表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Once again…  作者: 折原奈津子
第3章
35/48

和久弁護士の来訪

今回は、会話がメインになります。

隆弘と里美の近況が判明するのですw



その日、報告書を携えて和久弁護士がやってきたのは、19時を過ぎた頃だった。

夕飯の準備をしながら、電話を受けた。

『誉田里美さんと、藤森隆弘さんの状況が分かりましたので、これから報告に伺いたいのですが』

 そう言って、19時過ぎにやってくることになったのだけれど。

話を聞いて、置き去りにされた子供が、可哀想で仕方なかった。


「お二人とも生きてはおいででした。しかし…」

「しかし…なんでしょうか…」

「藤森さんが事故にあったようで、現在意識不明のままだそうです…」

「…意識不明? どういう事なんですか?」

「出産直前に事故にあわれたそうです。事故は藤森さんを狙った可能性が高いらしいので、警察も捜査をしているようですが…まだ…」

「そうですか…彼を狙うのであれば、怨恨と言うことでしょう? じゃあ、私のところにもそのうちいらっしゃるんでしょうね、警察が」

「そうなるかもしれません。彼の事を分かっているのは、蓮見さんと…誉田里美さんの二人しかいらっしゃらない」

「修平…」

「ん…」

「巻き込んで…ごめん…。こんな面倒なことに」

「覚悟してるよ。ところで、藤森さんが意識不明なのは分かりましたが、誉田里美は…」

「藤森さんと復縁をしたことで、実家からは縁を切られたようで」

「は?」

「それもあって、藤森さんに付き添うために…お子さんをあなた方に預けようとされたようです」

「二人のいる病院は?」

「…修平?」

「藤森さんは話せる状況じゃないでしょうが、誉田里美さんには話が聞けるはずだ」

「でも…」

「子供を預かるのはいい。でも、せめて正式な名前くらいは知りたい。便宜上の名前は付けたけれど、それが違うなら…」

「そうね…このままだと、里ちゃんは本当の母親も父親も認識しなくなってしまうわね」

「ああ」

「…新宿区にあるH総合病院です」

「…H総合病院?」

「はい、なにか?」

「翔太が産まれた病院です…」

「え? そうなのか?」

「そうよ、間違いないわ」

 その頃暮らしていたのが新宿区内で、自宅からも通院がしやすかった。

何かあっても、別の科が連携して診てくれる安心感もあり、そこを選んでいた。

確か今でも、その頃にお世話になった先生がいるはずだ。

私は翌日、一度出勤をし、上司の許可を得て早退をした。

その足で、H総合病院を訪ねる予定だったからだった。


電車とバスを乗り継いで、何年か振りにH総合病院の門をくぐった。

「あいかわらず、どこに何があるのかわかんない病院ね…」

 広大な敷地に、巨大な病院。

しかも担当の科によって、建物が別棟になったりもする。

今回、私が向かうのは外科病棟。

だから別棟には用はないけれど。

総合カウンターで確認をし、私は外科病棟のナースステーションに立ち寄った。

そして、そこにいた見覚えのある看護士に声をかけた。

「あの、藤森隆弘の病室はどこですか?」

「お見舞いですか? 申し訳ありませんが、面会はご遠慮いただいて…あら?」

「…覚えてらっしゃいました? 藤森の元妻です」

「ええ、覚えてるわ! お久しぶりね、あの時の赤ちゃん…元気?」

「はい、もう小学生です」

「へえ、早いわね。もうそんなに大きくなったのね…」

「いつからこちらに?」

「去年からよ」

「そうでしたか…」

「ああ、藤森さんね…。今、意識がないから…面会は出来ないのよ」

「ええ、知ってます。私が用があるのは隆弘ではないんです」

「…付き添っている方ね?」

「ええ…」

「分かったわ。左に6つ目の部屋よ」

「ありがとうございます…」


 教えられた部屋の前に立ち、名前を確認する。

間違いのない事を再度確認すると、ドアをノックした。

「…はい…」

 聞こえた声にドアを開け、中を覗きこむ。

そこにいたのは、やつれてやせ細ってしまった誉田里美と思われる女性。

「…あなた…どうして…」

「誉田さんに聞きたいことがあって来ました…」

「…そうですか…」

「その前に、隆弘はどうしてこんなことに?」

「…襲われたんです…多分、私のところから出て行った時に一緒にいた女性の雇った人に」

「そう…」

「そう…」

「それと…ごめんなさい。他に頼れる人がいなかったんです…」

「赤ちゃんね…。やっぱりあなたの子だったのね。名前は?」

「…まだ証明書を出してなくて…名前も…」

「代理で証明書を出してあげる。名前があれば、医療補助だって受けられるのよ? それに、まだあなた達は入籍していないんでしょう? 片親申請もしておいたほうがいいわ」

「でも…」

「それとも、隆弘の意識が戻っても戻らなくても、あの子を引き取りに来る気はなかったの?」

「いいえ! 必ず迎えに行きます!」

「じゃあ、名前を決めてあげて。必要な書類は準備して手配してあげる…」

「…すみません…」

「…私達が離婚したのは、確かにあなたが原因だわ。でもね、だからって手助けしないって言うと思う?」

「…ありがとうございます…」

「それでいいのよ」

 我が家で預かることになった彼らの娘はこの日、和花のどかと名づけられた。








書いて置けばよかったですね。


今回は会話メインなので、本来なら織り込むことが必須だったであろう刑法や、産後の身体のこととか…はしょってます。


次回以降、そうした暗い内容を織り込んだ内容になるかと思います。


ただ、1回でUPしきれないので、多分数度にわけると思われます。


リアルが繁忙期で残業の毎日、労働基準法すれすれになる気配濃厚なほどに多忙な折原です。


毎日は書いていられませーん!!


すみません、ご理解ください!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ