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Once again…  作者: 折原奈津子
第3章
36/48

罪と罰

話の流れ、R指定を含めあまり重い話にはしたくなかったので、刑法に関してはあっさりと書くだけに留めました。

多分、甘いとおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。

でも、R指定のことも考えると、これ以上深く書くと掲載場所を変更する必要があると思います。

そのあたりも、考慮していただけるとありがたいです。



「綾子さんにも、翔太君にも…本当に申し訳ないことばかりしてしまって…。どうお詫びすればいいか判らないくらいです…」

「…済んだ事よ…私も翔太も、もうちゃんと前を向いて歩いているから」

「先日、聴取に来られた刑事さんに聞きました…。結婚されるとか…」

「ええ。まだ半年経っていないから、先の事よ」

「おめでとうございます…」

「ありがとう」

 そこまで話した後、俯いて言葉を発せずにいる。

「和花の事ですけど…お邪魔でしょうから…乳児院に預けていただいてもいいですか?」

「…何故? 私に預けたかったんでしょう?」

「そうなんですけど…私は直ぐに迎えにはいけないかもしれないので」

「…隆弘の事?」

「いえ、和花を置き去りにした事で、裁判を受けるんです」

「え?」

「保護責任者遺棄にあたるそうで…3ヶ月から5年は…」

「でも今回のような件もあるし、執行猶予だって…」

「そうかもしれませんが…翔太君の時の事もありますし期待は出来ませんから」

 乳幼児を置き去りにした事は、生存に必要な保護をしなかったとみなされ、罰を与えられる。

ただ今回は…隆弘が襲われて意識不明になっている事もある。

両家の親からは見離されている以上…彼女は私を頼る以外に手立てがなかったと思われる。

でも既に引っ越してしまっていた私達が、どこにいるかも分からなかった。

藁をも掴む思いで、あの部屋の前に置いていき、管理人さんか住人の誰かが見つけてくれることを祈っていたんだろう。

そして、こうして私の元に預けられ、命が助かったのだと知って…覚悟を決めたのかもしれない。




 その日、帰宅してきた修平に今日の話をした。

「…保護責任者遺棄?」

「ええ…老人、幼児、それから身体障害者または病者を保護する責任のある人間が、これらの者を遺棄し、生存に必要な保護をしなかったとみなされた場合は…刑に服することがあるみたい…」

「…執行猶予は?」

「実際にはこんな状況ですもの、ないとは言えないと思うの。でも里美さんは…」

「彼女は?」

「…翔太の時の事もあって、諦めてしまっているみたい」

「そう…」

「隆弘のね、側にもいたいんだと思うのよ。こんなに苦しんだのにね。そう考えたら、私と隆弘の仲は…そこまで執着するようなものじゃなかったんだなあって」

「…」

「私って冷たいわよね…あんな思いをしたっていうのに、それでも執着すらしていないなんて」

「吹っ切れたって事じゃないのか?」

「そうかもしれないけど…どうなのかしらね」


 

 それから半月程度経った頃、里美さんの裁判が行われた。

裁判の間は収監され、隆弘の様子は私が見ていく事になった。

彼女が今後どうなるのかを見届けたいとも思ったからだ。

和花も引き続き、私と修平で世話をしている。

乳児院にと里美さんには言われたが、引き続き我が家で面倒を見ることにした。

それは、意識不明状態から脱しつつある隆弘の様子を見て決めた。


 隆弘を襲った犯人と、襲撃を示唆した女性は、現在は逃亡中らしく警察が追っているらしい。

里美さんのためにも、和花のためにも…早く捕まって欲しい。

そして、和花のために、里美さんには情状酌量による執行猶予がつくことを願った。

でも…彼女には翔太を襲ったことがある。

それを踏まえて、少しでも軽く済んでくれたら…そう思わずにはいられなかった。




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