寂
寂
日本は日没後、女性が一人でも出歩ける程、世界でも珍しい安全な国だ。海外では昼間でも危険地帯がある。道路一本違うだけで危険度が違う。「ここから先は危険」なんていう標識はない。ガイドブックとにらめっこしながら歩かなければならない。日没後になれば、薄暗いストリートはもう歩けない。街の中心地の明るいメインストリートしか歩けない。滞在ホテルがメインストリート沿いにあればいいが、離れている場合は日没後の移動はタクシー等の徒歩以外になる。地下鉄はいつ来るか分からないし、利用中に危険な目に合う可能性が高い。
旅行者はスタンプラリーの様に昼間は観光地を少しでも多く巡ろうとする。時間の限られた旅行者にとっては当然の行動だ。日本では訪日外国人家族が夕食後に遊びに行く所がほぼない。夕食後の20時以降は飲みに行く場所しかない。バー、スナック、居酒屋等、飲みに行く場所は沢山ある。各繁華街にxx通り、xx横丁等があり、新宿のゴールデン街は知名度が高い。飲める人は飲みに行って日本人と交流して楽しむことが出来る。しかし家族連れはそうはいかない。夕食後は外に出る目的がない。劇場やコンサートの予約でもあればいいが無い場合は、ゲームセンターやカプセルトイコーナー、日常品の格安量販店くらいしか行く所がない。日本の博物館や動物園等の閉館時刻は日没だ。海外では22時まで開いている。これは大きな違いだ。文化に触れる場所に行けない。昼間は観光地を見て食べて体験して楽しく遊ぶ方がいい。当たり前の事だ。こういった場所へ昼間に行く人は、2回目の訪日客か元々日本文化に興味がある人だけだ。
せっかく地球を半分も廻って日本を訪れたのにもったいない。夕食後の持て余した時間に日本を知ってもらおう。博物館や動物園等の公共施設の閉館時刻を22時まで伸ばして足を運んでもらおう。家族連れがゆっくり学べる。施設で働く人の勤務時間が長くなるならシフト制にすればいい。人員が足りなければアルバイトを雇えばいい。雇用の問題にも多少貢献する。週に3日だけ22時閉館営業にする等、対策はいくつでも考えられる。人気のある施設なら可能だと思う。何年か前に観光立国としてナイトタイムエコノミーの政策があったが、現状は何も変わっていない。なぜだろう。会議の記録だけ残して「検討しました」と言う事実だけ残して終わったのだろうか。訪日外国人が4000万人を超えた今こそ、現実化する時が来たのではないだろうか。ついでに言えば、ゲームセンター等は0時に閉店する。昭和のゲームセンターは薄暗く不良のたまり場だった。だから風営法で0時閉店になった。今のゲームセンター等は明るく清潔だ。電車の始発時間まで開いていても問題ないような気がする。0時前まで日本人や時差ぼけ対策の訪日外国人でにぎわっている。都会では人も設備もある。始発時間まで延長するのに必要なのは法律を変える事だけだ。
日本の代表的な観光地の京都等では、訪日観光客が増えすぎて住民の生活に影響が出ている。訪日客のマナーの悪さや公共交通機関を占領されて住民の移動に使えない等の弊害が出ている。日本人と訪日客との二重価格の導入、利用分け、地域分け等の対策は出来ないのだろうか。原宿は完全に観光地になった。戦後のアメリカ文化の発信地から、竹の子族などの若者文化、タレントショップ、可愛い系のコスプレと時代と共に変化を繰り返して情報発信して来た。今では巨大な綿菓子やスクリュー状になったポテト等の変わり種お菓子、動物カフェ等も加わった。原宿から何かを発信する文化から、原宿で遊ぶと言う受け身型に変わってしまった。街の生き残り方として何も問題はない。原宿と言う特徴の質が変わるのは時代の流れだ。kawaiiと言う言葉と文化は世界に通用するようになった。人気は非常にあるが原宿らしさが無くなった。店舗等はマネする事が出来るが、街から何かを発信する文化はマネをする事は出来ない。なんか寂しい。寂しいついでにもう一つ。ハチ公像の足がピカピカに光り輝いている。渋谷のハチ公像は待ち合わせ場所の定番だ。ハチ公像前広場はいつも人で一杯だ。携帯電話のない時代では、ハチ公像から見て前後左右のどの方向にいて何色の服を着ている。ここまで細かく言わないと、土日はごった返して10mも離れると人並みに埋もれ見つけるのに苦労した。ハチ公像から少し離れたモアイ像は隠れた待ち合わせ場所だが、今は離れた場所に移動し本体も隠れ気味だ。携帯電話が普及して待ち合わせは駅名だけで良くなった。駅に着いたら連絡して出会う。ハチ公像の周りで待つ事は無くなった。訪日外国人が多くなり、ハチ公像の周りでは記念写真に写り込まぬように、逆に離れるようになった。そして気がついたらハチ公像の足がピカピカ。待ち合わせの時は銅像に触ろうとする感覚はなかった。ハチ公物語が映画になり世界が知る事になり、観光客が足を触るようになった。元のさびたグレーの方が好きだ。太陽の下で足首がピカピカに光り輝く銅像には違和感がある。ネットでは、スクランブル交差点でこんなに人がいるのに誰ともぶつからないと、主張する撮影動画があふれている。携帯電話やカメラを高くあげ何往復もする訪日観光客が沢山いる。交差点の中を飛んで踊って走り回る観光客が増えた。ハチ公像の光る足首、人混みの中で踊る観光客。どちらも大した事ではない。もう日常の光景だ。笑顔が沢山ある街でいいのだが・・・、巨大迷路のようなカオスな街並みの渋谷駅周辺が100年に一度の再開発による大改造で整備され利便性が良くののはいいのだが・・・。なんだろう、この気持ち。
昨日より素敵な明日に出来ますように




