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アニメ・ゲーム哲学

ガンダム哲学 種アンチが抱いた疑問 メカニック編

作者: 忠柚木烈
掲載日:2026/07/03

 種を見ていて思った。

 色んな不思議の列挙。


 今回は空想科学読本的なエンタメとして、楽しみやすいかもしれない。




●ビーム:設定の不思議

 種のビームは純粋な荷電粒子砲だ。


 粒子という極小のものでも、高速でぶつけてやれば。

 光速に近づけば近づく程、質量は無限大に近くなる。

 そういう理屈で粒子を亜光速で叩きつける、質量兵器の究極系だ。

 しかし幾つか不思議がある。


 1つは、設定の不安定さ。


 装甲・防御技術の各設定が、ビームと合ってない。

 詳しくはこの後、個々に指摘するがともかく。

 その時々のプランナー間で、意思疎通できてない様に見える。

 演出に無理を言われて、後出しでおかしくなっているのも、あるかもしれないが。


 1つは、直進する理由。


 粒子同士が反発し合うので、飛んでいく途中で拡散してしまう。

 それどころか、地上なら酸素、宇宙なら水素がある為。

 発射直後に銃口から飛び出た瞬間、それらと反応してしまう。

※宇宙イコール真空ではない


 ビームならブルーミング、という現象が起こり。

 その場で雷の様な、放電を起こして散る。


 陽電子砲に至っては、対消滅が起きるのでもっと酷い。

 核以上の光の爆発を起こし、全てを消し去る。


 更にトドメとして両方とも反応時に、放射線を撒き散らす。

 とにかく引き金を引いたら、問答無用で自分が死ぬ。




●ビーム:こだわる不思議

 ビームを無事発射するには、射線上を真空状態にする必要がある。


 現実的な提案として、レーザーで射線を確保。

 軌道上に存在する、酸素・水素・塵の類を蒸発させて。

 満を持してビームを発射!

 ……をやる位なら、最初からレーザーだけ使った方が早い。


 何せ荷電粒子砲を撃つには、テラワット級という電力が必須だが。

 その出力でレーザーを撃てば、防御手段や障害ごと。

 射線上のあらゆるものを、完璧に蒸発させられる。


 いちいち準備がいる、ビームと違って。

 全エネルギーを攻撃に回せるので、効率も遥かにいい。




●ビーム:反物質兵器の不思議

 種のラストで、母艦を守る為にMSが盾になる感動のシーン。

 反物質兵器の前に割り込んで、身代わりとなったが。

 反物質兵器が命中すると、何が起こるのか改めて考えてみよう。


 まず割り込んだストライクの重量が約65t。


 ……エールストライクパック付けてたから+約20tとか。

 直前の戦闘で、片腕がもげてたとか。

 リマスターでは、胴体が残ってたとか。

 それらは大まかな結果にあまり差がないので、今回は無視する。


 よりニアに計算したければ。

 人体の質量比とかを使って、ご自由にどうぞ。


 アインシュタイン方程式曰く。

 エネルギー=質量(kg)✕光速(約30万km)^2


 計算で使う質量は、ストライク本体だけではない。

 対消滅する反物質が同量存在するので、質量✕2となる。


 ただし対消滅するのはその内の電子だけ。

 電子が占めるのは0.025%程度の約16.25kg。


 質量:16.25kg×2=32.5kg

 光速:300000km^2=(3×10^8)^2=9×10^16


 32.5kg×9×10^16=2.925×10^18J


 全く見慣れない単位になったが、これはどれ程の威力なのか。


 なんと約700メガトン。

 TNT換算で約7億トン。

 広島型原爆約46400発分。


 アークエンジェルもドミニオンも、その場でお陀仏確実。南無。


 もし発射された陽電子が、僅か1gと凄くケチ臭かったとしても。

 TNT換算で約43キロトン、広島型原爆約3発分。

 数kmを覆う光になってやっぱり壊滅。


 というか、そもそも劇中で、陽電子砲が着弾しても。

 ドロドロと溶解させただけで、光の爆発になるのを見た覚えがない。

 直撃したパイロットも生きてたし。


 ……ファッション陽電子砲?




●ビーム:射撃精度の不思議

 弾速が亜光速な以上、狙いが正確なら必中の筈だ。


 ビームとしては遅い、光速の10%としても秒速3万km。

 敵機動兵器がパイロットの負荷ギリギリで、回避運動をとっても。

 1.6万kmまでは、必中圏内にできる弾速だ。

 ちなみに地球の直径より広い。


 こんな凄い兵器の割に。

 劇中では簡単に外れる。


 種死のシャトル狙撃が分かりやすいが。

 大気圏外へ向かうシャトルに。

 地上から狙撃して外している。


 シャトルは回避運動なんて取らない。

 直線運動しかしてない、第1宇宙速度(秒速7.9km)程度。

 ビームの弾速なら、予測射撃すら必要ない(数千km程度なら0.1秒で着弾)。

 ド真ん中を狙えば当たる(着弾までの間に1mも進まない為)。


 ニュートロンジャマーがいくらあろうと。

 光学と熱のセンサーは無効化できないので。

 ロックオンは十分可能だった筈。


 ……ファッション亜光速?

 ……ファッションセンサー技術?




●防御:PS系装甲の不思議

 通電すると強度が変化する装甲だ。


 劇中、通電中の筈のブリッツが、抵抗なく両断された事から。

 無効化できる範囲に、電力量に応じた上限があり。

 超過した攻撃には耐えられない……と思われる。


 場面毎に描写が一定してないので、正直判断が付かないが。

 まぁとにかく、完全に無敵ではない訳だ。

 ビームには無意味ではないが、まず防げないぐらいの防御効果の模様。


 何より問題なのは、常時電力を消費する為、数十分程度という稼働時間。

 なんでそんな欠陥品を、採用してしまったのか。


 艦載機最大の利点は、母艦から離れて目標を攻撃できる事だ。

 それが稼働時間が減れば、母艦も前に立つ必要が出る。

 結果、母艦を落とせば、採用機も結局無効化される。


 そもそも対応方法が明らかだ。

 相手は縦深防御を行い、陣地に引き込むだけでいい。

 それだけで採用機は、深追いして停止するか、その場で遊兵化するしかなくなる。


 単機が短時間無敵なだけでは、まるで意味がない。

 防空目的にしか採用できない事になる。


 というか改良型のTPS装甲とか、VPS装甲を開発するまで。

 概念実証機での検証で、十分だった筈。

 何故いきなり、5機の試作機に搭載したのか。


 なおただ硬いだけなので、衝撃は吸収できない。


 現実の戦車の主砲の一歩先の想定で。

 秒速2km、重さ10kgの実体弾が直撃したなら。

 10kg×2km=20MJ


 これは20tトラックが、時速160kmで正面衝突した衝撃に等しい。

 いくらガワが無事でも、内部構造はひとたまりもない。

 

 しかもコクピット内には、チッピング現象で超音速の衝撃波が発生。

 大音響が鳴り響き、気圧変化で鼓膜は破れ、肺胞が出血。

 まぁ衝撃波と関係なく、パイロットは内臓破裂と脳挫傷で即死しているが。


 ……やっぱりこの装甲、無駄なのでは?




●防御:ラミネート装甲の不思議

 その理屈は単純で、単なる巨大ヒートシンクだ。

 熱伝導率の高い金属フレームで、熱を逃し外部へ排出する。

 戦艦用の対ビーム防御技術だ。


 ……なんでそれが対策になるのか。


 だから、ビームは質量兵器だってば。

 受けた瞬間、フレームを粉砕貫通されて終わる。


 というか。

 恐らく勘違いしたであろう。

 レーザー兵器だった場合でも、防御が成り立たない


 一瞬で装甲を蒸発させる様な熱量だと。

 普通なら熱伝導が間に合わなくて、被弾箇所が蒸発する。


 というか逆に、設定通りに熱伝導し切ったら、より悲惨な結果になる。

 全体に伝導した熱で、フレームが膨張し、内部構造を押し潰し。

 艦内全域が数千度に達し燃え尽きる、灼熱の地獄と化す。


 そうならない以上は余程強力な、排熱システムがあるんだろう。

 ……なら何の為に、こんな構造にしたのか。




●防御:陽電子リフレクター

 陽電子をスクリーン状に展開。

 その強力な磁場でビームの電荷を反発・偏向する。


 ……この原理ならやっぱりビームは。

 荷電粒子砲じゃないと、説明付かないよな。


 まぁそれは置いておいて。

 何が起こるかは、上述したのでお分かりだろう。


 展開と同時に、周囲の酸素・水素と対消滅。

 光のハレーションに包まれて消え去る。


 なんで陽電子砲を、反物質兵器と扱っておいて。

 防御に転用しよう、なんて思ったんだ。


 しかも防御膜を形成する為に、機体から離れた位置に。

 突然陽電子を登場させる以上、真空空間の事前確保すらできない。


 ……というかこの陽電子、どこから現れたんだ。

 ワープしたみたいに、陽電子を登場させられるなら。


 機動戦艦ナデシコの、ボソン爆弾みたいに。

 敵構造体内部に、いきなり爆発を起こせる事になる。

 なんで攻撃に利用しなかったんだろうか。




●防御:ヤタノカガミの不思議

 なんかビームを反射する。以上。

 ……やっぱりビームを、レーザーと勘違いしてないか?


 実体のあるビームを反射する以上、運動量保存則的に。

 同等の力では、ただの相殺で終わってしまう。

 同速で返すなら単純に、2倍の力が要る。


 ……亜光速の2倍の力でぶつかる?

 光速の10%としても、飛んできた秒速3万kmに、秒速6万kmで?

 ビームを受けた瞬間、反射する間もなく粉々になる筈。あんびりーばぶる。


 もしもビームがレーザーだったとしても、普通に溶ける。

 何せ表面が金色って事は、光の反射率が100%未満だからだ。

※光を完全に反射したなら、色が着く筈がない為


 更に反物質兵器を反射したので、訳が分からない。

 反射は接触してから起こる現象なので、反射する前に対消滅する筈なのに。


 ……ファッション陽電子砲?




●ビーム:強力な磁場でビームを曲げる不思議

 ローレンツ力を用いている、という設定も広く散見される。

 実は上述した技術にも、そういう補足がされているものがある。

 しかしいくらなんでも、ローレンツ力を神性視し過ぎだ。


 曲げられるのと、亜光速の運動量を受けるのは別の事だ。

 衝突した衝撃は普通に、どうにかしなければいけないし。

 どうにかしたとしても、二次被害三次被害は必至。


 円運動の公式に、実際にビームを弾く数字を入れたら。

 半径=質量×速度÷電荷×磁場の強さ


 軽く10万テスラ程度にはなる。

 医療用のMRIとかで3テスラとかだから、文字通りに桁違い過ぎる。

 3テスラの時点で、ハサミとか車椅子とかが一直線に飛んでくる以上。

 発動と同時に、周辺のMS・戦艦・基地・小惑星とかが、超音速で降り注ぐ大惨事。


 それどころか、これだけ強力な磁力だと確実に。

 SF設定でよく言及される、原子そのものにも影響を及ぼす。


 どうなるかというと、原子核の周りを回る電子が。

 強力な磁力に引っ張られて、原子同士の結合が保てなくなり崩壊。

 辺り一帯のあらゆる物質が、サラッサラの砂みたいになる可能性がある。


 更に急激に曲げられた事で、ビームからはシンクロトロン放射が行われる。

 何それって?……放射線が駄々洩れって事だよ。


 そのままビームを受けるよりも、酷い被害を被っている様に見える。


 ……ファッション防御?




●防御:FT装甲の不思議

 劇場版の敵MSに、使われた新装甲。

 なんとナノを超え、ピコを超え、フェムト単位で原子を制御。

 ビームにすら、ビクともしない強固さだという。


 このフェムト単位の制御を信用すると、凄まじい事になる。


 フェムトはナノの100万倍小さい。

 その単位で結合すれば、逆に100万倍みっしり詰まってる。

 2乗3乗の法則から言って、密度はなんと100京倍!


 これを1立方センチメートルに直すと。

 原子核の密度✕体積✕ケプラー結合

 2.3✕10^8✕74%=約1.7億t


 ……角砂糖の大きさでも、凄まじい重さだ。

 ちなみに同サイズの鉄は約8g。

※密度の想定によっては、約3.4億tにもなる


 ちなみにこの密度は、中性子星の核に匹敵する。

 要はブラックホール化、一歩手前の状態だ。


 コクピットに乗り込んだ時点で、パイロットは引き裂かれて死ぬし。

 存在するだけで、周囲の物質を吸い込み、ベッキベキに押し潰す。


 そもそもこの位密集すると、爆発する気もする。




●機体:ブラックナイトスコードカルラの不思議

 早速MSの表面を覆ってみよう。

 MSの表面積を、150平方メートルとして。

 装甲厚が1ミリでも、装甲重量25.5兆t。


 もう只の体当たりが、小惑星の衝突規模になる。

 というか存在してるだけで、重力波が発生する。

 アコード驚異のメカニズム。


 しかし計算してから、設定を調べると。

 何故か機体重量が、87.72tしかない。


 ……ファッションFT装甲?


 とりあえずこの機体に、どれだけのFT装甲が使用されたか考える。

 重量の内、凡そ25%が装甲だったとしよう。


 87.72t×25%=21.93t


 この重量に収まる様に、あのクソ重角砂糖を。

 表面積150平方メートルに並べてみる。

 これで装甲厚が出る筈だ。


 (21.93t÷1.7億t)÷150平方メートル≒0.86×10^-15m


 10のマイナス15乗ってどんな単位か?

 ……フェムトだわコレ。


 スッケスケの布みたいな装甲で、表面を覆っている事になる。

※可視光の波長(約400ミリ~700ミリ)より、数十万倍薄いので光が透過する

 エロいねカルラちゃん。


 そしてもしこのエロ布が、どんな攻撃にも負けない結合力を持っていた場合。

 ミカンを入れるネットより超細かい網に、ところてんを通したみたいに。

 攻撃を受けた衝撃で内部構造を、バラバラに引き裂く事になる。

 スプラッタだねカルラちゃん。


 ちなみにこの薄さだと、目に見えないというか、物体として存在できない。

 ストリップだねカルラちゃん。


 というかカルラは一般機にない、ドラグーンを搭載している。

 ドラグーンは圧倒的に重く、非搭載機に比べて。

 20~30tは、重量が増加する傾向にある。

 ドラグーン搭載だけで積載は埋まり、もう装甲すら残ってない。

 ストリーキングだねカルラちゃん。




●ビーム:ディスラプターの不思議

 このFT装甲を打ち破ったのが新兵器。

 マトフリのオデコから出る怪光線だ。


 なんと問答無用で原子崩壊させる。

 同時に核分裂は抑止する、とある。

 ……だからといって、全然安心できないんだが。


 核分裂しなくとも、原子核を解き放てば。

 質量欠損による、結合エネルギー解放が起こる。


 さっきのFT装甲でいうと。

 FT装甲という、ストッパーで止められていた。

 100京倍に縮められていた、バネが解き放たれ。

 100京発のベアリング弾が、炸裂するという事。


 スプラッタエロ布説は、すぐ自滅する筈なので置いておいて。

 ビームに無敵だった劇中の姿を信じて、装甲厚1ミリで考えた時。

 これがどれ程の、致命的な威力を持つか。


 アインシュタイン公式の、0.1%の変換率だったとしても。

 恐竜を絶滅させた隕石衝突の、570万倍の威力。


 劇中の決戦を行った月で、この爆発が起きればどうなるか。

 月は粉微塵に吹き飛び、周辺衛星をも破壊。

 爆発の被害と月の破片が押し寄せ、地球環境も完全崩壊する。


 細かい事はもう置いておくが、とにかく壊滅的な被害なのは分かるだろう。

 時々耳にする超新星爆発スーパーノヴァ、とは大体この被害規模を想像すればいい。


 そもそも、普通のMSサイズの質量だったとしても。

 広島原爆の1700発程度となり、その威力25.5メガトン。

 地上なら半径4kmは消滅、半径8kmは建物が倒壊し、半径40kmまで衝撃波が届くレベル。


 ちなみに、核分裂はしない(=だから残留放射性物質は出ない)と、したかったのかもしれないが。

 この爆発の過程で普通に、熱放射と放射線が発生する。


 ……ファッションクリーン兵器?




 劇場版ラストの光景。

 もしかして登場人物は、全員死んでいて。

 魂の語り合う、心象風景だったんだろうか。


 伝説巨人イデオン発動編ラストみたいな。

 その時キラが発動した。


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― 新着の感想 ―
 とても興味深く読ませていただきました。  確かに空想科学読本的なツッコミとしては面白いです。特に数学的なものは計算が面倒なので、実際計算したいとは思えない。ので、すごくためになりました。  しか…
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