アラフォー冒険者、娘と街に行く
サーリャが目覚めてから1週間が経過した。
最初は弱々しかったが徐々に体力がついてきたみたいで長く歩けるようになった。
食欲も出てきて引っ越し初日に買い込んでいた食材は無くなりつつある。
元々1人分しか持ってきて無かったし後は畑を耕そうと思っていた。
なので早いが街に買い出しに行く事にした。
「サーリャ、今から街に行くんだが一緒に行くか?」
「行く!」
即答だった。
俺はサーリャと共に街へ出かける事にした。
「街までどれくらい歩くの?」
「そうだな、30分くらいだな、歩けるか?」
「ん、頑張る!」
サーリャと歩きながら街に向かう。
「走ると危ないから気をつけろよ」
「ん!」
パタパタと走る姿を見ながらなんとも暖かい気持ちになる。
まぁ元気だったのは10分ぐらいで後は俺が背負う事になったのだがそれも御愛嬌というやつだ。
そんなこんなで街に到着した。
「おじちゃん、凄いね、高い家がいっぱいある!」
「家もあるけど殆どはお店だぞ」
「人もたくさんいるね!」
「あぁ、そうだな」
サーリャは目をキラキラさせている。
まずは食べ物を買う為に市場に向かった。
市場は食材もそうだが薬とか道具や武器とか色んな物が売っている。
俺は1か月分の野菜とか肉、調味料を購入した。
勿論、持っていくのは無理なので城に届けてもらう事にした。
サーリャには飴を買ってやった。
「あま~い! おいし〜い!」
「慌てなくても大丈夫だからな」
背中から降ろして手を繋ぎながら街を散策する。
そしてギルドの前にやって来た。
「ここが俺が前に働いていた所だ」
「へぇ~、おじちゃん辞めちゃったの?」
「あぁ、身体的に限界が来ちゃってな」
冒険者を辞めて1週間が経過してるのになんだか懐かしい感じがする。
と、ギルドから見覚えのある人物が出てきた。
「よぉ、アルシア」
「あれ? レイルさんじゃないですか!?」
彼女はアルシア・ケーラス、このギルドの受付嬢だ。
因みに俺が辞める事を伝えて書類の手続きとかをしてくれたのは彼女だ。
「どうですか、新生活は?」
「慣れない事が多くて大変だよ、あ、紹介しておく訳あって預かっているサーリャだ」
俺はアルシアにサーリャを紹介した。
「えっ!?子供を預かってるんですかっ!? レイルさんがっ!?」
うん、驚くよな。俺にとって一番縁遠い事だもんな。
まぁ誤解を生む前にちゃんと教えておいた方が良いからな、こういうのは。