帰還
魔獣の女王レジオーラ・クーイライ・ランバルゲルドナを倒した天使
ノゾミとの最後の別れの時が来た
「これでぼくの任務は終わりです。」
「・・・」
感動的な物言いだが、こっちはキロオをぶん投げて、女王を倒した天使に引いている。
「魔獣は女王がいなければ増えることはありません。」
そうなんだ。
「いつか滅びることでしょう。」
「そう・・・なんだ。」
そう言われても、その世界をイメージすることはできない。
物心ついたころには魔獣がおり、魔獣がいる世界が当たり前だった。
「ノゾミ。」
「なに?」
無理やり付き合わされた短いこの旅も、もう終わりを迎える。
「あなたと一緒に旅が出来て良かった。」
「・・・まあ私も楽しかったよ。」
この滅びた世界で、天使と過ごす日々は刺激的だった。
何度も死ぬかと思ったし、天使の世話をするのも大変だった。
だけど、うん・・・楽しかった。
その一言が相応しいかわからない部分もあったが・・・
終わってみれば楽しかった。
「女王がいなくても、魔獣はまだ残っています。この世界で様々な苦労があるでしょう。」
「そうかもね。」
女王がいなくなかったからといって、魔獣がいきなり消えるわけではない。
あくまで増えなくなるだけだ
魔獣が緩やかに滅びるのが先か、人類がその前に滅びるのが先か。
「この世界で生きるためにあなたに祝福を。」
そういうと天使は私の頭を掴むと、小さな胸を押し付けた。
「・・・」
気がついた時に両親はいなかった。
だから、あまりこういう触れ合いの経験がない。
どうしていいのか分からず、ジッとする。
だが・・・悪くはない。
「がんばってね。」
「うん。」
少しの名残惜しさを感じながら、天使の胸から引き離される。
「それじゃぼくは帰らないといけない。」
「うん・・・」
寂しいが仕方ない。
それが彼女の役目。
魔獣の女王を倒した彼女を、引き留めるわけにもいかない。
「それじゃ・・・またね。」
残りの人生で天使に会うことはないだろう。
「またね。」
だからこれは嘘だ。
寂しさを紛らわせるだけの小さな嘘。
その嘘を聞き届けると、天使が羽を広げた。
天使は羽ばたくと空へと舞い上がった。
名残惜しそうにこちらを見ながら。
しかし、その姿は空へと消えていった。
「行っちゃった・・・」
行ったじゃなくて、行っちゃった。
「ぼぅ・・・」
「そうだね・・・」
キロオも寂しそうだ。
「・・・キロオ!?」
「ぼぅ?」
あの天使、キロオを忘れて帰りやがった。
「おい天使!戻って来い!」
「ぼぅ!」
キロオもなんだか必死そうな気がする。
「しょーがない。」
そんな方法があるのかはわからない。
だけど、キロオをこのままにしておくわけにもいかない。
「天使を探そうかキロオ。」
「ぼぅ!」
どうせ帰ってもこれまで通りのつまらない生活だ。
だったら、ちょっとぐらい好きにしたって良い。
「行くか!キロオ!」
「ぼう!」
天使を探しに出かけよう。




