も、ずっと和装だった。結構な人数が来たし、藤森の実家の意向で、大きな式だった。気疲れも凄かったし…重いし…散々な思いをしたのよ!!」

「…大掛かりなものじゃなきゃ…いいか?」

「ええ…修平もご両親には見せたいでしょうし…自分の晴れ姿くらいは…」

「いや、俺が見せびらかしたいのはお前だけど」

「……」

 そう言うと、普通だったら女性が嬉々として購入するだろう結婚情報誌を、私の目の前に取り出した。


「旅行は、翔太も連れてくからな? 翔太、どこがいいか考えておけよ?」

 黙って話を聞いていた翔太にも話を振っている。

「え? 僕も行っていいの?」

「当たり前だ。お前がいなきゃ、綾子だって楽しくないぞ?」

「や…ったーーーーー!! 僕ね、グアムか台湾がいい!!」

「グアムか台湾? 翔太、ずいぶんリアルな意見ね…」

「僕のクラスの子がね行った事があって、また行きたいって言ってたんだー」

「ふーん…そうなの」

「そうか、じゃあどっちかにしようか」

「やったー!!」

 式はこじんまりとする事にして、いくつか式場も候補を立てた。

問い合わせをして、割と早めに式を挙げられるホテルや式場を更にピックアップし、説明を受ける事にする。

よく見ると、情報誌にはいくつも付箋が貼られている。

しばらく前から色々陰で暗躍していた気配がする。

何しろ聞いていたのが、3ヶ月前後で式を挙げられる場所だったから。

そんなにも…そう思ったら、もう反対する気なんて起こらなかった。

「式が決定したら旅行も申し込むから、早めにパスポートを作りたい」

「パスポート?」

「ああ。綾子にも翔太にも、小栗の名前で一緒に行きたいと思ってるんだ」 

 …そう言って修平が取り出したのは婚姻届だった。

既に修平の書き込むべき半分と、私の署名以外の箇所はすべて埋められている。

保証人欄にも、大木部長と…藤森の名前。

「部長はともかく…藤森がなんで?」

「そうしたいって言ってくれたんだ…。それと、仲人も大木部長に頼んだから」

「何で? 部署も今は違うのに…」

「色々助けてくれたのは、あの人だろう? だからだよ」

「…うん…そうね…」

 そばに置いてあったバッグから筆記具と印鑑を取り出すと、私は小栗の名前を背負う為の署名をした。








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