アラフォー冒険者、草刈りをする
翌日。
「ふわぁ〜、よく寝たなぁ。 やっぱり帰れる家があるのは安心だな」
寝袋から出て欠伸しながら起きた。
「さて、今日は草刈りをするか」
俺は飯を食べた後、外に出て草刈りを始めた。
サクッサクッとナイフで根元から雑草を刈っていく。
「どれだけ放置されていたんだ……、雑草を刈っていくだけで1年はかかるんじゃないか?」
人手が必要なんじゃないか、と思ったが頼れる人物は少ないしその人物は現在街にはいない。
なんせS級ランクのパーティーに所属しているS級魔導士だ、国の依頼で現在ドラゴン討伐に行っている。
帰ってきたら英雄扱いされるのは間違い無しだ。
……英雄に憧れていた俺は結局夢破れて冒険者を辞め草を刈っている。
友人は英雄になり将来は明るい、ますます俺との差が広がっている。
「でもアイツは多分変わりなく接してくるんだろうなぁ」
そういう奴なのである、俺の友人は。
遠い空で戦っている友人に思いを馳せつつ俺は草を刈っていく。
「あれ? これは雑草じゃないな……」
刈った草を籠にいれていると俺は微妙に違う草を見つけた。
「これは薬草じゃないか? しかも結構な貴重品だぞ」
薬草刈りをメインにやって来たので知識がある俺にはわかった、これは売ればかなりの大金をゲットする事が出来る。
そして、よくよく調べてみるとその薬草はある一帯に集中していた。
もしかして人工的に栽培していたんじゃないか?
この薬草を栽培できる知識がある、という事はこの城のかつての主は結構名の知れた人物なんじゃないのか?
「俺、もしかしてとんでもない買い物をしてしまったんじゃないか……?」
なんとなくそんな事を思ってしまった。