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Once again…  作者: 折原奈津子
第2章
20/48

攻防の始まり

明日とか言っておいて、書きあがったのでUPですw




 松田有紀子が正式に解雇され、同僚に対しての名誉毀損や業務妨害でTAJIMA側から訴えられたのは、それから約1週間後のこと。

利用されて伝票改竄を行った仙道一美せんどう かずみは、同じく解雇処分を受けた。

ただし、仙道一美には反省している様子も見受けられることから、解雇処分のみとなった。

それを聞いたときの松田有紀子は、物凄い目で仙道を睨んだと聞いた。

その処分を通告するために呼び出された時、その場に小栗さんがいた事にだけ少し動揺が見られたらしい。

けれど、縋る様に小栗さんを見ても、冷たく見返されるだけだったようで。

「当たりまえっちゃ、当たり前なのだよ」

 斎須さんが、ぼそっと口にした。

私も被害を受けた側だけれど、この所立て続けに起きた嫌がらせのお陰で業務が滞っていた。

そのため、通常業務についていた。

「何がですか?」

 必死にキーボードを叩いて、モニターに目を向けたまま問いかける。

「ん? ああ、松田と仙道の処分だよ。松田は何とか小栗に助けてもらおうと目論んだみたいだけどな。無理だろう?」

「そうなんですかねぇ…」

「ふーじーもーりー…。お前なぁ…それ、ワザとなのか?」

「は?」

「…小栗の気持ちは判ってるだろ?」

「…それは…判ってますけど…」

「じゃあワザとか…」

「違います!」

「もうご主人とはきっぱり縁を切ったんだし、考えてやってもいいんじゃないか?」

「半年たたないと、再婚すら出来ませんよ?」

「そりゃ常識的にはそうだけどさ。でも付き合ってやるくらいはいいんじゃないの?」

「…離婚成立してすぐだと、それが狙いだったのかって言われますよ。って言うか、もうこりごりなんですよ」

「あのなぁ、私だってバツイチだけど、それでもいいって言ってくれる人はいるんだぞ?」

「ああ、例の仙台のイケメン営業さんでしたよね。えーと、山内さんでしたっけ」

「そう。山内さんはバツイチでも、こんなオトコっぽい女でもいいって言ってくれてる。小栗だって、ずっと待ってたって言ってたでしょうが」

「判ってはいるんですけど…」

 信じるのが怖い。

信じて、また裏切られたらと考えると踏み出せない。

だからどうしたらいいのか判らなくて、動きが取れないでいる。

ある意味で、トラウマになってしまっているのかもしれない。

隆弘とは一応見合いとはいえ、恋愛結婚だった。

翔太が産まれて、暫くの間は何事もなく幸せだった。

それなのに裏切られて、結局離婚することになった。

小栗さんともそうなったら?

そう考えたら、自分から踏み出すのは困難に思う。




「藤森! 飯行こう!」

 最近休憩になると、営業に行っていない限り誘いに来る男がいる。

「…またですか? そんなに毎日のように外食なんか出来ません!」

「じゃ、奢るから行こう」

「いやです。今日はお弁当ですから」

「藤森、それ私に…」

「斎須さん!」

「斎須さんもこう言ってるんだから、行こうか藤森」

「だからいやですってば!」

 意気揚々と私の手を引いて、連れ出そうとする小栗さん。

そして、嬉々として私のランチボックスに手を出す斎須さんが、強引に連れ出される私の目の端に映った。


「毎回毎回、外食してたらお金ももったいないし。何より太ります」

「じゃ、俺のも弁当作ってよ」

「いやです」

「食費入れるからさー」

「カレカノでもないのに、お断りです」

「じゃ、彼女になればいいだろ?」

「なんで?」

「なんでって返してくるのか?」

「離婚成立したてだし、そういった事は考えたくないもので…って言えばいい?」

「離婚成立したからいいんじゃないかよ」

「したばっかりでそんな事になれば、逆にモラルを疑われるわ」

「なんだよ、俺にまだ我慢しろって?」

「じゃ、他に彼女をお探しになったらいかがですか?」

「無理。綾子じゃなきゃ、無理」

「…一生待ってると、腐りますよ?」

 毎日同じ言い合いをして、懲りないのかなってちょっと呆れるけれど。

また変な嫌がらせに遭いたくないので、なんとなく自分を律するためにも必要になっていた。





 





 


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